夏の電気代の主役、エアコン。「設定温度27度は、電気代が高いのでは?」と疑問に思ったことはありませんか。
この記事では、電気代・省エネの専門家が、エアコン27度の具体的な電気代から、料金が毎月変動する根本的な仕組みまで、誰にでも分かりやすく解説します。
さらに、27度設定でもっと快適に過ごしながら電気代を節約する賢い方法、例えばサーキュレーターの最適な置き方や、「冷房」と「除湿」の賢い使い分け、10年前の古いエアコンを使い続けるリスクまで、明日からすぐに実践できる具体的な情報が満載です。
この記事を読めば、電気代への不安が解消され、快適さと節約を両立する夏を過ごせるようになります。
- エアコン27度の電気代は1時間あたり約13円が目安
- 設定温度を1度上げるだけで年間約940円の節約効果
- 電気代は「燃料費調整額」と「再エネ賦課金」で毎月変動する
- サーキュレーターの併用で体感温度が下がり節電につながる
エアコン27度の電気代はいくら?料金の仕組みから徹底解説
- 【結論】エアコン27度の電気代は1時間あたり約13円から
- 設定温度28度との比較!1度の違いで年間約940円の差
- なぜ毎月変動?電気代を構成する3つの要素
【結論】エアコン27度の電気代は1時間あたり約13円から

夏の暮らしに欠かせないエアコンですが、気になるのはその電気代です。「27度設定」は、一体いくらかかるのでしょうか。結論から言うと、最新の省エネ型エアコン(6畳用・冷房能力2.2kWクラス)を27度に設定した場合、電気代は1時間あたり約13.2円がひとつの目安となります。
これは、一般的な消費電力である425W(0.425kW)を基に、電力料金の目安単価$31\text{円/kWh}$で計算したものです。もちろん、この金額はあくまで標準的なモデルケースであり、お使いのエアコンの機種や製造年、お住まいの地域、住宅の断熱性、そしてその日の外気温によって変動します。特に、エアコンは設定温度に室温を近づけるまでの起動時に最も電力を消費するため、猛暑日で室内と室外の温度差が大きいほど、電気代は高くなる傾向にあります。
以下の表に、1時間、1日(9時間使用を想定)、1ヶ月(30日間)あたりの電気代の目安をまとめました。ご自身の生活スタイルと照らし合わせ、電気代を考える上での参考にしてください。
期間 | 消費電力(目安) | 電気代(目安) |
1時間 | 0.425 kWh | 約13.2円 |
1日(9時間) | 3.825 kWh | 約119円 |
1ヶ月(30日) | 114.75 kWh | 約3,557円 |
設定温度28度との比較!1度の違いで年間約940円の差

「たった1度の違いで、電気代はそんなに変わるものだろうか」と感じるかもしれません。しかし、そのわずかな差が、年間を通じて見ると大きな節約につながります。資源エネルギー庁のデータによると、外気温31℃の日に、エアコンの冷房設定温度を27℃から28℃へ1℃上げた場合、年間で約940円の節約効果があるとされています。これは、消費電力量にして約$13%$の削減に相当します。
ここで一つ注意したいのが、政府が推奨する「クールビズ」などでよく耳にする「室温28℃」という言葉です。これは、リモコンの「設定温度」が28℃という意味ではなく、あくまで「室内の温度」を28℃に保つことを目安とするものです。日差しが強い部屋や断熱性の低い住宅では、エアコンを28℃に設定しても、室温がそれ以上に上がってしまうことがあります。
大切なのは、設定温度の数字に固執するのではなく、温度計で実際の室温を把握し、無理のない範囲で快適な環境を維持することです。もし27℃設定で快適に過ごせているなら、それを無理に28℃にする必要はありません。しかし、「もう1度上げても大丈夫かな」と感じる瞬間があれば、それが年間約1,000円近い節約への第一歩となるのです。
なぜ毎月変動?電気代を構成する3つの要素
「先月と同じくらいしかエアコンを使っていないのに、電気代が全然違う」という経験はありませんか。その理由は、電気代が単純な「使用量×単価」だけで決まっているわけではないからです。毎月の電気料金は、主に3つの要素で構成されており、そのうちの2つが毎月、あるいは毎年変動するため、私たちの請求額も変わるのです。
1つ目は「基本料金+電力量料金」です。これは電力会社との契約の根幹部分で、基本料金は契約アンペア数などで決まる固定費、電力量料金は電気の使用量に応じて段階的に単価が上がる従量課金です。例えば東京電力の「スタンダードS」プランでは、最初の120kWhまで、次の300kWhまで、それ以上、と3段階で料金単価が設定されています。
2つ目は「燃料費調整額」です。これは、発電に必要な原油や液化天然ガス(LNG)、石炭といった燃料の価格変動を電気料金に反映させるための仕組みです。約3ヶ月から5ヶ月前の燃料の貿易価格を基に毎月単価が計算され、料金に加算されたり、逆に減算されたりします。世界情勢によって燃料価格が大きく変動するため、これが電気代が毎月変わる最大の要因です。
3つ目は「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」です。太陽光や風力など、再生可能エネルギーの普及を支えるために、電気を使用する全国民が負担する料金です。この単価は国が毎年決定しており、2025年度(2025年5月分から)は$3.98\text{円/kWh}$と定められています。
このように、私たちの手元に届く請求書は、自身の節約努力だけでなく、世界経済や国のエネルギー政策の影響も受けて変動しているのです。
エアコン27度でもっと快適に!賢い電気代節約術
- 27度なのに寒い?原因は「湿度」と「風」にあった
- 【決定版】サーキュレーターの最適な置き方と使い方
- 「冷房」と「除湿」どっちが安い?機能の使い分けが鍵
- つけっぱなしとこまめなオンオフ、お得なのはどっち?
