雨の日や花粉の季節に重宝する浴室乾燥機ですが、「電気代が高いのでは?」と気になっていませんか。
実は、1時間あたりの電気代は約39円、毎日3時間使うと月々3,500円を超えることもあります。この記事では、乾燥や暖房など機能別の料金から、洗濯乾燥機や除湿機とのコスト比較まで、専門家が詳しく解説します。
さらに、フィルター掃除やサーキュレーターの併用といった簡単な工夫から、効果の高い電気料金プランの見直しまで、明日から実践できる8つの節約術を具体的に紹介。
この記事を読めば、浴室乾燥機を賢く使って、快適さと電気代節約を両立する方法がわかります。
- 浴室乾燥機の電気代は1時間約39円、月3,500円以上になることも
- 乾燥・暖房機能は高く、涼風・換気機能は安い
- 除湿機やヒートポンプ式洗濯乾燥機の方が経済的
- フィルター掃除や干し方の工夫で乾燥効率アップ
浴室乾燥機の電気代は高い?機能別の料金と月々の目安を解説
- 1時間あたりの電気代は約39円が目安
- 機能別で見る電気代の違い(乾燥・暖房・涼風・換気)
- 1ヶ月の電気代は3,500円を超えることも
- 他の乾燥方法との電気代比較(洗濯乾燥機・除湿機)
- 電気式とガス温水式の違いとコスト比較
1時間あたりの電気代は約39円が目安

浴室乾燥機の電気代を考える上で、まず基本となるのが1時間あたりの料金です。多くの電気式浴室乾燥機は、衣類を乾かす際の消費電力が1250W程度に設定されています 。電気料金の計算に用いられる目安単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める31円/kWh(キロワットアワー)です 。この単価を使って計算すると、1時間あたりの電気代が算出できます。
計算式は「消費電力(kW) × 使用時間(h) × 料金単価(円/kWh)」となります。消費電力の単位をWからkWに変換するには1000で割ります。 したがって、浴室乾燥機を1時間使用した場合の電気代は、1.25kW×1h×31円/kWh=38.75円、約39円となります 。
この消費電力は、家庭で使うヘアドライヤーとほぼ同じです 。つまり、浴室乾燥機を3時間使うことは、ドライヤーを3時間つけっぱなしにするのと同じくらいの電力を消費していることになります。便利な機能である一方、長時間使用すると電気代がかさむことを意識しておくことが大切です。
機能別で見る電気代の違い(乾燥・暖房・涼風・換気)
浴室乾燥機には衣類乾燥以外にも様々な機能が搭載されており、機能によって消費電力、つまり電気代は大きく異なります。最も電気代がかかるのは、温風を送り出す「乾燥」機能と「暖房」機能です。これらはどちらも消費電力が1200Wを超えるものが多く、1時間あたり約37円から39円の電気代がかかります 。冬場のヒートショック対策として入浴前に浴室を暖める際も、長時間の使用には注意が必要です。
一方で、「涼風」や「換気」機能は非常に経済的です。涼風機能は、夏場の入浴時や掃除の際に体を冷やすための送風機能で、エアコンのように冷気を作るわけではないため、消費電力は20Wから50W程度です。1時間使っても電気代は約0.6円から1.6円ほどで済みます 。
また、浴室の湿気を取り除く換気機能はさらに消費電力が低く、強力な換気でも1時間あたり約0.8円程度です。24時間換気モードであれば、一日中つけっぱなしにしても電気代は約8円から9円に収まります 。カビ対策などで換気機能を活用する際は、電気代をほとんど気にすることなく利用できると言えるでしょう。
機能 | 消費電力の目安 | 1時間あたりの電気代 |
乾燥 | 1200W~2000W | 約37円~62円 |
暖房 | 1100W~1250W | 約34円~39円 |
涼風 | 20W~50W | 約0.6円~1.6円 |
