「東京電力で100アンペアの契約を考えているけれど、基本料金は一体いくらになるのだろう?」
「そもそも、うちの家庭に100アンペアも本当に必要なのか分からない…」
ご自宅の電気契約について、このような疑問や不安をお持ちではないでしょうか。特に、オール電化住宅にお住まいの方や、ご家族の人数が多いご家庭では、100アンペアという大きな契約容量が気になることでしょう。
実は、東京電力で100アンペアを契約する場合、一般的な30アンペアや60アンペアの契約とは料金体系が根本的に異なります。多くの方がイメージする「従量電灯B」ではなく、「従量電灯C」というkVA(キロボルトアンペア)を単位とする、少し専門的なプランへの切り替えが必要になるのです。
この記事では、「東京電力の100アンペア契約」について、その基本料金から料金の仕組み、契約変更の具体的な手順、さらには東京ガス電気やLooopでんきといった新電力との料金比較まで、分かりやすく、そして詳しく解説していきます。この記事を最後まで読めば、あなたの家庭に最適な電気契約が何なのか、明確な答えが見つかるはずです。
- 100アンペア契約は基本料金がkVA単位の「従量電灯C」
- 基本料金は1kVAあたり311.75円、100A(10kVA)で月額3,117.5円
- オール電化や大家族でなければ過剰契約の可能性も
- 新電力との比較で電気代を年間数万円節約できるケースも
東京電力の100アンペア契約、その基本料金の仕組みを徹底解説
- 100アンペア契約は「従量電灯C」が基本
- 【料金表】10kVA(100A)の基本料金と電力量料金単価
- 60アンペア以下の「従量電灯B」との料金比較
- オール電化向けプラン「スマートライフ」との違いは?
- 電気料金の計算方法とシミュレーション例
100アンペア契約は「従量電灯C」が基本

東京電力で100アンペアの契約を検討する際、最も重要なのは契約プランの種類が変わる点です。一般家庭で主流のプランは「従量電灯B」で、10Aから60Aまでの契約が対象です。このプランは、契約アンペアごとに固定の基本料金が設定されています。
しかし、60Aを超える100Aのような大容量契約では、「従量電灯C」というプランに移行します。これは主に電気を多く使う家庭や店舗・事務所向けのプランで、契約容量が6kVA(キロボルトアンペア)以上で適用されます。
ここで重要なのが「kVA」という単位です。一般的に「1kVA」は「10アンペア」に相当するため、100Aの契約は実質的に「10kVA」の契約を意味します。
この単位の違いが、基本料金の計算方法に直接影響します。「従量電灯B」が固定の基本料金であるのに対し、「従量電灯C」は契約するkVA数に応じて基本料金が決まる仕組みになっており、これが料金体系の根本的な違いとなります。
【料金表】10kVA(100A)の基本料金と電力量料金単価

東京電力「従量電灯C」で10kVA(100アンペア)を契約した場合の料金を解説します。
「従量電灯C」の基本料金は、固定額ではなく、契約kVA数に応じて決まります。料金単価は「1kVAあたり311.75円」です。(2025年6月現在)
これを10kVA(100A)契約に当てはめると、月々の基本料金は「3,117.5円」となります。
計算式: 311.75円/kVA × 10kVA = 3,117.5円
一方、電気の使用量に応じて加算される「電力量料金」の単価は、60A以下の「従量電灯B」と全く同じです。電気を使った分だけ支払う料金単価は、契約アンペア数が変わっても変動しない点は重要なポイントです。
項目 | 単位 | 料金単価(税込) |
基本料金 | 1kVAあたり | 311.75円 |
電力量料金(第1段階) | 最初の120kWhまで | 29.80円/kWh |
電力量料金(第2段階) | 120kWhを超え300kWhまで | 36.40円/kWh |
電力量料金(第3段階) | 300kWh超過分 | 40.49円/kWh |
※実際の請求額には、この他に「燃料費調整額」や「再生可能エネルギー発電促進賦課金」が加算・減算されます。料金単価は改定される場合があるため、常に公式サイトで最新の情報をご確認ください。
60アンペア以下の「従量電灯B」との料金比較

100アンペア(10kVA)契約の基本料金が月額3,117.5円であることが分かりましたが、これを一般的な最大契約である60アンペアと比較してみましょう。
東京電力「従量電灯B」における60アンペア契約の基本料金は、月額「1,870.50円」です。(2025年6月現在)
一方で、100アンペア(10kVA)の基本料金は「3,117.5円」。その差額は月々「1,247円」、年間では「14,964円」もの差になります。
この差額は、純粋に基本料金の計算方法の違いによるものです。前述の通り、電気を使った分にかかる電力量料金の単価は、60アンペアでも100アンペアでも同じです。
つまり、100アンペア契約へのアップグレードは、「ブレーカーが落ちる心配をなくす」という安心感のために、毎月約1,250円の固定費を追加で支払うことと考えることができます。このコストを支払う価値がご家庭のライフスタイルにあるか、慎重な判断が求められます。
オール電化向けプラン「スマートライフ」との違いは?

