エアコン一日中つけっぱなしの電気代は?節約術と真実を専門家が解説

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「エアコンを一日中つけっぱなしにすると電気代は高くなる」と思っていませんか?

実は、使い方によってはこまめに消すより安くなるケースがあります。

この記事では、24時間つけっぱなしにした場合の具体的な電気代から、なぜ安くなるのかという仕組み、そしてご家庭の状況に合わせた最適な節約術まで、電気代と省エネの専門家が徹底的に解説します。

自動運転や除湿の上手な使い分け、フィルター掃除の効果など、今日から実践できる知識を身につけ、夏の電気代の不安を解消しましょう。

この記事のポイント
  • エアコン24時間つけっぱなしの電気代を広さ別に解説
  • つけっぱなしが安くなるのは起動時の消費電力が鍵
  • 家の断熱性能や外気温で最適な運転方法は変わる
  • 30分程度の外出ならつけっぱなしがお得になる目安
目次

エアコンを一日中つけっぱなしにした電気代の真実

  • 【結論】24時間つけっぱなしの電気代はいくら?
  • なぜ「つけっぱなし」が安くなることがあるのか?
  • 電気代を左右する「外気温」と「設定温度」の差
  • 家の断熱性能で損得は変わる【木造vsマンション】

【結論】24時間つけっぱなしの電気代はいくら?

多くの方が最も気になる「結局、24時間つけっぱなしにすると電気代はいくらになるのか?」という疑問に、まずはお答えします。結論から言うと、部屋の広さや冷房・暖房のどちらを使うかによって大きく変動しますが、一般的な目安は以下の通りです。

この計算は、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が示す電力料金の目安単価である1kWhあたり31円を基にしています。

部屋の広さ冷房の24時間電気代目安暖房の24時間電気代目安
6畳用約316円約327円
10畳用約383円約513円
14畳用約618円約707円
20畳用約1,399円約1,213円

表を見ると、6畳用から14畳用までは暖房の方が電気代が高い傾向にありますが、20畳用のような広い部屋では冷房の方が高くなるという逆転現象も見られます。

これは、外気温と設定温度の差や、建物の断熱性能、エアコンの機種性能が複雑に影響し合うためです。また、部屋が広くなるにつれて電気代が単純な比例関係ではなく、急激に増加する点も重要です。ご自身の住環境に近い数値を確認し、まずは一日あたりのコスト感を把握することが大切です。

なぜ「つけっぱなし」が安くなることがあるのか?

「電源を切っている時間が長い方が電気代は安いはず」と考えるのが一般的ですが、エアコンにおいては必ずしもそうとは限りません。その最大の理由は、エアコンが最も電力を消費するのが「運転を開始した直後」だからです。

エアコンは、室内の空気を設定温度まで急速に変化させるために、起動時にコンプレッサーをフルパワーで稼働させます。特に、室温と設定温度の差が大きいほど、この起動時の消費電力は莫大になります。

一度設定温度に到達してしまえば、最近のエアコンに搭載されている「インバーター制御」技術により、コンプレッサーは低出力でゆっくりと運転を続け、温度を維持しようとします。この安定運転時の消費電力は、起動時に比べて非常に小さく済みます。

つまり、「こまめに入り切り」を繰り返すことは、この最も電力を消費する「フルパワーでの起動」を何度も行うことになり、結果として総消費電力量が増えてしまうのです。一方、「つけっぱなし」運転は、最初の起動時こそ大きな電力を消費しますが、その後は少ない電力で効率的に室温を維持し続けるため、トータルで見ると電気代が安くなることがあるのです。

電気代を左右する「外気温」と「設定温度」の差

電気代を左右する「外気温」と「設定温度」の差

エアコンの電気代を決定づける最も重要な要素は、室内の「設定温度」と「外気温」の差です。この温度差が大きければ大きいほど、エアコンは熱を移動させるためにより多くのエネルギーを必要とし、結果として消費電力が増大します。

例えば、外気温が35℃の猛暑日に設定温度を25℃にする場合、エアコンは10℃もの温度差を埋めるために懸命に働かなければなりません。このような状況で一度電源を切り、室温が外気温近くまで上昇した後に再び電源を入れると、起動時に非常に大きな負荷がかかります。これが、猛暑日や厳冬期には「つけっぱなし」の方が経済的になる大きな理由です。

