オイルレスヒーターは「部屋がじんわり暖まって快適だけれど、電気代が高そうで不安」という声が多い暖房器具です。静かで乾燥しにくく、安全性も高い一方で、「本当にどのくらいお金がかかるのか」が分かりにくいのも事実です。
この記事では、日本の一般家庭向け電気料金を前提に、オイルレスヒーターの電気代の目安、エアコンやパネルヒーターなど他の暖房器具との比較、1時間・1か月あたりのシミュレーション、そして電気代を抑える具体的な使い方までをまとめて解説します。
電気代の仕組みや1kWhあたりの目安単価、オイルレスヒーターの消費電力と電気代の計算方法、エアコン暖房とのかしこい組み合わせ方も取り上げますので、「オイルレスヒーターの電気代をできるだけ抑えながら、乾燥しにくい暖かさを手に入れたい」という方に役立つ内容になっています。
- 日本の一般家庭向け電気料金を前提にオイルレスヒーターの電気代を解説
- 1時間・1か月あたりのオイルレスヒーター電気代を具体的に試算
- エアコン・パネルヒーターなど他の暖房器具との電気代・特徴を比較
- オイルレスヒーターの電気代を抑えるための具体的な節約テクニック
オイルレスヒーターの電気代の基礎知識
- オイルレスヒーターとは?仕組みと特徴
- 日本の電気料金単価と電気代の計算方法
- オイルレスヒーターの消費電力と電気代の目安
- エアコンや他の暖房器具との電気代比較
オイルレスヒーターとは?仕組みと特徴

本記事で扱うのは、日本の一般家庭向け100V電源で使う「オイルレスヒーター(オイルフリーヒーター)」です。外観はオイルヒーターとよく似ていますが、内部構造が少し異なります。
一般的なオイルヒーターは、本体内部の金属フィンの中に入っているオイルを電気で温め、そのオイルの熱が金属フィンに伝わり、そこから輻射熱と自然対流で部屋を暖めます。これに対してオイルレスヒーターは内部にオイルを持たず、ヒーターで空気や金属パネルを直接温め、その熱を輻射熱や自然対流で広げる方式が採用されています。
オイルを温めるプロセスがない分、立ち上がりが比較的早く、同クラスのオイルヒーターよりも部屋が暖まるまでの時間を短縮しやすいとされます。また、オイルが入っていないため本体が比較的軽く、移動させやすい点も特徴です。実際に、代表的なオイルレスヒーターでは最大出力を600W・900W・1,200W・1,500Wから選べるモデルもあり、用途や部屋の広さに合わせて使いやすく設計されています。
一方で、エアコンやガスファンヒーターのように強い温風で一気に部屋を暖める機種ではないため、「部屋全体をじんわり暖める」「就寝時や子ども部屋で穏やかな暖房をしたい」といった用途に向いています。燃料を燃やさない電気ヒーターなので、空気が汚れにくく、ファンを使わないタイプであれば温風も出さないため、乾燥しにくい・ホコリが舞い上がりにくいといったメリットもあります。
ただし、オイルレスヒーターは電気ヒーターの一種であり、消費電力(W)が比較的大きめです。暖房の立ち上がりが早い反面、使い方によっては電気代がかさみやすい側面があります。電気代の不安を解消するには、「1時間あたり」「1日あたり」「1か月あたり」の電気代の目安を具体的な数字で把握し、自宅の使い方に当てはめて考えることが重要です。
また、表面温度はストーブほど高温になりにくい設計のモデルが多く、約60〜80℃程度を目安にしている製品もありますが、小さな子どもやペットが触り続けると低温やけどのリスクは残ります。安全性の高さに過信せず、「転倒オフ機能」や「チャイルドロック」がある機種を選び、コードのたこ足配線は避けるなど、基本的な安全対策もあわせて行いましょう。
日本の電気料金単価と電気代の計算方法

オイルレスヒーターの電気代を考える前に、前提となる「1kWhあたりの電気料金の目安」を押さえておきます。
