日立のエアコン「白くまくん」に搭載されている「みはっておやすみ」機能。
夏の寝苦しい夜を快適にしてくれると評判ですが、「夜中に何度も運転するなら、結局電気代が高くなるのでは?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、電気代と省エネの専門家が、「みはっておやすみ」機能の電気代を徹底的にシミュレーションし、つけっぱなし運転と比較してどれほど節約になるのかを具体的に解説します。
さらに、この賢い機能を最大限に活用し、2025年に予測される電気料金の値上げに備えるための節約術まで、網羅的にご紹介します。
- 「みはっておやすみ」はつけっぱなしより電気代が約60%もお得
- 快適な睡眠と電気代節約を両立する賢い仕組みを解説
- 最適なタイマー設定やフィルター掃除でさらに節約効果アップ
- 2025年の電気料金値上げに備えるための根本的な対策も紹介
白くまくん「みはっておやすみ」の電気代は高い?節約効果を徹底検証
- 結論:「みはっておやすみ」の電気代は一晩約19円から
- 「みはっておやすみ」機能の賢い仕組みを解説
- つけっぱなし運転との電気代を比較シミュレーション
- 電気代の計算方法とシミュレーションの前提条件
- 暖房運転では「みはり」機能が使えない点に注意
結論:「みはっておやすみ」の電気代は一晩約19円から

早速、結論からお伝えします。日立「白くまくん」の「みはっておやすみ」機能を使った場合の電気代は、8時間の睡眠で一晩あたり約19円が目安です。これは、一般的なつけっぱなし運転と比較して大幅に安く、賢く使えば夏の電気代を大きく節約できる可能性を秘めています。
この金額は、メーカーが公式に発表している数値ではありません。実は、「みはっておやすみ」モード単体での消費電力データは公開されていないのです。そこで、専門家として、代表的な10畳モデル(RAS-X28N)の仕様を基に、この機能の動作原理から消費電力を推計し、電気代をシミュレーションしました。
具体的には、最初の数時間で部屋を冷やした後、運転を停止し、室温の上昇を検知した場合にだけ最小限の力で再運転するという、この機能の省エネな特性を考慮して計算しています。この計算の詳細や、他の運転方法との比較については、後ほど詳しく解説しますので、ぜひ読み進めてください。
「みはっておやすみ」機能の賢い仕組みを解説

「みはっておやすみ」機能がなぜ電気代を抑えつつ快適な睡眠環境を維持できるのか、その賢い仕組みを理解することが重要です。この機能は、単なるオン・オフタイマーとは全く異なる考え方で設計されています。
まず、冷房や除湿運転中にリモコンでタイマーを設定すると、設定した時間が経過した後に一度運転を停止します。ここまでは通常のオフタイマーと同じです。しかし、「みはっておやすみ」の真価はここから発揮されます。運転停止後もエアコンは眠らず、内蔵されたセンサーが室内の温度と湿度を常に「みはって」いるのです。
そして、睡眠を妨げる要因となる室温の上昇(約1〜2℃)や湿度の変化を検知すると、自動的に弱い風量で運転を再開します。部屋が再び快適な状態に戻ると、また静かに運転を停止します。この「必要な時だけ、最小限の力で働く」というサイクルを繰り返すことで、一晩中つけっぱなしにするよりも消費電力を大幅に削減できるのです。これは、快適な睡眠を諦めて暑さを我慢するか、電気代を覚悟でつけっぱなしにするか、という二者択一の悩みを解決する画期的な機能と言えるでしょう。
つけっぱなし運転との電気代を比較シミュレーション
「みはっておやすみ」機能の節約効果をより具体的に理解するために、一般的な夏の夜の利用シーンを想定し、「つけっぱなし運転」「3時間後に切タイマー」の3つのパターンで電気代を比較シミュレーションしました。
運転モード(8時間睡眠の場合) | 想定される運転内容 | 1晩あたりの電気代(目安) | 1ヶ月(30日)あたりの電気代(目安) |
みはっておやすみ | 2時間タイマー設定後、6時間みはり運転 | 約19円 | 約570円 |
冷房つけっぱなし(弱運転) | 8時間継続して運転 | 約50円 | 約1,500円 |
3時間後に切タイマー | 3時間運転後に停止 | 約30円 | 約900円 |
このシミュレーション結果から、「みはっておやすみ」がいかに経済的であるかが一目瞭然です。一晩中つけっぱなしにするケースと比較すると、電気代は約62%も安くなります。月単位で見ると、その差は約930円にもなり、ワンシーズンで考えれば大きな節約につながります。
また、途中で運転が止まってしまい、明け方に暑さで目覚めてしまう可能性がある「3時間後に切タイマー」と比較しても、快適性を維持しながら約37%も電気代を抑えることができます。このように、「みはっておやすみ」は、快適性と経済性の両方を高いレベルで実現する、非常に優れた機能なのです。
電気代の計算方法とシミュレーションの前提条件

