冬のエアコン、設定温度を上げているのに足元が寒い…何度にすればいいの?
冬になるとエアコンの設定温度を高めに設定しているのに、なぜか部屋が思うように暖まらない、足元だけが冷えているという経験をされている方は多いのではないでしょうか。「設定温度を25℃や26℃にしているのに寒い」という状況は、実はエアコンの仕組みや部屋の状態に原因があることがほとんどです。
環境省は冬の「室温」の目安として20℃を推奨していますが、これは設定温度のことではありません。また、実際の家庭では22〜23℃台に設定しているケースが最も多く、環境省の推奨値とは差があるのが現状です。
この記事では、冬のエアコン設定温度に関する基本的な知識として「設定温度と室温の違い」「一般家庭の平均設定温度の実態」「設定温度を上げても寒い3つの主な原因」を整理したうえで、加湿・サーキュレーター・断熱対策・適切な設定温度の選び方といった節電テクニックまで詳しく解説します。エアコンの設定温度を無駄に上げることなく、快適に冬を過ごすためのヒントをお伝えします。
- 環境省が推奨する「冬の室温20℃」は設定温度ではなく室温の目安
- 実際の平均設定温度は22〜23℃台が多い(令和5年度調査)
- 設定温度を上げても寒い原因は湿度・温度ムラ・断熱性の3つ
- 設定温度を1℃下げるだけで約10%の節電効果が期待できる
冬のエアコン設定温度の基本知識と寒さの原因
- 設定温度と室温の違いを正しく理解する
- 環境省推奨20℃の意味と一般家庭の平均設定温度
- 設定温度を上げても寒い3つの主な原因
- 就寝時と日中で変わる冬の設定温度の目安
設定温度と室温の違いを正しく理解する


エアコンの「設定温度」と「室温」は、一見同じように思えますが、実際には異なるものです。設定温度はエアコンに対して「この温度になるまで運転してください」と指示する目標値であり、リモコンで操作する数字のことです。一方で室温とは、温度計を使って測定した実際の部屋の温度のことを指します。
この2つが一致しないことは多々あります。その主な理由のひとつが、エアコンのセンサーの位置です。エアコンのセンサーは室内機の近くに設置されており、そこで温度を測定しています。そのため、エアコンが設置されている場所と、人が実際に過ごしている場所(床付近やソファ周辺など)では温度差が生じることがあります。
たとえば、設定温度を26℃にしていても、人がいる場所の実際の室温が18℃にしかならないというケースもあるとのことです。また、暖房を22℃設定にしている場合でも、室内の中央付近では約21〜23℃になる一方、床付近では約18〜20℃にとどまるとの報告があります。暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まりやすい性質があるため、こうした温度差が生じやすくなります。
さらに、部屋の向きや窓の大きさ、建物の断熱性能によっても室温は大きく変わります。日当たりの良い部屋と北向きの部屋では、同じ設定温度でも感じる暖かさが異なります。設定温度だけに頼らず、実際の室温を温度計で確認しながら調整することが、快適な冬の暮らしにつながります。「設定温度を上げているのに寒い」と感じる場合は、室温計を活用して実態を把握することをおすすめします。エアコンの設定温度と実際の室温の差を意識することで、無駄な電力消費を抑えながら快適な環境を整える第一歩となります。


