「東京電力と東京ガス、電気とガスをまとめるなら、結局どっちがお得なの?」
この疑問は、関東エリアにお住まいの方にとって、家計を左右する重要な問題です。結論から言うと、多くの場合、電気料金が安い「東京ガス」にまとめる方がお得になります。しかし、一人暮らしで電気をあまり使わない方にとっては「東京電力」が有利になるケースもあるなど、ご家庭のライフスタイルによって最適な選択は異なります。
この記事では、どちらの会社にまとめるのが賢い選択なのか、料金プランの比較はもちろん、割引方法の違いやポイント制度、さらには見落としがちな「燃料費調整額」のリスクまで、あらゆる角度から徹底的に解説していきます。あなたの家庭にぴったりのプランを見つけるための、確かな道しるべとなるはずです。
- 多くの家庭では電気代が安い「東京ガス」のセットがお得
- 電気使用量が少ない一人暮らしは「東京電力」が安くなる場合も
- セット割の仕組みが違う(東京ガスは率、東京電力は額)
- 料金だけでなくポイントや付帯サービスも判断材料になる
東京電力と東京ガス、まとめるならどっち?【結論から解説】
- 結論:多くの家庭では「東京ガス」にまとめるのがお得
- なぜ?電気代が安い東京ガスが有利になる料金の仕組み
- 世帯別シミュレーションで見る光熱費の具体的な差額
- セット割を比較:東京ガスの「定率割引」vs 東京電力の「定額割引」
- 一人暮らしなど電気使用量が少ない家庭の注意点
結論:多くの家庭では「東京ガス」にまとめるのがお得

電気とガスをセットで契約する場合、多くの場合「東京ガス」にまとめる方が年間の光熱費を抑えられる傾向にあります。これは一人暮らしからファミリー世帯まで、幅広い家庭に共通する結論です。
なぜなら、一般的に家庭の光熱費の約7割を占めるのはガス代よりも電気代であり、光熱費全体の節約には電気代を安くすることが最も効果的だからです。
東京ガスの電気料金は東京電力よりも割安に設定されています。そのため、ガス料金ではわずかに東京電力が安いものの、その差を電気代の安さが上回り、結果としてトータルコストでは東京ガスが有利になるケースが多くなります。もちろん、これは一般的な傾向であり、ライフスタイルによっては例外も存在するため、自身の状況に合わせた検討が重要です。
なぜ?電気代が安い東京ガスが有利になる料金の仕組み

東京ガスのセット契約が有利になる最大の理由は、電気料金プラン「基本プラン」が、東京電力の「スタンダードS」に比べて割安な点にあります。具体的には、契約アンペアに応じた「基本料金」と、使用量に応じて変動する「電力量料金単価」の両方で、東京ガスの方が安価な設定です。
特に「電力量料金単価」は、電気の使用量が増えるほど料金差が大きくなります。以下の表の通り、120kWhまではほぼ同額ですが、それ以上の区分では明確に東京ガスの方が安くなっています。これは、電気を多く使うファミリー世帯ほど、東京ガスに切り替える節約効果が大きくなることを意味します。
基本料金も東京ガスがわずかに安く、これらの料金設定が組み合わさることで、光熱費の大部分を占める電気代において、東京ガスが大きな優位性を持っているのです。
項目 | 東京電力「スタンダードS」 | 東京ガス「基本プラン」 |
基本料金 (40A) | 1,247.00円 | 1,180.96円 |
電力量料金 (円/kWh) | ||
〜120kWh | 29.80円 | 29.90円 |
121〜300kWh | 36.40円 | 35.41円 |
301kWh〜 | 40.49円 | 37.48円 |
世帯別シミュレーションで見る光熱費の具体的な差額

料金プランの仕組みを踏まえ、実際の差額を世帯別のシミュレーションで見てみましょう。一般的な使用量に基づき両社のセット契約を比較すると、一人暮らしの段階から東京ガスの方が安く、世帯人数と使用量が増えるほど差額が拡大する傾向が見られます。
例えば、4人以上のファミリー世帯では年間1万円以上の差がつく計算となり、毎月の数百円の差が年間では大きな節約につながることがわかります。
これは、前述の通り、電気使用量が増えるほど単価が割安になる東京ガスの料金体系が効果を発揮するためです。ご自身の家庭状況と検針票を照らし合わせ、具体的なメリットを把握することが重要です。
世帯構成(電気/ガス使用量目安) | 東京電力セット料金 | 東京ガスセット料金 | 月額差額 | 年間差額 |
一人暮らし (30A/150kWh/15m³) | 7,791円 | 7,641円 | -150円 | -1,800円 |
二人暮らし (40A/250kWh/25m³) | 12,774円 | 12,359円 | -415円 | -4,980円 |
三人暮らし (40A/350kWh/33m³) | 17,258円 | 16,508円 | -750円 | -9,000円 |
4人以上 (50A/400kWh/40m³) | 20,392円 | 19,395円 | -997円 | -11,964円 |
セット割を比較:東京ガスの「定率割引」vs 東京電力の「定額割引」

