エアコンと除湿機の電気代、安いのはどっち？プロが徹底比較

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梅雨のジメジメや夏の蒸し暑さ、部屋干しの悩みなど、湿気が気になる季節に活躍するのがエアコンの除湿機能と除湿機です。

しかし、「どちらを使った方が電気代は安いの？」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。実はこの問題、単純に「こっちが安い」とは言えない奥深いテーマなのです。

エアコンの除湿には種類があり、除湿機にも方式の違いがあります。

それぞれの仕組みや電気代を正しく理解し、状況に応じて賢く使い分けることが、快適さと節約を両立する鍵となります。この記事では、エアコンと除湿機の電気代を徹底的に比較し、部屋干しやつけっぱなし運転のコスト、そして最も効果的な節約術まで、専門家の視点から詳しく解説します。

この記事のポイント

エアコンの除湿は種類で電気代が全く違う
除湿機の電気代は方式と季節で決まる
部屋干しは「除湿機＋サーキュレーター」が最強
使い方次第でエアコン除湿の方が安くなる場合がある

エアコンと除湿機の電気代、本当はどっちが安いの？

エアコンの除湿機能3種類、電気代のからくり
除湿機の方式別（コンプレッサー・デシカント）電気代
【結論】電気代が一番安いのはこの使い方！
部屋干し乾燥、コスパが良いのはどっち？
つけっぱなし運転の電気代はどれくらい？

エアコンの除湿機能3種類、電気代のからくり

エアコンの「除湿」機能は、主に3つのタイプに分けられ、それぞれ仕組みと電気代が大きく異なります。

最も一般的で電気代が安いのが「弱冷房除湿」です。リモコンに「除湿」や「ドライ」とだけ表示される機種の多くがこのタイプで、弱い冷房運転によって空気中の水分を結露させて湿度を下げます。空気を冷やす過程で除湿するため、室温もやや低下します。消費電力が少ないため、電気代を最も安く抑えられます。

次に、電気代が最も高くなるのが「再熱除湿」です。これは、一度冷却して水分を取り除いた空気を、再び温め直してから室内に戻す方式です。室温を下げずに湿度だけを下げられるため、梅雨の肌寒い日でも快適ですが、冷やした後に温めるという工程が加わるため、消費電力が最も大きくなります。

最後に、比較的新しい機種に搭載されているのが「ハイブリッド除湿」です。冷やして除湿した空気と室内の空気を混ぜ合わせることで、ヒーターを使わずに室温の低下を抑えます。再熱除湿ほどの快適さはありませんが、弱冷房除湿より室温低下を防ぎつつ、再熱除湿より電気代を抑えられる、バランスの取れた方式です。

除湿機の方式別（コンプレッサー・デシカント）電気代

除湿機も方式によって得意な季節や電気代が異なり、主に「コンプレッサー式」「デシカント式」「ハイブリッド式」の3種類があります。

「コンプレッサー式」は、エアコンの除湿と同様、空気を冷やして結露させることで除湿します。気温が高い夏や梅雨に高い性能を発揮し、消費電力が少ないため電気代が安いのが最大の特長です。一方、気温が低い冬は除湿能力が落ちやすく、コンプレッサーの作動音がやや大きいという側面もあります。

「デシカント式」は、内部の乾燥剤（ゼオライト）に湿気を吸着させ、それをヒーターで温めて水分を分離します。ヒーターを使うため冬場でも安定した除湿能力を維持できますが、その分消費電力は大きく、電気代は高めです。また、運転中は温風が出るため、夏場の使用には向きません。

「ハイブリッド式」は、夏はコンプレッサー式、冬はデシカント式と、季節に応じて運転方式を自動で切り替えます。一年中効率的に使えますが、本体価格が高く、サイズも大きくなる傾向があります。

方式	1時間あたりの電気代（目安）	特徴
コンプレッサー式	約5円～12円	夏に強く、電気代が安い。冬は苦手。
デシカント式	約9円～16円	冬に強く、静か。夏は室温が上がり、電気代は高め。
ハイブリッド式	約8円～21円	一年中使えるが、本体価格が高い。

