「豆電球をつけっぱなしにしているけど、電気代はいくらだろう?」と気になっていませんか。
実は、豆電球そのものの電気代はごくわずかです。この記事では、豆電球の正確な電気代を計算する方法から、電気代を構成する「燃料費調整額」などの複雑な内訳まで、専門家が分かりやすく解説します。
さらに、LED電球への交換がもたらす驚きの節約効果や、待機電力との比較、そして最も効果的な節約術である電力会社の乗り換えまで、あなたの家の電気代を根本から見直すための知識を網羅的にお届けします。
- 豆電球の電気代は1ヶ月約37円とごくわずか
- 電気代は基本料金に加え3つの変動要素で決まる
- LED電球に交換すれば電気代も寿命も10倍以上お得
- 根本的な節約には電力会社の乗り換えが最も効果的
豆電球の電気代は月30円?正確な料金と計算方法を解説
- 結論:豆電球の電気代は1ヶ月で約37円
- ワット数で違う?5Wと10Wの電気代比較
- 電気代の内訳:基本料金と3つの変動要素
- 自分でできる!電気代の簡単シミュレーション
結論:豆電球の電気代は1ヶ月で約37円

夜間の常夜灯として使われる豆電球(ナツメ球)。つけっぱなしにすることが多いため、電気代が気になる方も多いでしょう。結論から言うと、一般的な5W(ワット)の豆電球を毎日8時間つけっぱなしにした場合、1ヶ月の電気代は約37円です。これは、多くの方が想像するよりもかなり低い金額ではないでしょうか。
この金額は、以下の計算式で算出できます。電気代の計算は、消費電力(kW)に使用時間(h)と電力量料金単価(円/kWh)を掛けることで求められます。
計算式:
消費電力(kW) × 使用時間(時間) × 電力量料金単価(円/kWh)
具体的な数値を入れてみましょう。5Wは0.005kWです。1日の使用時間を8時間、1ヶ月を30日とし、電力量料金の目安単価として31円/kWhで計算します。
0.005kW × 8時間/日 × 30日 × 31円/kWh = 37.2円
このように、豆電球単体の電気代は家計を圧迫するほどの金額ではありません。しかし、この小さな電気代の計算から、家庭全体の電気代を見直すための重要なヒントが見えてきます。まずはこの基本を理解することが、賢い節約への第一歩となります。
ワット数で違う?5Wと10Wの電気代比較
豆電球には、一般的な5Wの他にも10Wや20Wといった異なる消費電力の製品が存在します。当然ながら、このワット数が大きくなるほど消費する電力量が増え、電気代もそれに比例して高くなります。
先ほどの計算式を使って、10Wの豆電球の電気代を計算してみましょう。条件は同じく、毎日8時間、1ヶ月30日間使用し、電力量料金単価を31円/kWhとします。10Wは0.01kWなので、計算は以下のようになります。
0.01kW × 8時間/日 × 30日 × 31円/kWh = 74.4円
5Wの豆電球が約37円だったのに対し、10Wでは約74円と、ちょうど2倍の金額になりました。このように、家電製品の電気代は消費電力(W)に正比例するという基本原則が分かります。この考え方は、豆電球だけでなく、エアコンや冷蔵庫、電子レンジなど、家庭にあるすべての電化製品に当てはまります。
消費電力が大きい家電ほど、使用時間あたりの電気代は高くなります。普段何気なく使っている家電のワット数を確認し、どれが家庭の電力消費の大きな要因となっているのかを意識することが、効果的な節約計画を立てる上で非常に重要です。
電気代の内訳:基本料金と3つの変動要素

私たちが毎月支払う電気料金は、非常に複雑な構造をしています。先ほど計算で用いた「31円/kWh」という単価はあくまで目安であり、実際の電気代は「基本料金」と、使用量に応じて変動する「電力量料金」、そして毎月変動する3つの要素の合計で決まります。
1つ目は「電力量料金」です。これは電力の使用量に応じて課金される料金で、多くの電力会社では使用量が増えるほど単価が高くなる三段階料金制度を採用しています。例えば東京電力の「従量電灯B」プランでは、最初の120kWhまで、120kWhから300kWhまで、300kWh超過分でそれぞれ単価が異なります。
2つ目は「燃料費調整額」です。これは火力発電に用いる原油や液化天然ガス(LNG)、石炭の価格変動を電気料金に反映させるための調整額です。燃料価格が上がればプラスに、下がればマイナスに調整され、毎月変動します。
3つ目は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」です。これは太陽光や風力など、再生可能エネルギーの普及を支えるために、電気を使用する全国民が負担する料金です。この単価は国が年度ごとに定めており、電気使用量に応じて請求されます。2025年5月分から適用される単価は3.98円/kWhです。これらの要素が組み合わさることで、最終的な請求額が決定されるのです。
自分でできる!電気代の簡単シミュレーション