27度なのに寒い?原因は「湿度」と「風」にあった

エアコンの設定温度を27℃にしているにもかかわらず、なんだか肌寒く感じることがありませんか。その不思議な感覚の正体は、温度計の数字だけでは測れない「体感温度」にあります。私たちの体感温度は、気温だけでなく、「湿度」と「風(気流)」という2つの要素に大きく左右されるのです。
まず湿度についてですが、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなるため、熱が体にこもり、実際の気温よりも暑く感じます。日本の夏が蒸し暑いのはこのためです。逆に、空気が乾燥していると汗がすぐに蒸発し、気化熱によって体の熱が奪われるため、同じ27℃でも涼しく、時には寒く感じることがあります。研究によれば、湿度が20%変わると体感温度が4℃も変化するというデータもあるほどです。
次に風の影響です。扇風機やうちわで涼しく感じるのと同じ原理で、体に直接風が当たると、体の表面の熱が奪われて体感温度が下がります。エアコンの冷風が直接体に当たり続けると、設定温度以上に体を冷やしすぎてしまい、寒さやだるさの原因にもなりかねません。
もし27℃で寒いと感じたら、設定温度を下げる前に、まず湿度計をチェックしたり、エアコンの風向きを直接当たらないように水平にするなどの工夫を試してみましょう。体感温度の仕組みを理解することが、快適さと省エネを両立させる鍵となります。
【決定版】サーキュレーターの最適な置き方と使い方

エアコンの電気代を節約し、27度設定でも快適性を高めるための最強のパートナーが「サーキュレーター」です。その効果を最大限に引き出すには、扇風機のように人に風を当てるのではなく、「部屋の空気をかき混ぜる」という本来の目的を理解した上で、戦略的に配置することが重要です。
冷たい空気は重く、部屋の下の方に溜まる性質があります。サーキュレーターの役割は、この床付近に溜まった冷気を部屋全体に循環させ、温度ムラをなくすことです。基本的な置き方は「エアコンを背にするように設置し、部屋の中央や対角線上に向けて送風する」ことです。こうすることで、エアコンから出た冷気を効率よく部屋の隅々まで届けることができます。
さらに、部屋の状況に応じた応用的な使い方もあります。例えば、エアコンのない隣の部屋も涼しくしたい場合は、エアコンのある部屋から隣の部屋へ向けて、床と平行に風を送るように設置します。これにより、冷気の通り道が生まれ、効率的に涼しさを広げることができます。
天井が高く熱がこもりやすいロフト付きの部屋では、サーキュレーターの2台使いが効果的です。1台は1階に置き、ロフトに向けて冷気を送り上げ、もう1台はロフト内に置いて、天井付近に溜まった暖かい空気を循環させると、部屋全体の温度が均一化されやすくなります。正しい使い方で、エアコンの効率を格段にアップさせましょう。
「冷房」と「除湿」どっちが安い?機能の使い分けが鍵
夏のエアコン操作で多くの人が悩むのが、「冷房」と「除湿(ドライ)」のどちらを使えば電気代が安くなるのか、という問題です。結論から言うと、どちらが安いかは一概には言えず、除湿機能の種類とその時の室内の状況によって最適な選択は変わります。
エアコンの除湿機能には、主に2つの方式があります。一つは「弱冷房除湿」です。これは、弱い冷房運転をしながら湿度を取り除く方式で、室温も少し下がります。消費電力は、通常の冷房運転よりも少なく済むことが多く、電気代は比較的安くなる傾向にあります。
もう一つは「再熱除湿」です。これは、湿度を取り除いて冷たくなった空気を、エアコン内部で適温に暖め直してから室内に戻す方式です。室温を下げずに湿度だけを下げられるため、梅雨の肌寒い日などには非常に快適ですが、空気を暖め直す工程が加わる分、消費電力は大きくなり、冷房運転よりも電気代は高くなります。
どちらの機能を使うべきか、以下の表を参考に使い分けるのが賢い選択です。重要なのは、温度を下げたいのか、湿度を下げたいのか、その目的を明確にすることです。
モード | 主な目的 | 室温 | 湿度 | 電気代 | 最適な利用シーン |