※電気料金単価31円/kWhで計算した場合の一般的な目安です。

【結論】電気代が一番安いのはこの使い方！

エアコンと除湿機の電気代を比較すると、絶対的にどちらが安いとは言えず、「季節と室温に応じて最適なものを選ぶ」ことが最も重要です。

まず、気温が高く蒸し暑い夏や梅雨の時期。この状況では、エアコンの「弱冷房除湿」が最もコストパフォーマンスに優れます。1時間あたりの電気代はコンプレッサー式の除湿機よりも安くなるケースが多く、室温を下げながら湿度も取れるため、夏の不快な環境を快適にするのに最適です。

一方、室温は高くないものの湿度が高い、肌寒い梅雨や秋の長雨の時期。この場合、「弱冷房除湿」では寒く感じてしまいます。かといって「再熱除湿」は電気代が非常に高くなります。ここで活躍するのが「デシカント式」または「ハイブリッド式」の除湿機です。特にデシカント式はヒーターの熱で室温を下げずに除湿できるため、このような状況に適しています。

結論として、絶対的な安さではエアコンの「弱冷房除湿」が強力ですが、それは「部屋が冷えても良い」という条件下での話です。快適性を保ちながら最も安く済ませるには、その時々の気温や体感に合わせて機器を使い分ける知恵が不可欠なのです。

部屋干し乾燥、コスパが良いのはどっち？

洗濯物を効率よく乾かすという目的においては、エアコンの除湿機能よりも、専用の「衣類乾燥除湿機」の方がコストパフォーマンスに優れています。

その理由は、除湿機が洗濯物の周りの水分を局所的かつパワフルに除去することに特化しているからです。エアコンは部屋全体の空気をゆっくり循環させて除湿するため、洗濯物だけを狙って乾かすには効率が劣ります。

さらに、部屋干しの効果を最大化する最強の組み合わせが「除湿機とサーキュレーターの併用」です。除湿機が湿気を取り除き、サーキュレーターがその乾いた空気を洗濯物に直接当てることで、水分の蒸発を劇的に促進します。これにより乾燥時間が大幅に短縮され、結果的に電気代の節約につながります。

この方法は、生乾きの嫌な臭いを防ぐ効果も高く、まさに一石二鳥です。エアコンの風だけでは、ここまでの強力な空気の流れを作り出すことは難しく、部屋干しにおいては「除湿機＋サーキュレーター」のタッグが最も賢い選択と言えるでしょう。

つけっぱなし運転の電気代はどれくらい？

「除湿をつけっぱなしにすると電気代が高いのでは？」と心配されがちですが、インバーター機能を搭載した近年の機種であれば、つけっぱなしの方が経済的な場合があります。

現在のエアコンや除湿機の多くは、内蔵センサーで室内の湿度を監視し、設定湿度に達すると自動で運転を弱めたり停止したりします。そのため、一度部屋の湿度を下げてしまえば、その後はごくわずかな電力で湿度を維持できます。

短時間の外出のたびに電源のオン・オフを繰り返すと、起動時に大きな電力を消費するため、かえってトータルの電気代が高くつく可能性があります。特に湿度の高い季節にカビの発生を防ぐ観点からも、湿度を一定に保つつけっぱなし運転は有効な選択肢です。ただし、最も電気代が高いエアコンの「再熱除湿」モードでのつけっぱなし運転は、コストが非常に高くなるため注意が必要です。

機器／モード	1ヶ月の電気代（つけっぱなし目安）
エアコン（弱冷房除湿）	約2,880円～4,320円
エアコン（再熱除湿）	約7,200円～10,080円
除湿機（コンプレッサー式）	約3,400円～4,500円
除湿機（デシカント式）	約5,400円～6,600円

※使用環境や機種により変動します。

電気代をさらに節約する！賢い選び方と使い方

除湿機の後悔しない選び方4つのポイント
【効果絶大】サーキュレーター併用で節電
フィルター掃除をしないと電気代はこんなに違う
古い機種は買い替えも検討！最新モデルの省エネ性能