両社のセット割引には根本的な違いがあります。この違いを理解することが最適なプラン選びの鍵となります。
東京電力の「ガスセット割」は、電気料金から毎月一律で102円が割り引かれる「定額割引」です。使用量に関わらず割引額は常に固定で、年間1,224円の割引となります。
一方、東京ガスの「ガス・電気セット割」は、毎月の電気料金(基本料金と電力量料金の合計)に対して0.5%が割り引かれる「定率割引」です。つまり、電気を使えば使うほど割引額も大きくなります。
この違いにより、月の電気代が20,400円(102円 ÷ 0.5%)を境にどちらがお得かが変わります。電気代が20,400円未満なら東京電力の定額割引が、20,400円を超えるなら東京ガスの定率割引の方がお得になります。一般的なファミリー世帯ではこの金額を超えることも多いため、定率割引の東京ガスが有利になる一因となっています。
一人暮らしなど電気使用量が少ない家庭の注意点

これまで東京ガスが有利と解説してきましたが、例外もあります。それは、電気の使用量が極端に少ない一人暮らしなどの世帯です。
シミュレーションによると、契約アンペアが低く、月の電気使用量が50kWhを下回るようなケースでは、総額で東京電力の方が安くなることがあります。
この理由は複合的です。まず、ガス料金自体は東京電力が東京ガスより約3%安く設定されています。電気使用量が少ないと、電気代でのメリットが小さくなり、ガス代の安さが際立ちます。さらに、セット割に関しても、電気代が低い場合は東京ガスの0.5%割引額が東京電力の定額102円割引を下回ることがあります。
このように、電気をあまり使わないライフスタイルの単身世帯の方は、一概に東京ガスがお得とは言えません。ご自身の検針票で月々の電気使用量が100kWhを大きく下回るなら、東京電力のセットプランも有力な選択肢となるでしょう。
東京電力・東京ガスをまとめる前に知るべき重要ポイントと比較
- メリット・デメリットは?そもそも電気・ガスをまとめるべきか
- ガス料金は東京電力が安い!単体契約の選択肢
- 隠れたリスク「燃料費調整額」の上限がない点に注意
- ポイント制度や付帯サービスの違いを徹底比較
- 乗り換え手続きは簡単!必要なものと手順を解説
メリット・デメリットは?そもそも電気・ガスをまとめるべきか

電気とガスを一つの会社にまとめることには、メリットとデメリットの両方があります。
最大のメリットは、「セット割引」の適用と、支払いが一本化される「利便性」です。請求書が一つにまとまり家計管理が楽になるほか、引越し時の手続きが一度で済むのも利点です。
一方、デメリットは「必ずしも最安値になるとは限らない」点です。セット割引を適用しても、電気とガスをそれぞれ最も安い会社で個別に契約した方が、トータルでは安くなる可能性があります。電力・ガス自由化により多くの事業者が参入しており、より競争力のある価格を提示する会社も存在します。
利便性を重視するか、徹底的に安さを追求するか。このトレードオフを理解し、手間を惜しまず最安値を目指すなら、電気とガスを別々に契約することも視野に入れるべきです。
ガス料金は東京電力が安い!単体契約の選択肢

セット契約から視点を変えると、「ガス料金単体で見れば、東京電力が東京ガスよりも安い」という重要な事実があります。
東京電力のガスプラン「とくとくガスプラン」は、東京ガスの一般的な料金プランと比較して、基本料金・従量料金ともに約3%安く設定されています。以下の料金表の通り、全ての使用量区分で東京電力の方が安価です。
この事実は、ガスファンヒーターなどでガスの使用量が多い家庭や、「電気とガスを別々に契約して最安値を目指す」戦略を考える上で見逃せません。最も節約効果が高い組み合わせは、「最も安い電力会社(新電力など)+最も安いガス会社(東京電力)」という形になる可能性があります。セット契約の利便性も魅力的ですが、ガス代の節約を重視するなら、東京電力のガスプランを単体で契約する選択肢も有効です。
料金表 | ガス使用量 | 東京電力「とくとくガスプラン」 | 東京ガス「一般料金」 |
基本料金 | 従量料金(円/m³) | ||
A | 0〜20m³ | 736.23円 | 140.94円 |
B | 20〜80m³ | 1,024.32円 | 126.54円 |
C | 80〜200m³ | 1,195.04円 | 124.40円 |
隠れたリスク「燃料費調整額」の上限がない点に注意