逆に、外気温が30℃程度の過ごしやすい日であれば、電源を切っても室温の上昇は緩やかです。そのため、再起動時の負荷も比較的小さく、こまめに電源を切る方が節約につながる場合もあります。

資源エネルギー庁のデータによれば、冷房の設定温度を1℃上げるだけで年間約940円、暖房の設定温度を1℃下げるだけで年間約1,650円もの節約効果があるとされています。このことからも、エアコンの仕事量、すなわち「温度差」をいかに小さく管理するかが、電気代節約の核心であることがわかります。

家の断熱性能で損得は変わる【木造vsマンション】

家の断熱性能で損得は変わる【木造vsマンション】

エアコンの「つけっぱなし」運転が本当にお得になるかどうかは、お住まいの断熱性能に大きく左右されます。全ての家庭で同じ節約術が通用するわけではない、ということを理解しておくことが重要です。

例えば、気密性や断熱性が高い鉄筋コンクリート造のマンションの場合、一度冷やしたり暖めたりした室温が長時間維持されやすい特徴があります。外気の影響を受けにくいため、エアコンを消しても室温の変化は緩やかです。このような住環境では、エアコンが室温を維持するための負担が少なく済むため、「つけっぱなし」運転のメリットを最大限に享受できます。比較的長時間の外出でも、つけっぱなしの方が経済的になる可能性が高いでしょう。

一方で、築年数が経過した木造戸建てなど、断熱性が比較的低い住宅の場合は注意が必要です。窓や壁を通して外の熱が出入りしやすいため、エアコンを停止すると室温がすぐに外気温に近づいてしまいます。

そのため、つけっぱなしにしていてもエアコンは常に高いパワーで運転し続ける必要があり、メリットが薄れがちです。このような場合は、こまめに電源を切る方が結果的に電気代を抑えられるケースが多くなります。ご自身の住まいがどちらのタイプに近いかを把握することが、賢いエアコン運用の第一歩です。

エアコン一日中つけっぱなしの電気代を賢く節約する技術

  • 「つけっぱなし」がお得になる外出時間の目安
  • 自動運転と除湿(ドライ)の上手な使い分け
  • フィルター掃除と室外機周りの見直し効果
  • 最新エアコンへの買い替えは最終手段?【10年前比較】

「つけっぱなし」がお得になる外出時間の目安

「つけっぱなし」がお得になる外出時間の目安

「つけっぱなし」と「こまめなオンオフ」、どちらがお得になるかの損益分岐点は、一体どのくらいの外出時間なのでしょうか。この疑問に対し、空調メーカーのダイキン工業が行った実験がひとつの明確な目安を示しています。

その実験結果によると、日中の外気温が高い時間帯(9:00~18:00)では、約35分以内の外出であればエアコンを「つけっぱなし」にした方が消費電力が少なく、電気代が安くなりました。35分を超えて家を空ける場合は、一度電源をオフにする方が経済的です。

一方、外気温が比較的下がる夜間(18:00~23:00)では、その分岐点が短くなり、約18分以内の外出であれば「つけっぱなし」がお得という結果でした。

なぜ夜間の方が分岐点となる時間が短いのでしょうか。これは前述の「外気温と設定温度の差」が関係しています。夜は日中に比べて外気温が下がるため、エアコンを再起動する際の負荷が小さくなります。起動時の電力消費という「ペナルティ」が軽くなるため、より短い時間の外出でも電源を切った方が合理的になるのです。この「昼は35分、夜は18分」という数値をあくまで目安とし、その日の気温や天候に応じて柔軟に判断することが賢い節約につながります。

自動運転と除湿(ドライ)の上手な使い分け

自動運転と除湿(ドライ)の上手な使い分け

エアコンの電気代を節約するためには、リモコンの運転モードを正しく理解し、使い分けることが非常に重要です。多くの場合、最も効率的で電気代を抑えられるのは「自動運転」モードです。

自動運転モードを選択すると、エアコンは内蔵されたセンサーで室温を検知し、設定温度に到達するまで最も効率的な風量や運転方法を自動で選択してくれます。一度設定温度に達した後は、無駄な電力を使わないよう微弱運転で室温を維持するため、手間なく最大の省エネ効果が期待できます。