除湿機の後悔しない選び方4つのポイント

除湿機の購入で後悔しないためには、ライフスタイルに合った製品を選ぶことが重要です。以下の4点を押さえましょう。

除湿方式で選ぶ最も重要なポイントです。主に使う季節を考え、夏がメインなら「コンプレッサー式」、冬の結露対策や通年で使いたいなら「デシカント式」や「ハイブリッド式」を選びましょう。使用シーンと方式が合わないと、効果が低い上に電気代も無駄になります。
除湿能力と適用畳数で選ぶ除湿能力は「L/日」で表され、数値が大きいほどパワフルです。部屋の広さに合った「適用畳数」のモデルを選ぶのが基本ですが、少し余裕のある能力の機種を選ぶと、より早く除湿でき、結果的に運転時間が短縮できます。
タンク容量と連続排水機能で選ぶタンク容量が小さいと、水捨ての手間が頻繁に発生します。長時間運転する方は、大容量タンクか、ホースで直接排水できる「連続排水機能」付きのモデルが便利です。
静音性と付加機能で選ぶ寝室などで使う場合は、運転音の大きさ「dB（デシベル）」を確認しましょう。衣類乾燥モードやタイマー、内部クリーン機能など、使い方に合った付加機能の有無も快適性を左右します。

【効果絶大】サーキュレーター併用で節電

エアコンや除湿機の電気代を節約する上で、最も簡単かつ効果的な方法が「サーキュレーターの併用」です。サーキュレーター自体の電気代は1時間1円未満とごくわずかですが、主役である空調機器の効率を劇的に高めます。

空気には、冷たい空気は下に、暖かい空気は上に溜まる性質があります。サーキュレーターは強力な風で空気を循環させ、部屋全体の温度や湿度を均一にします。

例えば冷房時、エアコンを背にして床に溜まった冷たい空気を循環させると、部屋全体が効率よく涼しくなり、エアコンの設定温度を1〜2℃上げても快適に過ごせます。エアコンは設定温度を1℃上げるだけで約10%の節電になると言われており、効果は絶大です。

これは除湿機での部屋干しでも同様で、サーキュレーターの風が湿った空気を効率的に動かし、乾燥を早めることで除湿機の運転時間を短縮します。少ない投資で大きな節約効果を生む、非常に賢い方法です。

フィルター掃除をしないと電気代はこんなに違う

エアコンや除湿機の電気代で見落としがちなのが「フィルター掃除」です。これを怠ると、知らず知らずのうちに電気代を無駄に支払うことになります。

フィルターにホコリが詰まると空気の通り道が塞がれ、機器は通常よりはるかに強い力で空気を吸い込もうとします。その結果、ファンやコンプレッサーに余計な負荷がかかり、消費電力が大幅に増加してしまいます。

ある試算では、フィルターを1年間掃除しないと消費電力が最大で25%も悪化するというデータもあります。これは、本来払う必要のない電気代を毎月支払い続けているのと同じです。

理想的な頻度は「フィルターのホコリ掃除を2週間に1回」です。掃除機でホコリを吸い取る簡単な作業で、除湿効率の低下を防ぎ、カビや嫌なニオイを抑制し、無駄な電気代を削減できます。これは節約であると同時に、機器を長持ちさせるためにも不可欠な習慣です。

古い機種は買い替えも検討！最新モデルの省エネ性能

もし10年以上前の古いエアコンや除湿機を使っている場合、最新の省エネモデルに買い替えることが、最も効果的な電気代節約になる可能性があります。

家電の省エネ技術は年々進化しており、特にエアコンは10年前のモデルと比較して、最新モデルは消費電力を大幅に削減できるケースが少なくありません。毎月の電気代の差額を考えれば、購入時にかかる初期費用も数年で回収できる計算になります。これは単なる出費ではなく、将来の光熱費を削減するための「投資」と捉えることができます。

製品を選ぶ際は、カタログや本体ラベルに記載されている省エネ性能を示す指標を確認しましょう。年間のエネルギー消費効率を示す「APF」などの数値が高いほど、省エネ性能に優れた製品です。長期的な視点で見れば、少し価格が高くても省エネ性能の高いモデルを選ぶ方が、トータルコストではお得になることが多いのです。