日本では、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が、家庭向け家電のカタログなどで使う「電力料金の目安単価」を公表しており、令和4年7月22日の改訂以降、31円/kWh(税込)が目安として使われています。多くの家電メーカーや電力会社のシミュレーションでも、この31円/kWhが前提として採用されています。
ただし、これはあくまで「平均的な目安」です。実際の電気料金単価は、契約している電力会社、料金プラン(従量電灯・時間帯別・オール電化向けプランなど)、使用量の多寡によって異なります。例えば九州電力の一般家庭向け従量電灯Bでは、使用量の段階に応じて1kWhあたり約18〜26〜27円台程度で区分されており、ここに燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)が加わります。
電気代の基本的な計算式は、家電メーカーや電力会社が共通して次のように示しています。
電気代(円)= 消費電力(W) ÷ 1000 × 使用時間(h) × 電気料金単価(円/kWh)
この式に、消費電力と使用時間、1kWhあたりの単価を当てはめれば、ヒーター以外の家電でも同じように電気代を試算できます。
電気料金の明細書を見ると、
- 基本料金(または最低料金)
- 電力量料金(従量料金)
- 燃料費調整額
- 再エネ賦課金
といった項目に分かれていることが多く、電力量料金と再エネ賦課金が「使えば使うほど増える部分」です。再エネ賦課金は毎年度見直されており、例えば2024年度(2024年5月分〜2025年4月分)は3.49円/kWh、2025年度(2025年5月分〜2026年4月分)は3.98円/kWhと公表されています。
この記事では、日本の一般家庭向け電気料金を前提とし、電気料金単価は上記の「31円/kWh」を目安として試算を行います。実際にご自宅でかかる電気代は、契約している電力会社・料金プラン・燃料費調整額などにより前後しますので、詳細は各社の料金表や「料金シミュレーション」で確認することをおすすめします。
電気代を正確に把握したい場合は、
- 明細または電力会社のアプリで「1kWhあたりの実質単価」を確認する
- 使用量(kWh)と請求金額(税込)から「金額÷使用量」で自宅の平均単価をざっくり求める
- その単価を上の計算式に入れて、オイルレスヒーターの電気代を自宅仕様で計算する
といったステップを踏むと、よりリアルな金額がイメージしやすくなります。
オイルレスヒーターの消費電力と電気代の目安

市販されているオイルレスヒーターの消費電力は、製品によって300〜1,500W程度の幅がありますが、600〜1,500Wクラスのモデルが主流です。600W・800W・1,000W・1,200W・1,500Wなど複数の出力段階を切り替えられるタイプが多く、必要な暖かさに応じて出力を下げれば、その分だけ電気代も抑えられます。
同じく電気ヒーターであるオイルヒーターの例では、消費電力300〜1,500Wに対して、1時間あたりの電気代は目安単価31円/kWhで計算すると約9〜47円程度と紹介されています。オイルレスヒーターについても、消費電力300〜1,500Wの範囲で「1時間あたり約9〜46.5円」とする解説があり、使い方や省エネ機能によってはオイルヒーターより電気代を抑えやすいとされています。
ここでは、目安単価31円/kWhを使い、代表的な消費電力ごとの1時間・1か月(1日6時間 × 30日使用)の電気代の試算例を示します。
| 消費電力 | 1時間あたりの電気代の目安 | 1か月あたりの電気代の目安(1日6時間×30日) |
|---|---|---|
| 600W | 約19円 | 約3,300円 |
| 1,000W | 約31円 | 約5,600円 |
| 1,500W | 約47円 | 約8,400円 |
(電気料金単価31円/kWhで単純計算したシミュレーション例です)