環境省推奨20℃の意味と一般家庭の平均設定温度


「冬のエアコンは20℃設定が正しい」という話を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、この20℃は国が推奨している「室温」の目安であり、エアコンの設定温度そのものを20℃にするよう求めているわけではありません。
環境省が推進する「ウォームビズ」において、冬の室温の目安は20℃とされています。これは省エネ・節電を考慮した設定であり、上着など適切な衣服を身に着けた状態を前提とした数値です。薄着のまま過ごす場合とは異なる基準であることを理解しておく必要があります。
実際に20℃以下に設定している世帯は、環境省の調査において全体の約27%にとどまります。つまり、7割以上の家庭では20℃よりも高い設定温度で暖房を使用していることになります。
では、実際の家庭での平均設定温度はどのくらいなのでしょうか。環境省「令和5年度家庭部門のCO2排出実態統計調査」によると、22℃が最多(16.6%)、次いで23℃(15.3%)となっており、平均値は22.9℃とのことです。また、20〜22℃設定の家庭が全体の約40%程度を占めるとのデータもあります。
地域によっても目安が異なり、北日本などの寒冷地では22〜23℃、温暖な地域では19〜20℃が目安といわれています。居住地域の気候に合わせた設定が快適さと節電のバランスを取るうえで重要です。
環境省の推奨する20℃という数値は、省エネの観点から設けられた「室温の目安」です。一方で、多くの人が快適に過ごすためには22〜23℃程度の設定が現実的な選択肢となっているのが実態です。重要なのは、設定温度の数字にこだわるのではなく、実際の室温や体感を確認しながら調整することです。
設定温度を上げても寒い3つの主な原因


エアコンの設定温度を高くしているにもかかわらず、部屋が十分に暖まらない場合、主に3つの原因が考えられます。それぞれを理解することで、効果的な対策が見えてきます。
原因①:湿度の低さ(乾燥)
冬場はエアコンの暖房運転によって空気が乾燥しやすくなります。湿度が下がると体感温度も下がるため、室温が上がっていても「寒い」と感じやすくなります。湿度が10%上がると体感温度は1℃上がるとの報告があり、逆に湿度が下がると体感温度も低下します。快適な湿度の目安は40〜60%です。
原因②:温度ムラ(暖気が天井に溜まる)
暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まる性質があります。そのため、エアコンが運転していても、天井付近は暖かく、足元は冷えたままになりやすいです。特に高天井や吹き抜けのある家では、暖房効果が上がりにくいといわれています。設定温度を上げるよりも、空気を循環させる工夫が効果的です。
原因③:窓や壁からの冷気侵入・断熱性の低さ
窓から冬場の熱流出量の約50%以上も占めるとの報告があります(財団法人建築環境・省エネルギー機構)。断熱性の低い住宅では、エアコンで部屋を暖めても窓や壁から熱がどんどん逃げてしまいます。
また、鉄筋コンクリート構造の建物は蓄熱性が高い一方、暖まるまでに時間がかかるとの報告があります。さらに、フィルターが詰まっているとエアコンの暖房能力が低下し、設定温度通りに室温が上がりにくくなります。これらの3つの原因を把握したうえで、次のセクションで紹介する対策を組み合わせることで、設定温度を無駄に上げずに快適な環境をつくることが期待できます。
就寝時と日中で変わる冬の設定温度の目安


冬のエアコンの設定温度は、日中(活動時)と就寝時で異なる目安があります。それぞれの時間帯に合わせた設定を意識することで、快適さと節電を両立しやすくなります。
日中(活動時)の目安
日中、家の中で活動しているときの推奨温度は20〜22℃とされています。活動中は体が熱を発生させているため、高すぎる設定温度は不快感や体のだるさにつながることもあります。一方で、活動時間帯に室温が18℃以下になる設定は避けることが推奨されています。
就寝時の目安
就寝時のエアコン室温の目安は18〜20℃とされています。冬の快眠に最適な寝室室温は16〜19℃の範囲との報告があり、布団の中は人の体温によって室温より数℃高く保たれます。そのため、寝室全体の室温を高く設定し過ぎる必要はありません。
20℃以上の寝室では深部体温が下がりにくく、寝つきが悪くなりやすいとのことです。一方で、15℃以下になると寒さで目が覚めやすくなるとの報告もあります。就寝時は18〜20℃程度の室温を目安にすることが快眠につながりやすいといえます。
就寝後3〜4時間でエアコンが切れるタイマー設定が有効との報告があります。眠りにつくまでの時間帯だけ運転し、深夜は自然な室温に任せる方法も一つの選択肢です。
環境省ウォームビズの20℃は、主にリビング等の活動する部屋が基準とされており、就寝時にそのまま適用するものではありません。活動内容や時間帯に合わせて設定温度を使い分けることが、冬の快適な暮らしと省エネの両立につながります。
冬のエアコン設定温度を抑えて快適に過ごす節電テクニック
- 加湿で体感温度を上げて設定温度を抑える方法
- サーキュレーターで温度ムラを解消して暖房効率UP
- 窓・断熱対策で暖房効率を高める部屋づくり
- 設定温度1℃の違いが冬の電気代に与える影響
加湿で体感温度を上げて設定温度を抑える方法


