暑い夏や寒い冬を快適に過ごすために欠かせないエアコンですが、いざ取り付け工事を依頼するとなると、「エアコン取り付けにかかる時間はどれくらい?」「一人で何時間くらいかかるの?」「部屋が汚いと時間がかかりすぎないか」といった疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、追加工事で「エアコン取り付けに4時間」かかったり、「エアコン取り付け中は何してる」と作業中の過ごし方に迷ったりすることもあるかもしれません。「エアコン取り付けのお礼にお金は渡すべき?」といったマナーに関する疑問もよく聞かれますね。
この記事では、エアコンの取り付け時間に関する皆さんの疑問を解消し、スムーズな工事を実現するための具体的な情報をお届けします。
- エアコン取り付けの標準的な所要時間と作業内容
- 工事が長引く追加工事の要因と具体的な作業時間
- 工事中の立ち会い方や部屋の準備に関する業者の本音
- エアコン取り付けのお礼や心付けの必要性とタイミング
エアコン取り付け時間の基礎知識
- エアコン取り付けの標準時間とは?
- 複数台のエアコン取り付け時間と効率
- 「時間がかかりすぎ?」と感じる理由と実際
エアコン取り付けの標準時間とは?

エアコンの取り付け工事にかかる標準的な時間は、一般的に1時間半から2時間程度が目安とされています。この標準工事には、主にエアコン本体(室内機・室外機)の設置、冷媒配管と電源配線の接続、配管内の空気を抜く真空引き、そして最終的な試運転が含まれます。
例えば、室内機と室外機を同じ階に設置し、配管パイプの長さが4メートル以内、配管が露出テープ巻き仕上げで、配管を通す壁の穴がすでにあり、室内機の近くに専用コンセントがあるといった条件が「基本工事」と定義されています。これらの条件が揃っている場合、通常はスムーズに作業が進み、上記時間内で完了することが多いでしょう。
エアコンの取り外し作業は、これとは別に30分から1時間程度が目安とされており、古いエアコンの冷媒ガス回収(ポンプダウン)、室内機と室外機の取り外し、配管パイプの撤去が含まれます。もし古いエアコンの交換で新規取り付けと同時に行う場合は、合計で2〜3時間を見込むと良いでしょう。
新規取り付けのみであれば1時間半〜2時間で作業が完了すると案内されています。作業員は、いかに素早く綺麗に仕事を終わらせるかを常に考えているため、作業の妨げになるものがなければ、比較的スムーズに進行することが期待できます。
複数台のエアコン取り付け時間と効率

複数のエアコンを同時に取り付ける場合、一台あたりの時間は標準と変わりませんが、全体の作業時間は当然長くなります。例えば、あるケースでは新築のご自宅に3台のエアコンを取り付けた際、丸一日かかったと報告されています。
作業は一台ずつ完全に仕上げるのではなく、室内機の取り付けをまとめて行い、その後室外機の接続や真空引きといった作業を並行して進めるなど、効率を考慮してバタバタと進行することが一般的です。特に、二階の部屋に設置し、室外機を地上に置く場合など、配管を真っ直ぐ下ろしたいものの筋交いなどの障害物がある場合は、横に振ってから下ろすといった工夫が必要になり、時間がかかることもあります。
複数台の取り付けでは、一台あたりの作業内容の把握はもちろん、それぞれの設置場所の状況によって追加工事の有無が変わるため、全体の所要時間が大きく変動する可能性があります。例えば、2階の部屋のエアコンを左後ろ抜きで取り付ける際、パネルの取り外しがしやすくなっているものの、雨樋が横切る場所で希望通りに裏側を通すためには、化粧カバーに手を加えたり、ヘッドカバー周りにコーキング材を流したりといった細かな作業が発生します。
また、別の部屋では筋交いの関係で右後ろ抜きにする必要があり、石膏ボード裏の補強材に助けられるといった具体的な状況も、作業時間に影響を与える要因となります。このように、複数台の設置では個々の部屋の条件が複雑に絡み合い、全体の工程管理が重要になってきます。
「時間がかかりすぎ?」と感じる理由と実際