計算のイメージは次のとおりです。
- 600Wの場合
0.6kW × 1時間 × 31円 ≒ 18.6円(約19円)
18.6円 × 6時間 × 30日 ≒ 3,348円(約3,300円)
- 1,000Wの場合
1.0kW × 1時間 × 31円 = 31円
31円 × 6時間 × 30日 = 5,580円(約5,600円)
- 1,500Wの場合
1.5kW × 1時間 × 31円 = 46.5円(約47円)
46.5円 × 6時間 × 30日 = 8,370円(約8,400円)
総務省の家計調査をもとにした試算では、例えば2人世帯の1か月あたりの平均電気代はおおむね1万1,000円前後とされています。仮に1,500W相当の出力でオイルレスヒーターを毎日6時間使い続けた場合、暖房シーズンの電気代に月約8,000円台が上乗せされる計算になり、世帯全体の電気代と比較するとかなり大きな割合を占めることが分かります。
ただし、実際の運転ではサーモスタットによるオン・オフ制御が働き、常に最大出力で動き続けるわけではありません。室温が上がると自動で出力を絞ったり停止したりするため、断熱性能が高い住宅や狭めの部屋では、上記の「単純計算の金額」より低くなるケースも多くあります。一方で、断熱性が低い部屋や、窓が大きく外気温が非常に低い環境では、長時間フルパワーに近い状態が続き、同程度かそれ以上になることもあります。
また、「就寝時だけ9時間使う」「在宅時間の長い休日は長めに使う」といった使い方だと、平均の使用時間はもう少し増えるかもしれません。逆に「出力を600〜900Wに抑え、必要なときだけ使う」運転に切り替えれば、月数千円レベルに収まるケースもあります。最近はメーカーがシミュレーション結果を公表していることも多いので、自分が気になる機種の「電気代の目安」を一度チェックしておくと安心です。
エアコンや他の暖房器具との電気代比較

オイルレスヒーターの電気代を考えるとき、よく比較対象になるのがエアコン暖房やセラミックファンヒーター、パネルヒーター、電気ストーブなどです。
エアコン暖房については、製品の性能や部屋の広さによって幅がありますが、一般的な家庭用エアコンでは1時間あたりの電気代がおおむね約3〜46円程度と紹介されています。実際には、立ち上げ時に一時的に大きな電力を使い、その後は出力を絞って運転するため、「常に最大46円」というわけではありません。近年の省エネ性能の高い機種や、適切な容量を選んだ場合には、6〜10畳用であれば実使用時の平均的な1時間あたりの電気代目安が十数円前後に収まる試算もあります。
一方、オイルヒーターやパネルヒーターなどの電気ヒーターは、消費電力がそのまま電力使用量になるため、最大1,000〜1,500Wクラスでは、1時間あたりの電気代が30〜40円台になる試算が一般的です。オイルレスヒーターは同じ「電気を熱に変える」タイプですが、オイルを介さない構造や多段階の出力制御、省エネモードなどによって、条件次第ではオイルヒーターよりやや電気代を抑えやすいとする解説もあります。それでも、ヒートポンプ方式のエアコン暖房と比べると、電気代の面では不利になりやすい傾向は変わりません。
代表的な暖房器具を、「1時間あたりの電気代」と「向いている用途」という観点でざっくり整理すると、次のようなイメージになります(31円/kWh程度を前提とした目安)。
- エアコン(暖房)
約3〜46円前後。部屋全体を暖める効率に優れ、主暖房向き。
- オイルレスヒーター/オイルヒーター/パネルヒーター
約9〜46円前後。静かで乾燥しにくく、就寝時や子ども部屋、足元の暖房など快適性重視の用途に向く。
- セラミックファンヒーター
約20〜40円台。立ち上がりが非常に早く、脱衣所やトイレなど短時間のスポット暖房向き。空気が乾燥しやすい。
- こたつ・ホットカーペット・電気毛布
1時間あたり数円〜十数円程度と安く、局所的に体を暖めるのが得意。