一方で、湿度が高い日に使いたくなる「除湿(ドライ)」モードには注意が必要です。除湿には主に2種類あり、一つは室温も少し下がる「弱冷房除湿」、もう一つは室温を下げずに湿度だけを取り除く「再熱除湿」です。特に「再熱除湿」は、一度冷やして湿気を取った空気を、再び暖め直してから室内に戻すという複雑な動作をします。この「冷やす」と「暖める」という二つの工程を同時に行うため、通常の冷房運転よりもはるかに多くの電力を消費し、電気代が高くなる傾向があります。基本は「自動運転」に任せ、どうしても湿度だけが気になる場合に「弱冷房除湿」を使う、という使い分けを心がけましょう。

フィルター掃除と室外機周りの見直し効果

フィルター掃除と室外機周りの見直し効果

日々のエアコン運用術に加えて、簡単ながら絶大な効果を発揮するのが定期的なメンテナンスです。特に「フィルター掃除」は、誰でもすぐに実践できる最も効果的な節約方法の一つです。

エアコンのフィルターは空気中のホコリをキャッチする役割を担っていますが、ここにホコリが溜まると空気の通り道が塞がれてしまいます。すると、エアコンは設定された量の空気を吸い込んだり吐き出したりするために、余計なパワーを使わなければならなくなり、冷暖房の効率が著しく低下します。資源エネルギー庁の試算では、フィルターの目詰まりを解消するだけで、年間で約990円もの電気代を節約できるとされています。2週間に1度を目安に、掃除機でホコリを吸い取るか、水洗いする習慣をつけましょう。

また、意外と見落としがちなのが「室外機」の存在です。室外機は室内の熱を外に逃がす(冷房時)あるいは外の熱を取り込む(暖房時)ための重要な役割を担っています。室外機の吹き出し口の前に植木鉢や物置などを置くと、熱交換の効率が下がり、無駄な電力消費につながります。室外機の周りは常に整理整頓し、スムーズな空気の流れを確保することが大切です。

最新エアコンへの買い替えは最終手段?【10年前比較】

日々の節約術を実践しても電気代が気になる場合、最終的な選択肢として「エアコン本体の買い替え」が挙げられます。エアコンの省エネ技術は年々進化しており、10年前のモデルと最新モデルとでは、消費電力に大きな差が生まれています。

製品や部屋の広さにもよりますが、10年前のエアコンを最新の省エエネモデルに買い替えることで、年間の電気代が数千円から、広いリビング用のモデルでは1万円以上安くなるケースも珍しくありません。例えば、ある20畳用のモデル比較では、年間で約7,900円もの差額が生まれるというデータもあります。

この差を生み出しているのは、より高効率になったコンプレッサーや熱交換器といった基幹部品の進化だけではありません。最新のエアコンには、人の在室状況や活動量を検知する「人感センサー」や、日当たりなどを学習して最適な運転を自動で行う「AI機能」が搭載されています。これらの賢い機能が、人が意識しないレベルで無駄な電力消費を徹底的に削減してくれるのです。

もちろん、買い替えには初期費用がかかりますが、長期的に見れば電気代の節約分で元が取れる可能性も十分にあります。使用年数が10年を超えているエアコンをお使いの場合は、一度、最新モデルへの買い替えを検討してみる価値はあるでしょう。

総括:エアコン一日中つけっぱなしの電気代は、家の性能と賢い使い方で決まる

この記事のまとめです。

  • エアコンを24時間つけっぱなしにした場合の電気代は6畳冷房で約316円が目安である
  • 一般的に暖房は冷房よりも電気代が高くなる傾向がある
  • エアコンが最も電力を消費するのは運転開始直後である
  • 起動時の消費電力を抑えることが節約の鍵となる
  • インバーター制御により、安定運転時の消費電力は非常に小さい
  • 「つけっぱなし」が安くなるのは、高負荷な起動回数を減らせるためである
  • 電気代は外気温と設定温度の差に大きく左右される
  • 猛暑日や厳冬日は温度差が大きいため、つけっぱなしが有利になる
  • 断熱性の高いマンションでは室温が維持されやすく、つけっぱなしの効果が高い
  • 断熱性の低い木造家屋では室温が変化しやすく、こまめなオフが有効な場合がある
  • 日中の外出では35分以内ならつけっぱなしがお得とされている
  • 夜間の外出では18分以内がつけっぱなしの目安である
  • 最も効率的な運転モードは基本的に「自動運転」である
  • 室温を下げずに除湿する「再熱除湿」は電気代が高くなりがちである
  • 2週間に一度のフィルター掃除は年間約990円の節約につながる
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