冷房 | 温度を下げる | 下がる | 少し下がる | 中 | 気温が高く暑い日 |
弱冷房除湿 | 湿度を下げる | 少し下がる | 大きく下がる | 安い | 蒸し暑いが気温は高くない日(梅雨など) |
再熱除湿 | 湿度を下げる | 変わらない | 大きく下がる | 高い | 湿度が高く肌寒い日、室温を下げたくない時 |
つけっぱなしとこまめなオンオフ、お得なのはどっち?
「少しの外出なら、エアコンはつけっぱなしの方が安い」という話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。この長年の疑問に対する答えは、近年の研究によって明確になってきています。結論として、特に日中の暑い時間帯や、30分程度の短い外出であれば、「つけっぱなし」の方が電気代は安くなる可能性が高いです。
エアコンは、電源を入れてから設定温度に到達するまでの間、フルパワーで運転するため、最も多くの電力を消費します。一度部屋が冷えてしまえば、その後は少ない電力で温度を維持することができます。そのため、頻繁に電源をオン・オフすると、その都度、最も電力を使う「起動運転」を繰り返すことになり、結果的に消費電力量が増えてしまうのです。
ある大手空調メーカーの実験によると、日中の9時から18時の間では、30分ごとにオン・オフを繰り返すよりも、9時間連続でつけっぱなしにした方が、消費電力が少なかったという結果が出ています。
もちろん、夜間の涼しい時間帯や、数時間にわたる長時間の外出の場合は、きちんと電源をオフにする方が経済的です。この「30分」という時間を一つの目安として、「ちょっとそこまで」の買い物や送り迎えの際にはつけっぱなし、それ以上の外出ではオフにする、という使い分けを心がけるのが最も賢い選択と言えるでしょう。
ライフスタイル別・エアコン27度の上手な電気代節約術
- 赤ちゃんのいる家庭の最適温度は?安全で快適な設定
- 10年前のエアコンは買い替え?驚きの年間電気代の差
- 最新エアコンのAI機能で電気代はもっと安くなる
赤ちゃんのいる家庭の最適温度は?安全で快適な設定

大人よりも体温調節機能が未熟な赤ちゃんがいるご家庭では、エアコンの温度設定に特に気を使いますよね。専門家や育児情報サイトが推奨する、赤ちゃんにとって快適で安全な夏の室温の目安は、25℃から28℃とされています。大人が快適と感じる温度と大きな差はありませんが、いくつか注意すべき重要なポイントがあります。
まず、エアコンの風が赤ちゃんに直接当たらないように、風向きは必ず水平か上向きに設定しましょう。冷たい空気は下に溜まる性質があるため、床で過ごすことが多い赤ちゃんは、大人が感じているよりも体が冷えやすい環境にいます。時々赤ちゃんの背中や額を触って、汗をかいていないか、逆に手足が冷たくなりすぎていないかを確認する習慣が大切です。
また、温度と同じくらい重要なのが湿度です。赤ちゃんにとって快適な湿度は50%から60%が目安とされています。乾燥しすぎると肌や喉のトラブルにつながり、湿度が高すぎるとあせもや熱中症のリスクが高まります。
夜間にエアコンをつけっぱなしにする場合は、設定温度を28℃程度と少し高めにし、風量を「弱」や「微風」に設定するのがおすすめです。タイマーで夜中に運転を止めてしまうと、室温が急上昇して赤ちゃんが目を覚ましてしまう原因にもなるため、朝までつけっぱなしにする方が睡眠の質を保ちやすいと言われています。
10年前のエアコンは買い替え?驚きの年間電気代の差
「まだ壊れていないから」と、10年以上前の古いエアコンを使い続けていませんか。実はその選択が、知らず知らずのうちに家計を圧迫しているかもしれません。エアコンの省エネ性能は技術革新によって年々飛躍的に向上しており、最新モデルと10年前のモデルとでは、年間の電気代に大きな差が生まれます。
エアコンの省エネ性能を示す指標の一つに「期間消費電力量(kWh)」があります。これは、1年間を通じて冷暖房を使用した際に消費する電力量の目安です。この数値が小さいほど、省エネ性能が高いことを意味します。