シミュレーションの透明性を確保するため、ここで電気代の計算方法と、今回の試算で用いた前提条件についてご説明します。ご家庭の電気製品の電気代を把握する上でも役立つ知識ですので、ぜひ参考にしてください。
エアコンをはじめとする家電の電気代は、以下の計算式で算出できます。
消費電力(kW)×使用時間(h)×電力料金単価(円/kWh)
「消費電力」は、製品のカタログや取扱説明書に記載されている「W(ワット)」という単位の数値です。計算する際は、このWを1000で割って「kW(キロワット)」に変換する必要があります。例えば、消費電力が560Wの場合、0.56kWとなります。
「電力料金単価」は、ご契約の電力会社や料金プランによって異なりますが、今回は公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が目安として示している31円/kWh(2024年7月時点)を使用しました。
今回のシミュレーションでは、日立の白くまくんXシリーズの10畳向けモデル「RAS-X28N」(冷房時の定格消費電力560W、最小消費電力115W)を想定し、東京の一般的な夏の夜の環境を基に各パターンの消費電力を推計しています。
暖房運転では「みはり」機能が使えない点に注意

夏の夜に非常に便利な「みはっておやすみ」機能ですが、一つ重要な注意点があります。それは、この機能の「みはり(監視)」と「自動再運転」は、冷房・除湿・「涼快」運転時に限定されるということです。
冬場に暖房運転で「みはっておやすみ」を設定した場合、エアコンは設定された時間が経過すると運転を停止するだけで、その後、室温が下がっても自動で再運転することはありません。つまり、暖房運転時には、ごく一般的な「切タイマー」としてのみ機能します。
この点を誤解していると、「冬の朝方に寒くて目が覚めてしまった」ということになりかねません。夏の快眠をサポートする省エネ機能として開発された背景を理解し、適切なシーズンに活用することが大切です。冬場の暖房費を節約したい場合は、起床時間に合わせて運転を開始する「入タイマー」などを活用するのが効果的です。専門的な知識を持つことで、エアコンの機能を最大限に引き出し、無駄な期待や誤解を防ぐことができます。
「みはっておやすみ」を活かす、白くまくんの電気代節約術
- 快眠と節約を両立する最適なタイマー設定とは
- フィルター掃除と自動お掃除機能の重要性
- 2025年に知っておくべき電気料金の値上げ要因
- 根本的な見直し:電力会社のプラン比較のすすめ
快眠と節約を両立する最適なタイマー設定とは

「みはっておやすみ」機能の効果を最大限に引き出すには、ご自身の睡眠スタイルに合わせた最適なタイマー設定を知ることが鍵となります。この機能は、最初に設定するタイマー時間によって、その後の「みはり時間」の長さが自動的に調整される仕組みになっています。
具体的には、タイマーを30分から6時間の間で設定すると、運転時間とみはり時間の合計が約7時間になるように自動で設定されます。例えば、就寝から2時間後に運転を停止するようにタイマーを設定すれば、その後約5時間にわたってみはり運転が行われ、合計で約7時間、快適な室温が保たれることになります。一方、タイマーを7時間から9時間で設定した場合は、みはり時間が1時間に固定され、合計で8時間から10時間、機能が作動します。
この仕組みを理解すれば、より戦略的な使い方が可能です。例えば、普段の睡眠時間が7時間程度の方であれば、就寝後2〜3時間でタイマーを設定するのが最も効率的でしょう。これにより、眠りにつくまでの時間を快適に過ごし、かつ、朝方まで室温が上がりすぎるのを防ぐことができます。ご自身の生活リズムに合わせて設定を微調整することで、無駄な電力消費を抑え、快眠と節約の両立を実現してください。
フィルター掃除と自動お掃除機能の重要性