換気(強) | 17W~26W | 約0.5円~0.8円 |
1ヶ月の電気代は3,500円を超えることも
1時間あたり約39円という電気代は、毎日の積み重ねで家計に大きな影響を与えます。例えば、洗濯物を乾かすために毎日3時間、浴室乾燥機を使用した場合を考えてみましょう。1日あたりの電気代は38.75円 ×3時間で約116円になります 。これを1ヶ月(30日間)続けると、合計で約3,488円もの出費となります 。年間では4万円を超える計算になり、決して無視できない金額です。
この金額は、家族構成やライフスタイルによってさらに変動します。一人暮らしで洗濯物が少なく、毎日2時間の使用であれば、1ヶ月の電気代は約2,325円に収まるかもしれません 。しかし、4人家族などで洗濯物が多く、乾燥に時間がかかり1日に5時間使用するような家庭では、1ヶ月の電気代は5,500円を超えてきます 。もし梅雨の時期などで毎日8時間稼働させると、1ヶ月で9,000円を超える可能性も十分に考えられます 。このように、浴室乾燥機は使い方次第で月々の電気代を大きく左右する家電の一つです。
1日の使用時間 | 1ヶ月(30日)の電気代 |
2時間 | 約2,325円 |
3時間 | 約3,488円 |
5時間 | 約5,813円 |
8時間 | 約9,300円 |
他の乾燥方法との電気代比較(洗濯乾燥機・除湿機)
浴室乾燥機の電気代が高いと感じる場合、他の乾燥方法と比較検討することが重要です。代表的な代替手段として、洗濯乾燥機や衣類乾燥除湿機が挙げられます。
まず洗濯乾燥機ですが、これには「ヒーター式」と「ヒートポンプ式」の2種類があります。旧来のヒーター式は消費電力が大きく、電気代は浴室乾燥機とあまり変わりません。しかし、近年の主流であるヒートポンプ式のドラム式洗濯乾燥機は非常に省エネです。1回の乾燥にかかる電気代が約26円と、浴室乾燥機(1回約116円)の4分の1以下で済む場合もあります 。
さらに経済的なのが、衣類乾燥除湿機です。特に「コンプレッサー式」のモデルは消費電力が低く、1時間あたりの電気代は約5円から12円程度です 。乾燥に6時間かかったとしても、合計の電気代は約30円から75円程度に収まります。これは浴室乾燥機よりも大幅に安く、電気代を最も重視するならば最適な選択肢と言えるでしょう 。一方で、コインランドリーは1回300円以上かかることが多く、日常的な利用では最もコストが高くなります 。
乾燥方法 | 1回あたりのコスト目安 | 特徴 |
浴室乾燥機 | 約116円(3時間) | 天候に左右されず、シワになりにくい |
洗濯乾燥機(ヒートポンプ式) | 約26円 | 最も手間が少なく、省エネ性能が高い |
衣類乾燥除湿機 | 約36円(6時間) | 電気代が最も安いが、乾燥に時間がかかる |
コインランドリー | 約300円~800円 | 大物を一気に乾かせるが、コストが高い |
電気式とガス温水式の違いとコスト比較

浴室乾燥機には、電気を熱源とする「電気式」のほかに、ガスで沸かしたお湯を循環させて温風を作る「ガス温水式」があります。両者は初期費用とランニングコストに大きな違いがあります。一般的に、設置工事が簡単な電気式の方が初期費用は安く、専用の熱源機が必要なガス温水式は高くなる傾向があります 。
一方、日々のランニングコストでは、ガス温水式に軍配が上がることが多いです。ガス式はパワーが強く、電気式に比べて洗濯物を短時間で乾かせるため、結果的に光熱費を抑えられます 。ただし、これは使用するガスの種類に大きく左右される点に注意が必要です。都市ガスを利用している場合、1回の乾燥コストはガス代と電気代を合わせても電気式より安くなることがあります 。