エアコンの取り付けが「時間がかかりすぎている」と感じる場合、それは標準工事以外の追加工事が必要になっている可能性が高いです。標準的な取り付け工事で済むのは、一軒家であれば専用コンセントがある一階の部屋で、外壁を挟んで近くに室外機を置ける場合のみと言えるかもしれません。
例えば、室内機と室外機を異なる階に取り付ける、配管パイプが4mを超える、壁に穴あけが必要、専用コンセントの新設や電圧変換が必要、室外機を架台に設置するなどの場合は、追加で作業時間が発生します。
具体的な例を挙げると、壁への穴あけ作業は壁の材質によって30分から3時間、隠蔽配管接続は30分から1時間、専用コンセントの新設は1時間から半日、配管の延長は2時間から半日、室外機を架台に設置する場合は1時間から3時間の追加時間が見込まれます。
例えば、ある事例では2台のエアコン取り付けに際し、分電盤に空きがなく、新しい専用コンセントを設けるために分電盤の交換も必要となり、合計で12万3,420円の追加工事費がかかり、工事全体で7時間もの時間を要したことがあります。特に築年数の古い住宅では、専用コンセントがなかったり、既存の配管が細かったりといった問題が発生しやすく、それが工事時間の延長につながります。
これらの追加作業は、見た目には分かりにくい部分も多いため、事前に業者に見積もりを依頼し、具体的な工事内容と所要時間を確認することが重要です。
エアコン取り付け時間の変動要因と準備
- 工事時間を延ばす追加作業とその時間
- 設置時の部屋の準備と業者の本音
- 工事中の過ごし方と立ち会いの重要性
- エアコン取り付け、お礼の品は必要?
工事時間を延ばす追加作業とその時間

エアコン取り付け工事の時間が標準の1.5~2時間を超えて長引く主な理由は、多岐にわたる追加工事が必要となるためです。例えば、配管を通す壁の穴が新築物件にない場合や、既存の穴が特定のエアコン機種(例:ダイキンの「うるるとさらら」など加湿ホース付き)に対応できない大きさの場合、穴あけや穴の拡大加工が必要です。
この穴あけ作業は、壁の材質(木造、モルタル、サイディング、ALC、タイル、コンクリートなど)によって時間が異なり、場合によっては3時間以上かかることもあります。特にコンクリート壁や筋交い、鉄筋など建物の構造を傷つけないよう、専門的な知識と工具が必要となるため、DIYは避けるべきです。
また、室外機を地上ではなく、ベランダの横を下ろしたり、雨樋の裏を通したりといった特殊な場所に設置する場合、化粧カバーに手を加えたり、狭いスペースでの作業が必要になったりするため、時間がかかります。配管が長い場合や、天井吊り、壁掛け、屋根置きといった専用架台を使用する室外機設置も、1時間から3時間の追加時間が必要です。さらに、エアコン専用コンセントがない場合は分電盤から専用回路を配線する必要があり、これには1時間から半日かかることがあります。
コンセントの交換や電圧変換も10分から30分程度の追加時間を要します。これらの追加工事の有無は、見積もり時に確認しておくことで、工事が想定外に長引く事態を避けられるでしょう。
設置時の部屋の準備と業者の本音

エアコン取り付け工事をスムーズに進めるためには、事前の準備が非常に重要です。特に、業者が作業しやすい環境を整えておくことで、工事時間の短縮やトラブルの未然防止につながります。
まず、室内機を取り付ける場所の下には、脚立を立てるスペースが必要です。また、エアコンの真下にベッドや机、棚、ピアノなどの障害物や高価な物がある場合、業者は作業がしにくく、破損のリスクも高まります。部屋全体が汚くても、作業する場所だけが少しでも片付けられていれば、職人は作業しやすくなります。目安としては、エアコンの前後左右1m程度の作業スペースを確保すると良いでしょう。
次に、室外機の設置場所周辺も片付けることが大切です。特に、室外機の周りに洗濯物などが干してあると、パイプ接続作業の支障になることがあります。庭の通路に草が茂っていたり、障害物があったり、柵がされていて中に入れないような場所も、工事がやりにくいと感じられるポイントです。
そして、玄関からエアコンを設置する部屋までの導線も確保しておきましょう。重量のあるエアコン本体や道具を運ぶ際に、通路に物が散乱していると、作業員が転倒して怪我をしたり、エアコンや家財を破損させたりするリスクが高まります。もし、どうしても移動できない大きな家具がある場合は、事前に業者に伝えて、養生シートなどで保護してもらうなどの対策を相談しましょう。
部屋の汚れや臭いに関しては、業者は「ほとんど気にしない」というのが本音のようです。彼らは作業を迅速かつ綺麗に終えることに集中しているため、多少のホコリや食べかす、動物やタバコの臭い程度であれば問題なく作業を進められます。しかし、足場を確保できないほどのゴミの量や、滑りやすい物が散乱している場合は、作業が困難になるだけでなく、怪我のリスクも高まります。このような状況だと、最悪の場合、工事を断られる可能性もゼロではありません。そのため、最低限の片付けは、お互いが気持ちよく作業を行うために必要不可欠です。
工事中の過ごし方と立ち会いの重要性