冬の節電テクニックとして、まず取り組みやすいのが加湿です。エアコンの設定温度を上げる前に、室内の湿度を適切に保つことで体感温度を高める効果が期待できます。
快適な冬の湿度の目安は40〜60%とされています。湿度が10%上がると体感温度は1℃上がるとの報告があり、乾燥した環境では同じ室温でも寒く感じやすくなります。湿度50〜60%を保つと体感温度が2〜3℃上がるとの報告もあります。これは設定温度を2〜3℃上げるのと同等の体感効果が期待できることを意味します。
加湿器を使うことで湿度を適切に保てますが、加湿器がない場合でも室内干しや濡れタオルをかけておくだけで湿度を上げる効果が期待できます。手軽な方法から試してみましょう。
健康面でも加湿は重要です。湿度40%を下回ると喉や鼻の粘膜が乾燥し、ウイルスが侵入しやすくなるとのことです。特に就寝時につけっぱなしにする場合は、加湿にも注意を払うことが健康維持につながります。
加湿と適切なエアコン設定温度(22〜24℃目安)を組み合わせることで、設定温度を不必要に上げることなく快適な冬の環境を整えることが期待できます。湿度計を購入して室内の湿度を定期的に確認する習慣をつけることも、節電と快適さの両立に役立ちます。乾燥が気になる季節こそ、加湿を意識した部屋づくりを心がけましょう。
サーキュレーターで温度ムラを解消して暖房効率UP


エアコンの設定温度を上げても足元が寒い原因のひとつが「温度ムラ」です。暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まる性質があるため、天井付近は暖かくても足元は冷えたままになりやすいです。この温度ムラを解消するのに効果的なのがサーキュレーターの活用です。
サーキュレーターはどこに置けばいいの?
エアコンの対角線上に置いて、上向きに送風するのが効果的です。天井に溜まった暖気を足元へ循環させることができます。
サーキュレーターでエアコンの対角線上に置き、上向きに送風することで、天井付近に溜まった暖気を部屋全体に循環させることができます。風量は弱〜中程度で十分とのことです。強い風量では体に直接風が当たり、かえって寒く感じることがあります。
サーキュレーターを使って部屋全体を均一な温度にすることで、設定温度を高くせずに快適さを保てます。自動運転との組み合わせも有効で、エアコンが室温を安定させながら、サーキュレーターが空気を循環させることで効率的な暖房運転が期待できます。温度ムラを解消することで、「足元が寒いから設定温度を上げる」という悪循環を断ち切り、節電につながる可能性があります。


窓・断熱対策で暖房効率を高める部屋づくり


窓からの熱の逃げを防ぐことは、冬の暖房効率を高めるうえで非常に重要です。窓から冬場の熱流出量の約50%以上も占めるとの報告があります(財団法人建築環境・省エネルギー機構)。いくらエアコンで部屋を暖めても、窓から熱が逃げ続けていては設定温度をいくら上げても追いつきません。
まず取り組みやすい対策として、厚手のカーテンの活用があります。断熱効果のあるカーテンや裏地付きのカーテンに替えるだけで、窓からの冷気侵入を防ぐ効果が期待できます。夜間は早めにカーテンを閉め、窓からの冷気が室内に入り込むのを抑えましょう。
窓ガラスに断熱シートや窓ガラスフィルムを貼ることも、冷気の遮断に効果的です。特に古い住宅の一枚ガラス窓は断熱性が低いため、こうした対策が有効です。
床の冷えも体感温度に影響します。ラグやカーペットを敷くことで、床からの冷えを和らげ体感温度を上げる効果が期待できます。また、外壁に接した家具の配置を少し離すことで、外壁からの冷気が直接家具を通じて室内に伝わりにくくなります。
断熱性を高めることで、同じエアコンの設定温度でも快適さが向上し、結果として暖房の運転時間や設定温度を抑えることにもつながります。大掛かりなリフォームをしなくても、カーテンや断熱シートといった手軽な対策から始めることで、冬の暖房効率を改善することが期待できます。
設定温度1℃の違いが冬の電気代に与える影響