まとめると、
- 電気代を最優先するなら、基本は「エアコン暖房」が有利
- 空気の乾燥や音、風が苦手なら「オイルレスヒーター」「パネルヒーター」などの輻射・自然対流系が候補
- オイルレスヒーターは快適性が高いが、出力や使い方を誤ると電気代がかさみやすい
という位置づけになります。
オイルレスヒーターの電気代を抑える使い方
- 設定温度と運転モードで電気代を節約
- 暖房効率を高める工夫とサーキュレーター併用
- 電気料金プラン・時間帯を意識した使い方
- オイルレスヒーターと他暖房器具のかしこい併用
設定温度と運転モードで電気代を節約

オイルレスヒーターの電気代を抑えるうえで、最も影響が大きいのが「設定温度」と「出力(運転モード)」です。
多くの機種は、強・中・弱といった出力切り替えや、エコモード、タイマー機能を備えています。最大出力(1,200〜1,500W)で長時間連続運転を行うと、前述の計算式からも分かるとおり、1時間あたりの電気代は40円台に達し、1日数百円、1か月で数千〜1万円近い電気代になる可能性があります。
一方、暖房の快適さは「室温」と「体感温度」のバランスで決まります。資源エネルギー庁などの省エネ情報では、冬の室温の目安として20℃程度が示されており、厚着やひざ掛けを組み合わせる前提なら、もう少し低めでも十分に快適に過ごせるとされています。
具体的には、次のような使い方が有効です。
- 設定温度を1〜2℃下げてみる(20〜22℃を起点に調整)
- 立ち上がりは「強」で部屋を暖め、一定の温度に達したら「中〜弱」に切り替える
- エコモードを活用し、室温を保ちながら消費電力を自動で抑える
- 不在時や寝入った後もつけっぱなしにならないよう、タイマーを活用する
実際、オイルヒーターのメーカーが行っているシミュレーションでは、同じ部屋・同じ温度設定でも、エコ運転時には通常運転より1時間あたりの電気代が数円程度下がる例が紹介されています。オイルレスヒーターでも、サーモスタット制御と出力切り替えを上手に組み合わせることで、「立ち上がりは強で部屋を暖め、一定の温度に達したら中〜弱に切り替える」といったメリハリのある運転にすれば、最大出力で垂れ流し続けるよりも電気代を抑えやすくなります。
目安としては、
- リビングなど活動量の高い部屋:設定温度20〜22℃
- 就寝時・子ども部屋:18〜20℃程度
を一つの起点とし、着るものや寝具とのバランスを見ながら設定温度を調整していくとよいでしょう。エアコンと同様、「設定温度を上げすぎない」「長時間つけっぱなしで出力を上げ続けない」ことが、電気代節約の基本になります。
また、ヒーターのコンセントは専用回路で使用し、延長コードやタコ足配線は避けることも重要です。オイルレスヒーターは1,000〜1,500Wクラスの高負荷機器にあたるため、配線の許容容量を超えると発熱や火災のリスクが高まります。
暖房効率を高める工夫とサーキュレーター併用

同じ出力でも、部屋の断熱性や空気の循環が悪いと、暖房効率が下がり、無駄な電気代につながります。オイルレスヒーターは静かで自然な暖まり方が魅力ですが、そのぶん「部屋の熱を逃がさない工夫」をセットで考えることが大切です。
具体的には、次のような断熱対策が効果的です。
- 窓からの冷気を減らすため、厚手のカーテンや断熱カーテンを使う
- 玄関や廊下との扉を閉め、暖める空間をできるだけ区切る
- 床からの冷え対策として、ラグやカーペットを敷く
- すき間風が気になる窓やドアには、すきまテープや断熱シートを貼る
これらはエアコンや他の暖房にも共通する省エネ対策として、資源エネルギー庁の家庭向け省エネ情報でも紹介されている内容です。