エアコン取り付け工事中、お客様は基本的に常に同席している必要はありませんが、最初の打ち合わせと最終確認時には立ち会うことが推奨されています。これは、設置位置や要望のすり合わせ、工事内容の確認、そして作業完了後の試運転や動作チェックのためです。
工事中は、居室で静かに待機していれば問題ありません。しかし、有事の際にすぐ対応できるよう、連絡が取れる状況を保つことが大切です。特に、小さいお子様やペットがいるご家庭では、安全のために別部屋へ移動させるなど、作業の妨げにならないよう配慮が必要です。また、防犯上の観点から、貴重品は自分で管理し、一時的に外出する場合は業者に一声かけることをおすすめします。
工事中に確認すべき具体的なポイントとしては、エアコン本体が水平に設置されているか、配管がしっかり固定され、たるみがないか、断熱材が適切に装着されているかなどが挙げられます。特に重要なのが「真空引き」作業が適切に行われているかの確認です。これが不十分だと、冷媒漏れや冷暖房効率の低下、故障の原因になることがあります。短時間で真空引きを済ませる場合は施工ミスにつながる可能性もあるため、不安な場合は作業者に積極的に質問することも大切です。
季節によっては、作業員への配慮も考慮すると良いでしょう。夏場は涼しい服装で水分補給を心がけ、作業員には冷たいペットボトル飲料などを差し入れると喜ばれます。冬場は体を冷やさないよう厚着し、作業員には温かい飲み物などを渡すのも良いでしょう。ただし、後述の通り、お茶出しや差し入れは必須ではありません。工事の最後に試運転で冷暖房が正しく作動するか、異音や水漏れがないか、リモコンが正常に動作するかなどを必ず確認してください。
エアコン取り付け、お礼の品は必要?

エアコン取り付け業者へのお礼やお心付けについて、「渡すべきか」と悩む方も多いようですが、基本的に、工事料金として必要な費用を支払っているので、お茶やお礼を用意して渡す必要はありません。現代では、サービス料金が明確化されており、無理に現金を渡す「心付け」の習慣は少なくなっています。
ただし、感謝の気持ちを伝えたいという場合は、相手に気を遣わせない程度で行うのがポイントです。特に喜ばれるのは、ペットボトル入りのお茶やミネラルウォーターです。エアコンの取り付け・取り外し作業は屋外で行われることも多く、特に夏場の暑い時期は体力の消耗が激しいため、水分補給は非常にありがたいものです。冬場であれば、温かい飲み物を用意するのも良いでしょう。一緒に小分けのお菓子を添えるのも好印象を与えます。
渡すタイミングに決まりはありませんが、作業前や休憩時、または作業後に渡すのが一般的です。作業に集中している場合もあるため、無理に渡そうとせず、さりげなく「作業の合間にどうぞ」「お疲れ様です」といった言葉を添えて手渡すのがスマートです。最近では、衛生上の観点から、未開封のペットボトル飲料が好まれる傾向にあり、作業場の見やすい場所に「どうぞご自由にお取りください」と置いておく方法も推奨されています。
最も大切なのは、感謝の気持ちを言葉で伝えることです。丁寧な作業への感謝の言葉だけでも、十分気持ちは伝わります。
総括:エアコン取り付け時間の全てを理解し、スムーズな工事を実現するための要点
この記事のまとめです。
- エアコン取り付けの標準工事時間は1.5~2時間程度が目安だ
- 標準工事には室内外機の設置、配管接続、真空引き、試運転が含まれる
- エアコン取り外しは30分~1時間、交換は2~3時間/台が目安だ
- 複数台の取り付けは合計時間が延びるが、作業は効率的に進行する
- エアコン取り付けに4時間以上かかるのは、追加工事が必要な場合が多い
- 壁の穴あけ、隠蔽配管、専用コンセントの新設、配管延長などが追加工事の主な要因だ
- 古い家では専用コンセントの増設や分電盤の交換が必要になることがある
- 穴あけ工事は壁の材質で費用と時間が変わり、DIYは建物のダメージリスクがあり推奨されない
- 賃貸物件での穴あけは必ず大家さんや管理会社に許可を得る必要がある
- 工事が長引く主な理由は、設置箇所の壁厚や規制、複雑な間取りなどだ
- 作業員は部屋の見た目の汚れや臭いを気にしないが、作業スペースの確保は必須だ
- エアコンの真下や通路に物が多いと作業が困難になり、破損や怪我のリスクが高まる
- 工事中の立ち会いは開始時と最終確認時が重要で、異常がないか目視でチェックすると良い
- エアコン取り付け中、貴重品は管理し、子供やペットは近づけないように配慮すべきだ
- エアコン取り付け業者へのお礼は必須ではないが、ペットボトル飲料などの差し入れは喜ばれる