エアコンの送風は、冷房より電気代を抑えやすい運転です。たとえば消費電力を12〜16.9W、電気料金単価を31円/kWhとして計算すると、1時間で約0.37〜0.52円。ただし、これは条件を置いた目安で、どのエアコンでも同じ金額になるわけではありません。
使い分けは、部屋を冷やしたいなら冷房、湿気を取りたいなら除湿、温度を下げずに風を送りたいなら送風です。僕も家計目線では安さが気になりますが、送風に切り替えて室温まで下がると考えると、期待とずれてしまいます。まず電気代の大きさをつかみ、その後で使う場面を決めましょう。
- 送風1時間約0.37〜0.52円の試算条件
- 8時間・24時間使用時の月額目安
- 冷房・除湿・扇風機との目的別の使い分け
- 内部クリーンの費用と送風操作の確認点
エアコンの送風の電気代は?時間別の目安と比較
1時間約0.37〜0.52円は、消費電力と単価を置いた目安

アイリスオーヤマの解説では、一般的なエアコンの送風機能の消費電力は約12〜16.9W程度とされています。この値に31円/kWhを掛けた電気代が、1時間約0.37〜0.52円です。幅がある数値なので、「送風なら必ず1時間0.37円」とは扱わないでください。
メーカーが示す別の例として、パナソニックの解説では、エオリアの「ナノイーX 送風」運転は1時間あたり約12Wh、電気代は約0.4円と紹介されています。こちらも31円/kWhで計算した例です。通常の送風全般の保証値でも、エオリアの全機種・全設定に共通する実測値でもありません。
同社は、送風時の消費電力量をモデルごとの仕様として掲載するケースは少ないとも説明しています。自宅の取扱説明書に送風の数値が見当たらなくても、冷房の消費電力をそのまま代入するのは適切ではありません。
送風と冷房は動かす仕組みが異なるため、まずは送風の目安として読み、自宅の機種の値が分かれば置き換える考え方です。
8時間・24時間つけっぱなしにすると月額はいくら?
長時間使う場合は、1時間の料金を丸める前の値から計算します。下表は消費電力が12Wまたは16.9Wで一定、単価が31円/kWh、1か月が30日という仮定の試算です。エアコンの冷房・暖房や、停止後の内部クリーンにかかる費用は含めていません。
| 使用時間 | 12Wの場合 | 16.9Wの場合 |
|---|---|---|
| 1時間 | 約0.37円 | 約0.52円 |
| 1日8時間 | 約2.98円 | 約4.19円 |
| 1日24時間 | 約8.93円 | 約12.57円 |
| 1日8時間を30日 | 約89円 | 約126円 |
| 1日24時間を30日 | 約268円 | 約377円 |
この条件なら、毎日8時間の送風で月に約89〜126円、24時間なら約268〜377円です。「つけっぱなしでも月300円以内」と一律には言えません。同じ使用時間でも、消費電力や契約単価が変われば結果も変わります。
また、この表は連続運転した場合の費用計算であり、24時間の使用を勧めるものではありません。空気を循環させるための送風と、冷房後に内部を乾かすための運転では、必要な使い方が違います。内部の乾燥が目的なら、後半で説明する内部クリーンの機能と所要時間を基準に考えます。
自宅の電気代は「消費電力×時間×単価」で計算

計算に使うのは、送風中の消費電力、使う時間、電気料金の単価の3つです。Wは機器を動かす電力の単位で、1,000Wが1kW。消費電力に使用時間を掛けると、使った電気の量である消費電力量を求められます。関西電力の計算解説も、この順序で電力量料金を算出しています。
電気代の目安=消費電力(W)÷1,000×使用時間(時間)×単価(円/kWh)
例:12Wで8時間、31円/kWhなら、12÷1,000×8×31=2.976円、約2.98円です。毎日同じ使い方をする月額は、さらに使用日数を掛けます。
31円/kWh(税込)は、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価です。同協議会のQ&Aでは、2022年7月22日に改定された値として案内されています。これは家電の電気代を見積もるための基準で、全国の家庭に適用される契約単価ではありません。
この記事の試算も、特定の地域や契約アンペアの料金を表すものではない点を押さえておきましょう。