料金プラン比較で見落とされがちですが、極めて重要な注意点が「燃料費調整額」の上限の有無です。燃料費調整額とは、燃料の輸入価格の変動を電気料金に反映させるための調整金です。
現在、東京電力や東京ガスが提供するセット割対象プラン(スタンダードS、基本プランなど)には、この燃料費調整額に「上限」が設けられていません。一方、従来の規制料金プランである「従量電灯B」などには上限があり、燃料価格が異常高騰しても利用者の負担が青天井に増えるのを防ぐセーフティネットの役割を果たしていました。
セットプランに切り替えることは、このセーフティネットを手放すことを意味します。世界情勢などで燃料価格が急騰した場合、上限のない新プランの方が、上限のある旧プランより結果的に電気代が高くなるリスクがあります。割引額や基本料金の安さだけでなく、こうした隠れたリスクも理解した上で、慎重に判断することが求められます。
ポイント制度や付帯サービスの違いを徹底比較

電気・ガスの契約は、料金だけでなく、ポイントや付帯サービスも重要な比較対象です。
東京電力「スタンダードS」の大きなメリットは、「生活かけつけサービス」が無料で付帯する点です。これは鍵の紛失や水回り、電気設備のトラブル時に専門スタッフが無料で応急処置に駆けつけるサービスで、万一の時の安心感を重視する方には魅力的です。
一方、東京ガスは独自の「パッチョポイント」制度が充実しています。特に、電気・ガスをセット契約すると、ガス料金に応じて貯まるポイントが3倍にアップします。貯まったポイントは提携ポイントへの交換やガス機器購入に利用可能です。また、新規契約者向けのキャンペーンを頻繁に実施しているのも特徴です。
安心感の東京電力か、お得感の東京ガスか、ご自身の価値観に合わせて選ぶと良いでしょう。
乗り換え手続きは簡単!必要なものと手順を解説

電力会社の乗り換え手続きは非常にシンプルで、多くはWeb上で完結します。
必要なものは、現在契約中の会社から送られてくる「検針票(ご使用量のお知らせなど)」だけです。この検針票に記載されている「お客様番号」と「供給地点特定番号」があれば、新しい会社へ申し込めます。
手続きは、乗り換えたい会社の公式サイトから申し込むだけで、現在の契約の解約手続きは新しい会社が代行してくれるため、自身での連絡は不要です。非常に簡単なので、手間を心配する必要はほとんどありません。
ただし、ガスの使用開始には、法律により専門スタッフによる「開栓作業」と「立ち会い」が必須です。特に引越しシーズンの3月〜4月は予約が混み合うため、引越し日が決まったら早めに申し込むことをお勧めします。
総括:東京電力と東京ガス まとめるならどっち?
この記事のまとめです。
- 光熱費全体では東京ガスにまとめる方が安くなる傾向
- 理由は光熱費の大半を占める電気代が東京ガスの方が安いからだ
- 電気使用量が多い家庭ほど東京ガスでの節約効果は大きい
- 一方、ガス代単体では東京電力の方が約3%安い
- 電気をあまり使わない一人暮らし世帯は東京電力が得な場合がある
- セット割は東京ガスが「0.5%の率」、東京電力は「102円の額」で割引
- この割引方法の違いが世帯ごとの損得を分ける
- セット割対象プランは「燃料費調整額」に上限がない点に注意が必要
- 燃料価格高騰時には、旧プランより割高になるリスクを伴う
- 利便性より安さを追求するなら、電気とガスを別々に契約するのも一手
- 最も安い電気(新電力)と最も安いガス(東京電力)の組み合わせが最強の節約術
- 東京電力は「生活かけつけサービス」が無料で付帯する魅力がある
- 東京ガスはポイント制度が充実し、新規キャンペーンも多い
- 乗り換え手続きは新会社が代行するため、利用者自身の手間は少ない
- 乗り換えには「お客様番号」と「供給地点特定番号」が記載された検針票が必要である