これまでの情報を元に、ご家庭の豆電球にかかる電気代をより正確に計算してみましょう。必要なものは、お使いの豆電球のワット数と、電力会社から毎月届く「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」です。
ステップ1:豆電球のワット数(W)を確認する
まず、照明器具から豆電球を取り外し、ガラスや口金部分に記載されているワット数を確認してください。「5W」や「10W」といった表記があるはずです。ワット数を1000で割ると、キロワット(kW)に変換できます。例えば、5Wなら0.005kWです。
ステップ2:検針票から「実質的な電力量料金単価」を把握する
検針票に記載されている「ご請求金額」と「ご使用量(kWh)」を確認します。請求金額には基本料金などが含まれていますが、ここでは簡便的に「ご請求金額 ÷ ご使用量」で1kWhあたりの平均単価を算出してみましょう。これにより、燃料費調整額や再エネ賦課金を含んだ、ご家庭のリアルな電気代単価の目安が分かります。
ステップ3:計算式に当てはめる
最後に、これらの数値を計算式に当てはめます。例えば、5Wの豆電球を1日8時間、30日間使用し、ご家庭の平均単価が35円/kWhだったとします。
0.005kW × (8時間 × 30日) × 35円/kWh = 42円
このシミュレーションを通じて、ご自身の生活における電気のコストを具体的に把握することができます。この方法は他の家電にも応用できるため、ぜひ一度、試してみてください。
豆電球の電気代より効果大!究極の節約術を専門家が伝授
- 最強の節約はLED電球への交換で決まり
- LED電球のメリットと見落としがちな注意点
- 家電の待機電力、実は豆電球より高い?
- 電力会社の乗り換えで根本的に電気代を削減
最強の節約はLED電球への交換で決まり

豆電球の電気代が月々約37円と聞いて、安心したかもしれません。しかし、節約の観点から見れば、これは改善の余地が大きいポイントです。最も簡単で効果絶大な節約術は、従来の豆電球(白熱電球)を「LED豆電球」に交換することです。
LED豆電球の消費電力は、わずか0.5W程度。これは従来の5W豆電球の10分の1です。つまり、交換するだけで豆電球にかかる電気代を90%も削減でき、月々のコストは約3.7円になります。
初期費用はLEDの方が高いですが、その差はすぐに取り戻せます。以下の表は、10年間使用した場合の総コストを比較したものです。LED電球は寿命が約40,000時間と非常に長く、白熱電球(約2,000時間)の20倍も長持ちします。そのため、電球自体の買い替え費用も大幅に削減できるのです。
項目 | 豆電球(白熱) | LED豆電球 | 備考 |
消費電力 | 5W | 0.5W | 90%削減 |
1ヶ月の電気代 | 約37円 | 約3.7円 | 33.3円の節約 |
1年間の電気代 | 約446円 | 約45円 | 401円の節約 |
本体価格目安 | 約100円 | 約500円 | LEDは初期費用が高い |
定格寿命 | 約2,000時間 | 約40,000時間 | 20倍の長寿命 |
初年度総コスト | 約546円 | 約545円 | ほぼ1年で元が取れる |
10年間の総コスト | 約6,460円 | 約950円 | 5,510円の差 |
表が示す通り、わずか1年で初期投資の差はほぼなくなり、長期的には5,000円以上の大きな差が生まれます。たった一つの電球交換が、これほどの節約につながるのです。
LED電球のメリットと見落としがちな注意点

LED電球への交換は、電気代の節約と長寿命という大きなメリットだけではありません。他にも多くの利点があります。例えば、LEDの光は紫外線や熱線をほとんど含まないため、絵画や写真を色褪せさせにくく、虫が寄りにくいという特徴もあります。また、衝撃に強く壊れにくいため、地震などの際にも安心です。
しかし、LED電球を選ぶ際にはいくつかの注意点があります。これらを見落とすと、「思ったより暗かった」「すぐに切れてしまった」といった失敗につながりかねません。
まず、調光機能(明るさを調節できる機能)が付いた照明器具には、「調光器対応」と記載されたLED電球を使用する必要があります。非対応の製品を使うと、故障や極端な短寿命の原因となります。
次に、浴室や屋外の照明など、湿気が多かったり密閉されたりする器具には、「密閉形器具対応」の表示がある製品を選びましょう。LEDは熱に弱いため、放熱がうまくいかない環境では寿命が著しく短くなることがあります。
さらに、光の広がり方(配光角)や光の色(光色)も重要です。部屋全体を照らしたい場合は広配光タイプ、リラックスしたい空間には暖色系の電球色、作業する場所には昼光色など、用途に合わせて選ぶことが快適な空間作りの鍵となります。購入前に、現在使っている電球の仕様や設置場所の環境をしっかり確認することが大切です。
家電の待機電力、実は豆電球より高い?