さらに、オイルレスヒーターとサーキュレーターや小型扇風機を組み合わせる使い方も有効です。天井付近にたまった暖かい空気を部屋全体に循環させることで、体感温度を上げ、ヒーター本体の出力を抑えても快適に過ごしやすくなります。サーキュレーターの消費電力は数十W程度の製品が多く、1時間あたりの電気代はおおむね1円前後〜数円程度と、暖房器具に比べて小さいため、トータルの電気代を抑える効果が期待できます。
オイルレスヒーターは「足元」や「体の近く」に置いた方が、同じ室温でも暖かく感じやすくなります。メーカーの安全基準や取扱説明書に従いながら、
- 窓際や外壁側に置いて冷気を打ち消す
- ソファ付近やデスク足元など、冷えやすい場所を重点的に暖める
- 出入口や階段付近に置き、冷気の侵入をブロックする
といった配置の工夫を行うと、「部屋全体を必要以上に暖める」ことを避けられ、結果的に電気代の節約につながります。
ポイントは、「同じワット数でも、断熱性と空気の循環を良くすれば快適性が上がり、出力を下げても済む」ということです。オイルレスヒーター単体のスペックだけでなく、部屋側の条件を整えることが、電気代削減の近道になります。
電気料金プラン・時間帯を意識した使い方

オイルレスヒーターの電気代は、ヒーター本体の消費電力だけでなく、「どの時間帯に、どれくらい使うか」にも左右されます。
日本の家庭向け電気料金プランには、従量電灯のほか、夜間の単価が低くなる時間帯別プランや、オール電化向けのプランなどがあり、同じ1kWhでも時間帯や契約によって単価が異なるケースがあります。例えば、夜間の電力量料金を安く設定し、昼間は高めに設定するプランでは、「夜に電気を多く使う家ほど有利」になる設計です。
このようなプランを利用している場合には、次のような使い分けが有効です。
- 就寝前〜就寝中など単価の安い夜間は、オイルレスヒーターを中心に使用する
- 日中の在宅時間は、効率の良いエアコン暖房を中心に使い、オイルレスヒーターは足元用など部分暖房に絞る
- 曜日や在宅パターンによって、ヒーターを使う時間帯を意識的にまとめる
また、再エネ賦課金など、国の制度に連動した料金項目も毎年度見直されるため、同じ使用量でも年度によって電気料金合計が上下します。2024年度から2025年度にかけては、再エネ賦課金単価が1kWhあたり3円台後半へと引き上げられており、使用量の多い家庭ほど影響が大きくなります。
電気料金プランと時間帯を活かして電気代を抑えるためには、
- 自宅の契約プランと「時間帯別の単価」を一度確認する
- 電力会社の「料金シミュレーション」や「電気料金のお知らせ」で、季節ごとの使用量と電気代の推移を見る
- オイルレスヒーターを使う時間帯が、どのくらいの単価に該当するかを把握する
といったチェックが有効です。
特に在宅勤務が多い家庭では、「日中にエアコンを主暖房にしつつ、夕方以降は出力を落としたオイルレスヒーターを足元用に使う」といった時間帯ごとの使い分けを意識すると、快適性を保ちながら電気代の増加を抑えやすくなります。
オイルレスヒーターと他暖房器具のかしこい併用

電気代と快適性のバランスを考えると、「オイルレスヒーターだけで暖房を完結させる」よりも、「エアコンなど他の暖房と併用する」ほうがトータルの光熱費を抑えやすいケースが多くなります。
エアコンはヒートポンプ方式により、投入した電力以上の熱エネルギーを室内に運ぶことができるため、1時間あたりの電気代は部屋の条件にもよりますが、同じ1,000〜1,500Wクラスの電気ヒーターと比べて効率が良いとされています。
一方、オイルレスヒーターは、
- 風や音が少なく、就寝時や勉強部屋に向いている
- 部屋全体を高温にしなくても、足元や体の近くを重点的に暖められる
- 表面温度を抑えた安全設計のモデルが多く、子どもやペットがいる家庭で安心しやすい
といった特徴があります。そのため、「長時間つけっぱなしにする主暖房」というより、「エアコン+部分暖房」の組み合わせとして使うのが現実的です。
例えば、次のような使い方が考えられます。