例えば、あるメーカーの6畳用モデルで比較すると、10年前の2014年モデルの期間消費電力量が630kWhだったのに対し、最新の2024年モデルでは603kWhと、着実に性能が向上しています。さらに、これが20年以上前の1990年代後半のモデルになると、消費電力は最新モデルの1.5倍近くになることも珍しくありません。
以下の表は、モデルの年代による年間の電気代を比較したものです。古いエアコンほど、同じ快適さを得るためにより多くのお金がかかっていることが一目瞭然です。もしお使いのエアコンが10年以上経過しているなら、故障するのを待つのではなく、最新の省エネモデルへの買い替えを検討することが、長期的に見て最も効果的な電気代節約術と言えるでしょう。
モデルの年代 | 期間消費電力量(目安) | 年間電気代(目安) |
約10年前(2014年頃) | 630 kWh | 約19,530円 |
最新モデル(2024年頃) | 603 kWh | 約18,693円 |
約20年以上前(1990年代後半) | 約980 kWh | 約30,380円 |
最新エアコンのAI機能で電気代はもっと安くなる
近年のエアコン選びにおいて、省エネ性能を左右する重要な要素となっているのが、AI(人工知能)を活用した先進機能です。もはやエアコンは、単に設定された温度に空気を冷やすだけの機械ではありません。搭載されたセンサーとAIが、部屋の状況や人の状態を細かく分析し、人間が操作するよりも賢く、そして自動で最も効率的な運転を行ってくれるのです。
例えば、パナソニックの「エオリア」に搭載されている「AI快適エコナビ」機能は、部屋にいる人の位置や活動量、日差しの強さなどを検知します。そして、設定温度を絶対的な目標とするのではなく、湿度なども考慮して「体感温度」が快適になるように、風量や風向きを自動で最適化します。これにより、無駄な電力消費を抑えながら、常に快適な空間を維持してくれます。
また、三菱電機の「霧ヶ峰」が誇る「ムーブアイ mirA.I.+」は、360度センシングで部屋の温度や湿度を分析するだけでなく、AIが使う人の体感温度の感じ方を学習し、さらには住宅の断熱性能まで把握します。これにより、「このままだと湿度が上がって不快になりそうだ」と未来を予測し、冷房から除湿運転へ先回りして切り替えるなど、プロ顔負けの高度な運転制御を自動で行い、快適さと省エネを高いレベルで両立させます。
もしエアコンの買い替えを検討しているなら、こうしたAI機能の有無も重要な判断基準の一つです。賢いエアコンに「おまかせ」することが、究極の節約術になる時代が来ています。
総括:エアコン27度の電気代を理解し賢く節約する最終結論
この記事のまとめです。
- エアコン27度の電気代は6畳用で1時間約13.2円が目安である
- 設定温度を27度から28度に1度上げると年間約940円の節約が見込める
- クールビズの28度は設定温度ではなく室温の目安である
- 電気代は基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再エネ賦課金で構成される
- 燃料費調整額は世界情勢により毎月変動し、電気代が変わる主因である
- 再エネ賦課金は国が毎年決定する全国一律の料金である
- 27度でも寒く感じる主な原因は湿度の低さと風が直接当たることにある
- 体感温度は気温だけでなく湿度と気流に大きく影響される
- サーキュレーターは空気を循環させ温度ムラをなくすのが目的である
- 冷房時はエアコンを背にサーキュレーターを置くと効率が良い
- 除湿には「弱冷房除湿」と「再熱除湿」があり、後者の方が電気代は高い
- 気温が高くないが蒸し暑い日は「弱冷房除湿」が経済的で快適である
- 30分程度の短い外出ならエアコンは「つけっぱなし」の方がお得な場合が多い
- エアコンは起動時に最も電力を消費するため、頻繁なオンオフは非効率である
- 10年以上前の古いエアコンは最新モデルに比べ大幅に電気代が高い
- 最新エアコンのAI機能は、体感温度や住宅性能を考慮して自動で省エネ運転を行う