100アンペアのような大容量契約を検討するご家庭の多くは、IHクッキングヒーターやエコキュートを導入した「オール電化住宅」です。その場合、東京電力の「スマートライフS/L」というプランも選択肢になります。
この「スマートライフ」プランと「従量電灯C」の最も大きな違いは、電気料金単価が時間帯によって変動する「時間帯別料金」である点です。基本料金の仕組みは同じで、10kVA契約なら月額3,117.5円です。(2025年6月現在)
しかし、電力量料金が異なります。「従量電灯C」は24時間単価が同じですが、「スマートライフS」では、深夜(午前1時~6時)の料金が割安(約27.86円/kWh)になる一方、昼間(午前6時~翌午前1時)は割高(約35.76円/kWh)に設定されています。
そのため、エコキュートでお湯を沸かしたり、電気自動車を充電したりと、夜間の電力消費が大きいライフスタイルのご家庭であれば、同じ100アンペア契約でも「従量電灯C」より「スマートライフ」プランの方が、年間の電気代を安く抑えられる可能性が高いと言えます。
電気料金の計算方法とシミュレーション例

実際に100アンペア契約で電気を使った場合の月額料金をシミュレーションしてみましょう。
【条件】
- 契約プラン:東京電力 従量電灯C
- 契約容量:10kVA(100アンペア)
- 月間使用量:500kWh
【料金計算】
- 基本料金311.75円 × 10kVA = 3,117.5円
- 電力量料金
- 第1段階(~120kWh): 120kWh × 29.80円 = 3,576円
- 第2段階(121~300kWh): 180kWh × 36.40円 = 6,552円
- 第3段階(301kWh~): 200kWh × 40.49円 = 8,098円
- 電力量料金合計: 18,226円
- 合計(燃料費調整額などを除く)3,117.5円(基本料金) + 18,226円(電力量料金) = 21,343.5円
もしこのご家庭が60アンペア契約だった場合、電力量料金は同じ18,226円ですが、基本料金が1,870.5円になるため、合計は20,096.5円です。差額は基本料金分の1,247円となります。この計算例を参考に、ご自身の電気使用状況と照らし合わせてみてください。
東京電力で100アンペア契約は必要?見直しと他社比較で節約
- 100アンペアが必要になる家庭のチェックリスト
- 契約アンペア数の確認方法と変更手続きの完全ガイド
- 【比較】東京ガス電気の10kVAプランは安い?
- 【比較】Looopでんき等、新電力の10kVAプラン料金
- 電力会社乗り換えのメリットと注意点
100アンペアが必要になる家庭のチェックリスト

高い基本料金を支払ってまで100アンペア契約が必要か、見極めるためのチェックリストです。
- 家族構成とライフスタイル5人以上の大家族や二世帯住宅など、日中に在宅者が多く、同時に多数の家電を使う家庭は100アンペアを検討する価値があります。
- オール電化住宅かどうか特にIHクッキングヒーターやエコキュートは消費電力が大きいため、オール電化住宅では100アンペアの必要性が高まります。
- 家電の同時使用をチェック最も重要なのが、ご家庭で一番電気を使う時間帯(例:冬の夕食時)に、どの家電を「同時」に使うかです。以下の目安アンペア数を合計し、60Aに迫るか超えるようなら、100Aへの変更を検討すべきです。
電化製品 | 目安アンペア数 |
IHクッキングヒーター(200V) | 20~30A |
エコキュート(お湯を沸かす時) | 最大19A |
エアコン(暖房・10畳用) | 6.6A(起動時は15~20A) |
ドラム式洗濯乾燥機(乾燥時) | 13A |
電子レンジ | 15A |
食器洗い乾燥機 | 13A |
例えば、「IH(20A) + エアコン2台(14A) + エコキュート(19A) + レンジ(15A)」を同時に使うと合計68Aとなり、60A契約ではブレーカーが落ちるため、100A契約が必要と言えます。
契約アンペア数の確認方法と変更手続きの完全ガイド

現在の契約アンペア数を確認し、実際に変更する際の手順を解説します。
■ 現在の契約アンペア数の確認方法
- 分電盤(ブレーカー)を見る: 家の分電盤にある「アンペアブレーカー」に「60A」のように数字が明記されています。
- 検針票(電気ご使用量のお知らせ)を見る: 「ご契約容量」の欄に記載されています。
- WEBサービス「くらしTEPCO web」で確認する: 東京電力の会員サイトで契約内容を確認できます。
■ 契約アンペア変更の手続き
申し込みは東京電力の公式サイトまたはカスタマーセンターへの電話で行います。工事の有無は電力メーターの種類によります。
- スマートメーターの場合: 遠隔操作で設定変更するため、工事員の訪問や立ち会いは原則不要です。
- 旧式メーター(アナログメーター)の場合: 室内のアンペアブレーカー交換工事が必要で、作業員の訪問と20分程度の停電を伴うため、立ち会いが必要です。
■ 変更時の注意点
- 契約変更は原則として1年に1回までです。
- 集合住宅では、大家さんや管理会社の承諾が必要な場合があります。
- 60A以上の契約に変更する際、宅内配線が対応していない場合は、自己負担で屋内配線工事が必要になることがあります。
【比較】東京ガス電気の10kVAプランは安い?