しかし、プロパンガス(LPガス)を使用している場合は状況が異なります。プロパンガスは都市ガスに比べて料金が1.5倍から2倍近く高くなることがあり、ガス式のメリットが薄れてしまいます 。例えば、ある試算では1時間の運転コストが都市ガスで約48円なのに対し、プロパンガスでは約94円にもなります 。ご自宅のガスの種類を確認し、トータルコストでどちらが有利かを判断することが重要です。
浴室乾燥機の電気代を節約する8つの効果的な方法
- 洗濯物の干し方を工夫して乾燥効率を上げる
- フィルター掃除と浴室の事前準備を徹底する
- サーキュレーターや扇風機を賢く併用する
- 最新モデルの省エネ機能(ecoモード)を活用する
- 電気料金プランの見直しと夜間電力の活用
洗濯物の干し方を工夫して乾燥効率を上げる

浴室乾燥機の電気代を節約するための第一歩は、乾燥時間をいかに短縮するかです。そのために最も手軽で効果的なのが、洗濯物の干し方を工夫することです。まず基本となるのは、洗濯物同士の間隔を十分に空けることです。衣類が密集していると空気の通り道がなくなり、湿気がこもって乾燥効率が著しく低下します 。アーチ状に干すなど、風が全体に行き渡るように意識しましょう。
また、乾きにくい厚手の衣類やタオル類は、温風が直接当たる乾燥機の真下に配置するのがポイントです 。逆に、薄手の乾きやすい衣類は両端に干すことで、全体の乾燥ムラをなくし、効率よく乾かすことができます。
さらに、一度に乾燥させる洗濯物の量を適切に保つことも重要です。あまりに多くの洗濯物を詰め込みすぎると、乾燥に余計な時間がかかり、結果的に電気代が高くついてしまいます。少しの手間をかけるだけで乾燥時間が短縮され、着実な節電につながります。日々の習慣として取り入れることをお勧めします。
フィルター掃除と浴室の事前準備を徹底する

乾燥効率を最大限に高めるためには、機器のメンテナンスと使用環境の整備が欠かせません。見落としがちですが、非常に重要なのがフィルターの定期的な掃除です。浴室乾燥機のフィルターには、衣類から出るホコリや髪の毛などが溜まりやすく、放置すると目詰まりを起こします 。
フィルターが詰まると空気の吸い込みや温風の吹き出しが弱まり、乾燥性能が低下してしまいます。その結果、通常より長い時間運転させる必要が生まれ、無駄な電気代が発生する原因となります。月に一度は取扱説明書に従ってフィルターを取り外し、掃除機でホコリを吸い取るか、水洗いをして清潔に保ちましょう 。
また、浴室乾燥機を使う前の「事前準備」も節電に大きく貢献します。入浴直後のように壁や床が濡れている状態で使用すると、洗濯物だけでなく浴室全体の水分まで蒸発させることになり、乾燥に多大なエネルギーと時間が必要になります 。使用前には、スクイージーやタオルで壁や床の水分を軽く拭き取っておくだけでも効果的です。さらに、浴室のドアや窓は必ず閉め、外の湿気が入らないように、また温かい空気が逃げないようにすることも忘れないようにしましょう 。
サーキュレーターや扇風機を賢く併用する
乾燥時間を劇的に短縮し、電気代を節約する裏技として、サーキュレーターや扇風機の併用が非常に有効です。浴室乾燥機だけでは、浴室内の空気の循環にムラが生じることがあります。特に洗濯物が多い場合、衣類の周りに湿った空気が滞留し、乾燥を妨げる原因となります。
そこでサーキュレーターや扇風機を使い、強制的に空気の流れを作り出すことで、この問題を解決できます 。洗濯物全体に風を送ることで、湿った空気を効率よく排出し、乾燥機の温風を隅々まで行き渡らせることができます。これにより、乾燥時間を最大で半分近くに短縮できるケースもあります。
「家電を2台も使ったら、逆に電気代が高くなるのでは?」と心配になるかもしれませんが、サーキュレーターや扇風機の消費電力は非常に小さく、24時間連続で使っても電気代は10円から30円程度です 。浴室乾燥機の運転時間を1時間短縮できれば、約39円の節約になるため、差額を考えても十分にお得です。脱衣所から浴室内に向けて風を送るなど、設置場所を工夫して活用してみてください。