豆電球の消費電力である5Wという数値を、一つの基準として考えてみましょう。実は、私たちの家庭には、この豆電球よりも多くの電力を「使っていない時」に消費している機器が数多く存在します。それが「待機電力」です。
待機電力とは、電源がオフの状態でもコンセントに接続されているだけで消費される電力のことです。例えば、リモコンからの信号を待っているテレビやエアコン、時刻を表示している電子レンジなどがこれにあたります。資源エネルギー庁の調査によれば、一世帯あたりの年間消費電力量のうち、約5%をこの待機電力が占めているとされています。
個々の機器の待機電力は1W未満と小さいものが多いですが、家庭内にある多数の機器の合計は決して無視できません。例えば、複数の家電や充電器が常時コンセントにつながっている状態は、合計すると5Wを超え、まるで豆電球を24時間つけっぱなしにしているのと同じ状況になり得ます。
豆電球の明かりは目に見えるため電気代を意識しやすいですが、本当に注意すべきは、こうした目に見えない「隠れた電力消費」です。長時間使用しないテレビやパソコン、ゲーム機などの主電源を切る、またはコンセントからプラグを抜くといった小さな習慣が、豆電球の節約よりも大きな効果を生むことを覚えておきましょう。
電力会社の乗り換えで根本的に電気代を削減
豆電球をLEDに交換したり、待機電力を削減したりすることは非常に有効な節約術です。しかし、毎月の電気代を根本的かつ大幅に削減したいと考えるなら、最も効果的な方法は「電力会社の乗り換え」です。
2016年の電力小売全面自由化により、私たちは地域の大手電力会社だけでなく、さまざまな特色を持つ「新電力」から、自分のライフスタイルに合った電力会社や料金プランを自由に選べるようになりました。例えば、夜間の電気代が安いプラン、ガスとのセット割引があるプラン、再生可能エネルギーを中心とした電力を供給するプランなど、選択肢は多岐にわたります。
電力会社を切り替えても、送電網は従来と同じものが使われるため、電気の品質が落ちたり、停電しやすくなったりすることはありません。手続きも、新しい電力会社にウェブサイトなどから申し込むだけで、現在の電力会社への解約手続きは不要な場合がほとんどです。
ただし、乗り換えを検討する際には注意点もあります。一部のプランでは契約期間の縛りや解約金が設定されている場合があります。また、比較サイトで提示される派手なキャッシュバックキャンペーンは、受け取り条件が複雑で、申請時期が1年近く先になることもあります。乗り換えは大きな節約につながる可能性を秘めていますが、契約内容をしっかりと確認し、ご自身の電力使用状況と照らし合わせて慎重に選ぶことが成功の鍵となります。
総括:豆電球の電気代は小さいが、節約意識を高める絶好の機会
この記事のまとめです。
- 一般的な5Wの豆電球の電気代は、1日8時間使用で月額約37円である
- 豆電球の電気代は消費電力(ワット数)に正比例する
- 電気料金は、基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金で構成される
- 燃料費調整額は、燃料価格の変動に応じて毎月変動する調整金である
- 再エネ賦課金は、再生可能エネルギー普及のために国民が負担する料金である
- 検針票を見れば、自身の家庭のリアルな電気代単価を把握できる
- 豆電球を0.5WのLEDに交換すると、電気代が10分の1になる
- LED電球は白熱電球の約20倍長持ちするため、交換の手間とコストも削減できる
- LED電球は初期費用が高いが、総コストでは1年程度で元が取れる
- LED電球選びでは「調光器対応」「密閉形器具対応」などの適合性を確認する必要がある
- 家庭における待機電力の合計は、豆電球の消費電力を上回ることがある
- 目に見えない待機電力の削減は、効果的な節約術の一つである
- 最も根本的な電気代削減方法は、電力会社の乗り換えである
- ライフスタイルに合った新電力のプランを選ぶことで、電気代を大幅に削減できる可能性がある
- 電力会社を乗り換えても、電気の質や安定供給は変わらない