東京電力のライバルである「東京ガス電気」と10kVA(100アンペア)契約を比較します。
結論から言うと、基本料金に大きな差はありません。東京ガス電気の「基本プラン」のkVA単価は「1kVAあたり311.74円」と、東京電力の311.75円とほぼ同額です。(2025年6月現在)そのため、基本料金だけでの節約は期待できません。
しかし、電力量料金にわずかな差があります。特に電気を多く使う300kWh以上の第3段階料金では、東京ガスが39.50円/kWhであるのに対し、東京電力は40.49円/kWhと、東京ガスの方が少し安く設定されています。
したがって、月々の電気使用量が非常に多いご家庭(例えば500kWh以上)であれば、東京ガス電気に乗り換えることで、年間数千円程度の節約が見込める可能性があります。さらに、都市ガスとの「ガス・電気セット割」を適用すれば、お得度はさらに増すでしょう。
【比較】Looopでんき等、新電力の10kVAプラン料金

電力自由化以降に登場した「新電力」には、ユニークな料金プランがあり、10kVAのような大容量契約では大きな節約が期待できます。
- Looopでんき: 「基本料金0円」プランから、2025年4月に料金体系が変更され、契約容量に応じた「固定料金」が導入されました。10kVA契約の場合、東京電力の基本料金より安価な設定ですが、電力量料金が市場価格に連動するため価格変動リスクを伴います。
- オクトパスエナジー: 再生可能エネルギーを供給しつつ、料金の安さで人気です。特にオール電化向けプランは、時間帯別料金が東京電力より割安なケースが多く、魅力的な選択肢です。
- CDエナジーダイレクト: 中部電力と大阪ガスの合弁会社で、経営基盤の安定性が魅力。東京電力のプランより基本料金がわずかに安く設定されており、オール電化向けプランも提供しています。
電力会社 | プラン名(例) | 基本料金(10kVA相当) | 電力量料金の特徴 |
東京電力 | 従量電灯C | 3,117.5円 | 24時間同一の3段階料金 |
東京ガス | 基本プラン | 3,117.4円 | 3段階料金。東電より高使用量帯が割安 |
Looopでんき | スマートタイムONE | 約2,861円(※) | 市場価格に連動して30分毎に変動 |
オクトパスエナジー | オール電化オクトパス | 3,177.5円 | 時間帯別料金。夜間が特に割安 |
※Looopでんきの固定料金は契約kW数により決定。10kVAを7kWと換算した場合の参考値。
このように、新電力には基本料金自体が安いプランや、ライフスタイルに合えば大幅に電気代を削減できるプランがあります。10kVA契約を検討するなら、必ず複数の新電力を比較検討することをおすすめします。
電力会社乗り換えのメリットと注意点

電力会社の乗り換えは、特に10kVAのような電気を多く使う契約において、年間数万円単位の節約につながる可能性があります。乗り換えても送電網は変わらないため、電気の質が落ちたり、停電が増えたりする心配は一切ありません。
しかし、乗り換えにはいくつかの注意点も存在します。
- 違約金の確認: 現在の契約プランによっては、期間内の解約で違約金が発生する場合があります。
- プラン選択の失敗: ご自身の生活スタイルに合わないプランを選ぶと、かえって電気代が高くなるリスクがあります。料金シミュレーションは必須です。
- 事業撤退のリスク: 新電力は事業から撤退する可能性がゼロではありません。その場合でもすぐに電気は止まりませんが、速やかに次の電力会社を探す必要があります。
- 支払い方法の制限: 電力会社によっては、支払い方法がクレジットカードのみに限定される場合があります。
これらのメリットと注意点を総合的に理解した上で、ご自身の家庭に最適な電力会社とプランを選択することが、賢い電気代節約への第一歩となります。
総括:東京電力 100アンペアの基本料金について
この記事のまとめです。
- 東京電力の100アンペア契約は「従量電灯C」というプランである
- 契約単位はアンペア(A)ではなくキロボルトアンペア(kVA)で計算される
- 100アンペアは10kVA契約に相当する
- 基本料金は1kVAあたり311.75円で、10kVA契約では月額3,117.5円だ
- 60アンペア契約の基本料金(1,870.5円)より月々1,200円以上高い
- 電力量料金の単価は60アンペア以下の従量電灯Bと同一である
- コスト増の要因は基本料金のみと理解すべきだ
- オール電化住宅や5人以上の大家族などが100アンペアを要する目安
- 契約前に家電の同時使用アンペア数を計算することが重要だ
- 契約アンペアの変更はWEBや電話で可能だが、原則年1回までである
- スマートメーターなら遠隔で変更、旧式メーターは工事と立会いが必要
- オール電化なら時間帯別プラン「スマートライフ」も選択肢になる
- 東京ガス電気やLooopでんき等、新電力のほうが基本料金が安い場合がある
- 電力会社の乗り換えで電気の質が落ちることはない
- 乗り換えは料金プランの特性を理解しないと逆に高くなるリスクもある