自宅の電力量料金だけを見積もるなら、契約している料金メニューの該当単価に置き換えます。ただし、単価を掛けた数字と請求額全体は別です。関西電力の計算例でも、電力量料金の試算には最低料金、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金を含まないと明記しています。
送風に使う電気の目安と、家庭全体の請求額は分けて見てください。
扇風機とどちらが安い?同じ単価・使用時間で比べる
エアコンの送風と扇風機は、機器の名前だけでは電気代の優劣を決められません。比較する消費電力と風量の条件が必要です。パナソニックの扇風機の解説では、メーカーやモデルによるとしたうえで、最大運転時の消費電力が21W程度のものが多いと紹介しています。
| 比較例 | 計算に使う条件 | 1時間の電気代 |
|---|---|---|
| エアコンの送風 | 消費電力12〜16.9Wと仮定 | 約0.37〜0.52円 |
| 扇風機 | 最大運転時の例として21Wと仮定 | 約0.65円 |
いずれも31円/kWhで再計算した目安。風量や届く風の量をそろえた性能比較ではありません。
この数字だけなら送風の例が低くなりますが、扇風機側は最大運転時の例です。弱い風で使う場合や省エネタイプまで含めて、いつでも送風が安いという結論にはできません。なお、上記の扇風機の原文は27円/kWhで計算しているため、表では比較用に31円/kWhへそろえています。
用途にも違いがあります。扇風機は人が涼むために広い範囲へ風を送り、サーキュレーターは直線的な風で空気を循環させるのが主な役割です。手元の扇風機で涼を取るのか、エアコンから室内へ風を送るのか。まず欲しい風を決め、その使い方の消費電力で比べるほうが、家計の判断に合っています。
送風の電気代を抑えながら使うには?冷房との使い分け
部屋を冷やすなら冷房、風だけ欲しいなら送風
送風の電気代が小さいのは、主に室内機のファンで空気を動かす運転だからです。冷房や除湿では温度・湿度を調整するためにコンプレッサーが動きますが、送風には冷房のように熱を外へ排出する働きや、除湿のように湿気を取り除く働きはありません。
安さと引き換えに冷え方が少し弱くなるというより、そもそも担当する役割が違います。
| したいこと | 選ぶ運転 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 室温を下げたい | 冷房 | 送風では部屋を冷やせない |
| 湿気を取り除きたい | 除湿 | 送風には湿気を除去する働きがない |
| 温度を下げずに空気を動かしたい | 送風 | 風や空気循環を利用する |
パナソニックは冷房の費用例として、LVシリーズ14畳用モデル「CS-LV406D2」で1時間3.8円も紹介しています。ただし、これは期間消費電力量に基づく算出値です。送風の約0.4円とは算出の条件がそろった実測比較ではなく、差額がそのまま毎時間の節約額になるとは言えません。
冷房の料金は室内外の温湿度、部屋の気密・断熱性、設定温度などでも変わります。
送風の出番は、春や秋など、冷房で室温を下げるほどではなく風が欲しい場面です。パナソニックの解説では、室温28℃以上の場合は冷房運転を推奨しています。28℃未満なら必ず送風だけで十分という意味にはせず、室温を下げる必要があるときは冷房、湿気を取りたいときは除湿という目的に戻って選びましょう。
空気循環には風向を調整し、換気とは区別する


室内の空気を循環させたいなら、風を送る方向がポイントです。パナソニックは、吹き出し口を水平に向け、向かい側の壁へ風を届ける使い方を紹介しています。部屋の隅にエアコンがある場合は、対角線上へ向くよう左右の風向も調整する例です。単に運転時間を延ばす前に、風が部屋へ届く向きを考えてみてください。
一方、室内の空気を動かすことと、外の空気に入れ替えることは区別が必要です。送風モードの基本は、室内の空気を取り込んで室内へ送り出す動作。送風を選んだだけで外気を取り込むと考えないようにしましょう。アイリスオーヤマは、窓や換気扇と併用することで空気の入れ替えをスムーズにできると説明しています。
空気の循環が目的なら風向、空気の入れ替えが目的なら窓や換気扇との併用、と考えると使い方が明確です。ただし、その結果として冷房代が何円下がるかは、この送風の試算表では求められません。送風そのものにかかる費用と、部屋の条件で変わる冷房の費用を混ぜないことが大切です。