冬のエアコン節電において、設定温度の調整は最も手軽で効果的な方法のひとつです。暖房の設定温度を1℃下げると消費電力を約5〜10%削減できる見込みとされています。
たとえば23℃設定を22℃に変えるだけで、約10%の節電効果が期待できる計算になります。毎月の電気代の暖房分が1万円だとすれば、1℃の調整で約1,000円の節約につながる可能性があります。ただし、実際の節約額は使用環境や時間、電力会社によって異なります。
つけっぱなし運転とこまめなオンオフについては、ダイキンの実験によると、つけっぱなしの場合は約12.7kWh(約343円/日)、こまめに入り切りした場合は約11.6kWh(約313円/日)とのことです。24時間つけっぱなしとの差はわずか約30円との報告があります。外出時間が短い場合はつけっぱなしの方が効率的な場合もあるとのことです。なお、このデータの測定条件や時期の詳細は出典元をご確認ください。
フィルターの定期清掃も節電に直結します。フィルターが詰まると暖房能力が低下し、設定温度に達するまでに余分な電力が消費されます。外気温と室内の設定温度の差が大きいほど消費電力も増えるため、適切な設定温度の選択がより一層重要になります。設定温度を必要以上に上げずに、加湿や断熱対策と組み合わせて快適な環境をつくることが、冬の電気代節約の基本です。


冬のエアコン設定温度と節電を両立するポイントまとめ
この記事のまとめです。
- 冬のエアコンの設定温度の目安は、日中(活動時)は20〜22℃、就寝時は18〜20℃が一般的な推奨範囲とされています
- 環境省が推奨する「室温20℃」はウォームビズにおける室温の目安であり、エアコンの設定温度そのものを指しているわけではありません
- 令和5年度調査では22℃が最多(16.6%)、23℃が次点(15.3%)で、一般家庭の平均設定温度は22.9℃とのことです
- 設定温度と室温は異なり、センサーの位置や断熱性・温度ムラにより、設定温度通りに室温が上がらないことがあります
- 設定温度を1℃下げると消費電力を約5〜10%削減できる見込みとされており、冬の節電に効果的です
- 湿度が10%上がると体感温度は1℃上がるとの報告があり、加湿は節電と快適さを両立する有効な手段です
- 快適な湿度の目安は40〜60%で、湿度50〜60%を保つと体感温度が2〜3℃上がるとの報告があります
- サーキュレーターをエアコンの対角線上に置いて上向きに送風することで、温度ムラを解消して暖房効率が向上することが期待できます
- 暖房時はエアコンの風向きを下向きや自動に設定し、足元への送風を意識しましょう
- 窓から冬場の熱流出の約50%以上を占めるとの報告があるため、厚手のカーテンや断熱シートで冷気侵入を防ぐことが重要です
- フィルターの定期清掃を行うことで暖房能力の低下を防ぎ、運転効率を維持することができます
- 就寝時は就寝後3〜4時間のタイマー設定が有効との報告があり、深夜の無駄な運転を減らせます
- 活動時間帯は室温18℃以下の設定を避け、快適で健康的な室温を維持することが大切です
- 加湿・サーキュレーター・窓の断熱対策を組み合わせることで、エアコンの設定温度を低く抑えながら快適な冬を過ごすことが期待できます