最新モデルの省エネ機能(ecoモード)を活用する
もしご自宅の浴室乾燥機が比較的新しいモデルであれば、省エネに特化した運転モードが搭載されている可能性があります。取扱説明書を確認し、「ecoモード」や「節電乾燥」といった機能があれば、積極的に活用しましょう。これらの機能は、電気代を抑えながら衣類を乾燥させるための工夫が凝らされています。
例えば、一部のメーカーの製品では、センサーが衣類の量や乾き具合を検知し、自動でヒーターの出力を調整したり、温風と送風を巧みに切り替えたりすることで、無駄な電力消費を抑えます 。パナソニックの「エコナビ」機能搭載モデルでは、この機能を使うことで年間の電気代を約30%削減できるというデータもあります 。
また、TOTOの「ecoモード」のように、温風で一気に乾かすのではなく、送風時間を長く取ることで消費電力を抑えるタイプもあります 。標準モードに比べて乾燥時間は長くなりますが、電気代は確実に安くなります。夜間や外出中など、時間に余裕があるときにこれらのモードを利用することで、無理なく節電を続けることができます。
電気料金プランの見直しと夜間電力の活用
これまで紹介した節約術の中で、最も大きな効果が期待できるのが電気料金プランの見直しです。特に、電力会社が提供する「時間帯別電灯プラン」を契約し、電気代が安くなる夜間に浴室乾燥機を使用する方法は非常に効果的です。
多くの電力会社では、日中の電気料金単価を割高にする代わりに、深夜から早朝にかけての単価を大幅に割り引くプランを用意しています。例えば、関西電力の「はぴeタイムR」では、日中の料金が1kWhあたり約26円なのに対し、午後11時から翌朝7時までの「ナイトタイム」は約15円と、40%以上も安くなります 。
このプランを利用して、夜間に浴室乾燥機を3時間運転した場合を考えてみましょう。標準的なプラン(31円/kWh)では約116円かかるところ、関西電力の夜間電力では約58円で済み、1回あたり半額近くまで電気代を削減できる計算になります。東京電力の「スマートライフプラン」など、他の電力会社も同様のプランを提供しています 。ライフスタイルに合わせてタイマー機能を活用し、電気の使い方のピークを夜間にシフトすることで、浴室乾燥機だけでなく家全体の電気代を大幅に節約することが可能です。
総括:浴室乾燥機の電気代を理解し、最適な節約法を見つけよう
この記事のまとめです。
- 電気式浴室乾燥機の消費電力は1250W程度が一般的である
- 電気料金の目安単価31円/kWhで計算すると、1時間あたり約39円かかる
- これはヘアドライヤーを長時間つけっぱなしにする消費電力に相当する
- 機能別では「乾燥」と「暖房」が高コストで、1時間35円以上かかる
- 「涼風」や「換気」は消費電力が低く、1時間1円前後と経済的である
- 毎日3時間使用すると、1ヶ月の電気代は約3,500円、年間では4万円を超える
- 洗濯物の量が多い家庭では、月々の負担が9,000円に達する可能性もある
- 乾燥方法の比較では、ヒートポンプ式洗濯乾燥機が非常に省エネである
- 最も電気代が安いのは衣類乾燥除湿機で、浴室乾燥機の半分以下のコストで済む
- ガス温水式はパワフルで乾燥が速いが、プロパンガスはコスト高になりやすい
- 節約の基本は、洗濯物の間隔を空けて干し、乾燥効率を上げることである
- 月に一度のフィルター掃除は、性能維持と節電に不可欠である
- サーキュレーターの併用は、乾燥時間を短縮し結果的に電気代を抑える有効な手段である
- 最新モデルの省エネ機能やecoモードを積極的に活用すべきである
- 最も効果的な節約術は、夜間電力プランを契約し、安い時間帯に運転することである