内部クリーンは送風と別の費用で考える
冷房を止めた後に風が出ている場合、内部を乾燥させる機能が動いていることがあります。ダイキンの公式FAQによると、内部クリーンは冷房や除湿で濡れた室内機を、送風や暖房運転で乾燥させ、カビやニオイの発生を抑える機能です。
送風だけとは限らないため、1時間約0.4円という送風の例をそのまま当てはめられません。
| ダイキンのFAQでの区分 | 運転時間の目安 | 1回の電気代の目安 |
|---|---|---|
| 内部クリーン | 約80〜140分 | 2〜4円程度 |
| 水内部クリーン | 約150〜290分 | 45〜95円 |
機種により運転モードや時間が異なります。水内部クリーンは、結露水で熱交換器の汚れを落としてから乾燥する機能です。
この金額はダイキンのFAQが示す目安で、他メーカー共通の料金ではありません。また、FAQではリモコンの表示が「内部クリーン」でも水内部クリーンの場合があると案内しています。名前だけで2〜4円の機能だと決めず、自宅の機能がどちらに当たるかを取扱説明書で確かめるのが判断の出発点です。
乾燥のための使い方について、パナソニックは内部クリーン搭載機ならその機能を使い、非搭載機では冷房後に送風を3〜4時間行うと案内しています。ただし、送風でも内部クリーンでも、すでに発生したカビを取り除けるわけではありません。乾燥運転を、内部の掃除の代わりにすることはできません。
ダイキンは内部クリーン中に室温・湿度が上がったり、一時的にニオイが発生したりすることがあるため、部屋に人がいないときの使用を案内しています。電気代だけを理由に送風へ置き換えるより、自宅のメーカーが案内する乾燥機能と使用条件に沿って使うことを優先しましょう。
送風ボタンがないときは運転切換や空清の説明を確認


リモコンに「送風」と書かれた専用ボタンがなくても、送風機能がないとは限りません。ダイキンの操作FAQでは、「運転切換」で送風を選ぶ方法と、「ストリーマ 空清・送風」ボタンを使う方法を案内しています。機種によっては、空気清浄運転が送風運転に該当するという説明もあります。
ただし、同FAQの詳しい操作例は2020年モデルを対象にしたものです。ほかのメーカーや年代へ同じボタン操作をそのまま当てはめず、自宅の型番の取扱説明書で「送風」「空清」「運転切換」の項目を探してください。
空気清浄機能を伴う送風があることと、その電気代が別メーカーの約0.4円の例に一致することも別の話です。
冷房の設定温度を高くして、送風に近い状態を作る方法もありますが、固定の送風モードと同じとは考えないでください。アイリスオーヤマの解説でも、室温と設定温度の関係によって通常の冷房・暖房に切り替わる可能性があり、動作は機種ごとに異なるとされています。
「高めの冷房設定なら、ずっと送風の電気代で使える」という見積もりは避けましょう。
送風の電気代と使い分けのまとめ
この記事のまとめです。
- 消費電力12〜16.9W、31円/kWhの条件なら、送風は1時間約0.37〜0.52円
- 同じ消費電力で毎日8時間・30日使う試算は約89〜126円
- 24時間・30日の試算は約268〜377円で、全機種が月300円以内とは限らない
- 31円/kWhは2022年7月改定の目安単価で、自宅の契約単価とは異なる
- 扇風機との比較は単価と使用時間をそろえ、消費電力や風量の条件も見る
- 室温を下げるなら冷房、湿気を取るなら除湿、空気を動かすなら送風
- 送風による室内の空気循環と、窓や換気扇を使う空気の入れ替えは区別する
- 内部クリーンは暖房を伴う場合もあり、送風の電気代をそのまま使えない
- 内部クリーン搭載機はその機能を活用し、乾燥運転で既存のカビを除去できるとは考えない
- 送風ボタンがなくても運転切換や空清で使える機種があり、型番ごとの操作確認が必要
参考にした情報
- エアコンの「送風」とは? 効果や電気代、効果的な使い方をわかりやすく解説 | UP LIFE | 毎日を、あなたらしく、あたらしく。 | Panasonic
- エアコンの送風機能とは?いつ使う?効果的な使い方や注意点、電気代を解説 – +1 Day
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