「みはっておやすみ」のような高度な省エネ機能も、エアコンの基本的なメンテナンスが疎かになっていては、その性能を十分に発揮できません。特に重要なのが、フィルターの清掃です。フィルターにホコリが詰まると、空気の通り道が妨げられ、部屋を冷やすためにより多くのエネルギーが必要になります。結果として、消費電力が増加し、電気代が高くなる原因となります。
白くまくんの上位モデルには、「凍結洗浄」や「ファンお掃除ロボ」といった、フィルターや熱交換器の汚れを自動で洗浄してくれる便利な機能が搭載されています。これらの自動お掃除機能は、1回あたり数円程度の電気代でエアコン内部を清潔に保ってくれるため、積極的に活用すべきです。
しかし、これらの機能はあくまで補助的な役割と考えるのが賢明です。最もホコリが溜まりやすいエアフィルターについては、2週間に1回程度、ご自身で取り外して掃除機で吸い取るか、水洗いすることをおすすめします。最新技術に頼るだけでなく、地道な基本メンテナンスを組み合わせることが、エアコンの効率を常に高く保ち、長期的な電気代節約につながる最も確実な方法です。
2025年に知っておくべき電気料金の値上げ要因

個々の家電製品で省エネを心がけることは非常に重要ですが、同時に、私たちを取り巻く電気料金全体の動向を理解しておくことも不可欠です。特に2025年にかけて、電気料金は複数の要因で上昇する可能性が高いと予測されており、家計への影響は避けられません。
主な値上げ要因は二つあります。一つ目は、政府による「電気・ガス価格激変緩和対策事業」の補助金が縮小・終了することです。これまで私たちの電気代は、この補助金によって1kWhあたり数円の値引きがされていましたが、その恩恵がなくなることで、使用量が同じでも請求額は上がることになります。
二つ目は、「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」の単価上昇です。これは、太陽光や風力といった再生可能エネルギーを普及させるために、電気を使用する全国民が負担している料金です。この単価は毎年見直されますが、近年は上昇傾向にあり、2024年度から2025年度にかけても過去最高水準となっています。
これらのマクロな要因を理解し、「みはっておやすみ」のような機能でコツコツと節約を積み重ねることが、今後の家計防衛においてますます重要になってくるのです。
根本的な見直し:電力会社のプラン比較のすすめ
エアコンの効率的な使い方や日々の節電努力は、電気代を削減する上で非常に有効です。しかし、それらの効果をさらに高め、より根本的な家計改善を目指すなら、契約している「電力会社」や「料金プラン」そのものを見直すことを強くおすすめします。
2016年の電力自由化以降、私たちは地域の大手電力会社だけでなく、様々な特色を持つ新電力会社からも電気を買えるようになりました。新電力の中には、大手電力会社よりも基本料金や電力量料金単価を安く設定している会社や、日中の電気代は高いものの夜間の電気代が非常に安いプランを提供している会社など、多種多様な選択肢があります。例えば、日中は仕事で家を空けることが多く、夜間に電気を多く使うライフスタイルの方であれば、夜間割引プランに切り替えるだけで、年間の電気代を数千円から数万円単位で削減できる可能性があります。
現在はインターネット上で簡単に複数の電力会社の料金を比較できるシミュレーションサイトも充実しています。一度、ご自身の電気の使い方を振り返り、最適な電力会社やプランへの乗り換えを検討してみてはいかがでしょうか。これは、節約術の中でも特にインパクトの大きい一手となり得ます。
総括:「白くまくん みはっておやすみ」は電気代を抑え快適な眠りを実現する賢い選択
この記事のまとめです。
- 日立「白くまくん」の「みはっておやすみ」機能は、夏の夜の快適な睡眠と電気代節約を両立させることを目的としている
- この機能の一晩あたりの電気代は、シミュレーション上、約19円が目安である
- 一晩中つけっぱなし運転(約50円)と比較して、電気代を約62%削減できる可能性がある
- 3時間後に停止する切タイマー(約30円)よりも経済的かつ快適である
- 機能の仕組みは、タイマー停止後に室温を監視し、温度が1〜2℃上昇すると自動で再運転するものである
- 再運転は弱い風量で行われ、消費電力を最小限に抑える
- この機能は冷房・除湿・「涼快」運転時のみ有効である
- 暖房運転時に設定すると、通常の切タイマーとしてのみ機能し、自動再運転はしない
- タイマー設定時間によって、その後の「みはり時間」が自動調整される
- 30分〜6時間設定で合計約7時間、7時間〜9時間設定で合計約8〜10時間動作する
- フィルターが汚れていると省エネ性能が低下するため、定期的な清掃が不可欠である
- 「凍結洗浄」などの自動お掃除機能も活用し、エアコン内部を清潔に保つことが重要である
- 2025年にかけて、政府の補助金終了や再エネ賦課金の値上げにより、電気料金全体が上昇する見込みである
- 日々の節電努力の重要性が、今後さらに増していく
- 根本的な電気代削減のためには、契約中の電力会社や料金プランの見直しが極めて有効である