- 日中はエアコンで部屋全体を暖め、夕方〜就寝前はオイルレスヒーターをソファ付近や足元に置いて使用する
- 寝室はエアコンの設定温度を控えめにしつつ、オイルレスヒーターを低出力・タイマー付きで補助的に使う
- 子ども部屋や書斎では、エアコンを主暖房としつつ、足元の冷えが気になる時間帯だけオイルレスヒーターを足元に置く
- 吹き抜けや天井の高いリビングでは、エアコン+サーキュレーター+オイルレスヒーターの組み合わせで、床付近の冷えを補う
重要なのは、「オイルレスヒーターをずっと最大出力で運転する」のではなく、
- どの部屋で
- どの時間帯に
- どの暖房器具を主役にするか
を整理したうえで、オイルレスヒーターを「快適性を高めるサブ的な存在」として位置づけることです。
また、こたつやホットカーペット、電気毛布など、1時間あたり数円〜十数円で利用できる暖房と組み合わせるのも有効です。「全体はエアコンで20℃前後をキープしつつ、座る場所にはこたつ、どうしても冷えやすい足元にだけオイルレスヒーター」というように、役割を分けて考えると、快適さと電気代の両立がしやすくなります。
総括:オイルレスヒーター電気代を理解して上手に節約する
- オイルレスヒーターは、オイルを使わず空気やパネルを直接温める電気ヒーターであり、静かで乾燥しにくく、安全性の高い暖房器具である。
- 本記事は、日本の一般家庭向け電気料金を前提に解説しており、電気代の試算には全国家庭電気製品公正取引協議会が示す1kWhあたり31円という電力料金目安単価を使用している。
- 電気代の計算には「消費電力(W)÷1000×使用時間(h)×1kWhあたりの単価」という基本式を用いれば、ヒーター以外の家電にもそのまま適用できる。
- オイルレスヒーターの消費電力は300〜1,500Wクラスが多く、600〜1,500Wのモデルが主流である。
- 目安単価31円/kWhでは、1,500Wを1時間使用すると約46.5円の電気代となり、1日6時間×30日使うと月約8,400円前後になる試算となる。
- 総務省の家計調査などをもとにすると、2人世帯の1か月あたりの平均電気代はおおむね1万1,000円前後であり、1,500Wクラスを毎日6時間使うと、世帯全体の電気代の7〜8割に相当する負担が上乗せされうる。
- エアコン暖房は、1時間あたり約3〜46円程度とされる試算があり、同程度の暖かさを得る場合、ヒートポンプの効率によって電気ヒーターより有利になりやすい。
- オイルレスヒーターは乾燥しにくく静かで、表面温度を抑えた安全設計のモデルも多いなど、快適性と安全性の面で大きなメリットがある。
- 電気代を抑えるには、設定温度と出力を上げ過ぎず、エコモードやサーモスタット制御を活用して「強で立ち上げ→中〜弱で維持」という運転にすることが重要である。
- サーキュレーターや断熱カーテン、ラグなどと組み合わせて暖房効率を高めると、同じ快適さでも必要な出力を下げられ、省エネにつながる。
- 契約している電力会社の料金プランや時間帯別単価、再エネ賦課金の水準を確認し、電気代の高い時間帯にできるだけ電力使用を集中させない工夫をすることが大切である。
- オイルレスヒーター単独で部屋全体を暖め続けるより、エアコンやこたつ・ホットカーペットなど他の暖房器具と併用した方が、家計に有利になる場合が多い。
- オイルレスヒーターは「部屋全体の主暖房」というより、「快適性を補う部分暖房」と位置づけると使いやすく、電気代もコントロールしやすい。
- オイルレスヒーターの電気代をきちんと把握し、自宅の電気料金単価や部屋の断熱性に合わせて運転を工夫することが、暖かさと節約を両立させる近道である。
オイルレスヒーターは、正しい知識と少しの工夫で「思ったよりも快適に、思ったよりも電気代を抑えられる」暖房器具です。この記事の内容を参考に、ご自宅の電気料金やライフスタイルに合わせた上手な付き合い方を検討してみてください。
