この記事では、日本の一般家庭で使われる家庭用冷凍庫の電気代について、できるだけ具体的に解説します。
前提として、2025年12月時点の情報をもとに、日本国内の一般家庭向け電気料金(東京電力などの料金水準・1kWhあたり約30円前後)を参考にしています。地域や電力会社、プランによって単価は異なるため、あくまで「目安」としてご覧ください。
冷凍庫の電気代の仕組み、容量やタイプごとの電気代の目安、今ある冷凍庫でできる節約方法、省エネ性能の高い冷凍庫の選び方、そしてセカンド冷凍庫を導入するときの損得の考え方まで幅広くカバーします。
冷凍庫 電気代を検索している方が、「結局うちの冷凍庫はいくらくらいかかっているのか」「買い足したらどれくらい増えるのか」「どうすれば今より安くできるのか」が自分で判断できるようになることをゴールにして解説していきます。
- 日本の一般家庭を前提に冷凍庫の電気代の仕組みと目安を解説
- 容量・タイプ別の冷凍庫の電気代を具体的な金額でイメージできる
- 今ある冷凍庫でできる電気代の節約テクニックと買い替えの判断基準が分かる
- セカンド冷凍庫導入や太陽光・蓄電池との組み合わせまで長期的な視点で考えられる
冷凍庫の電気代の目安と仕組み
- 冷凍庫の電気代が家計で占める割合
- 冷凍庫の電気代の計算方法の基本
- 容量・タイプ別の冷凍庫の電気代目安
- 電気料金プランと再エネ賦課金の影響
冷凍庫の電気代が家計で占める割合

まず、家庭全体の電気代の中で冷凍庫の位置づけを押さえておきましょう。
日本の一般家庭の月々の電気代は、直近1年間の平均でおよそ1万3,000円前後というデータがあります。
一方、最新の小型冷凍庫(100L以下〜200L程度)の電気代は、1カ月あたりだいたい400〜700円前後という試算が多く見られます。
容量がもっと大きな家庭用冷凍庫(200L以上)になると、月800〜1,300円程度が目安とされています。
この数字を家計全体の電気代と比べると、冷凍庫の電気代はおおまかに言って
- 小型〜中型:電気代全体の数%
- 大型やセカンド冷凍庫を含めると:1割前後になるケースも
というイメージになります。
冷凍庫は24時間365日動き続ける家電なので、「エアコンのように季節で大きく増減する」というよりは、「一年を通してじわじわ効いてくる固定コスト」に近い存在です。
そのため、少しの節電効果でも年間で見ると差が出やすく、逆に性能の古い冷凍庫を何台も動かしていると、気付かないうちに家計の重しになっていることもあります。
ただし、冷凍庫のおかげでまとめ買いや作り置きができ、食費の無駄を抑えられる面もあります。電気代だけ切り離して「高い・安い」と判断するのではなく、「食費や時間の節約も含めてトータルで得をしているか」を見ることが大切です。
冷凍庫の電気代の計算方法の基本

冷凍庫の電気代は、基本的に次の式で求められます。
年間電気代(円) = 年間消費電力量(kWh/年) × 電力量料金単価(円/kWh)
冷凍庫のカタログや本体の銘板、または統一省エネラベルや省エネルギーラベルを見ると、「年間消費電力量(kWh/年)」という項目が記載されています。これは、標準的な使い方をした場合にその冷凍庫が1年間で使う電力量の目安です。
一方、電力量料金単価は、契約している電力会社や電気料金プランによって異なります。例えば、東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bでは、第1段階料金(最初の120kWhまで)が1kWhあたり約29.8円(税込)とされています(2024年4月以降の見直し後単価)。
たとえば、年間消費電力量が200kWhの冷凍庫で、1kWhあたり30円と仮定すると、
- 年間電気代:200kWh × 30円 ≒ 6,000円
- 月あたり電気代:6,000円 ÷ 12カ月 ≒ 500円
という計算になります。
実際の請求では、ここに基本料金や燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)などが加わるため、厳密な金額は家庭ごとに異なります。ただ、冷凍庫ごとの「電気代の差」を比べるときには、このシンプルな計算式で十分実用的です。
容量・タイプ別の冷凍庫の電気代目安

実際にどのくらいの電気代になるのか、最近のデータをもとに容量別の目安を整理してみます。
複数の比較記事やメーカーの試算では、家庭用冷凍庫の月々の電気代はおおむね次のようなレンジに収まっています。
| 容量・タイプの目安 | 月々の電気代目安 | 年間電気代目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 小型(〜100L程度) | 約350〜500円 | 約4,200〜6,000円 | 1人暮らしやセカンド冷凍庫向き |
| 中型(100〜200L程度) | 約500〜800円 | 約6,000〜9,600円 | 2〜3人家族のメイン冷凍庫など |
| 大型(200L以上) | 約800〜1,300円 | 約9,600〜15,600円 | まとめ買いが多い家庭向き |
また、小型冷凍庫に限定して詳しく試算したデータでは、100L以下の最新モデルで月398円程度、150L前後で月716円程度という結果も出ています。
ここで注意したいのは、「小さいから必ず電気代が安い」とは限らない点です。
同じ100Lクラスでも、年間消費電力量が171kWhの省エネモデルと、200kWhを超えるモデルでは、年間の電気代で数百円〜千円以上の差が出ることがあります。
容量だけでなく、省エネ基準達成率や年間消費電力量の値をしっかり比較することが、電気代を抑えるうえでは非常に重要です。
電気料金プランと再エネ賦課金の影響

同じ冷凍庫を使っていても、契約している電気料金プランによって電気代は変わります。
代表的なポイントは次の3つです。
1. 電力量料金(1kWhあたりの単価)
2. 燃料費調整額
3. 再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)
電力量料金は、電力会社やプランによって差があります。オール電化向けプランや時間帯別プランでは、夜間の単価が安く設定されている場合もあります。
再エネ賦課金は、FIT・FIP制度にもとづき再生可能エネルギーの買取費用を全国の利用者で負担する仕組みで、1kWhあたりの単価は毎年度見直されます。2025年度の賦課金単価は過去最高の3.98円/kWhとされ、標準家庭(月260kWh)では月1,000円前後を賦課金だけで負担している試算もあります。
冷凍庫単体で見ると、「再エネ賦課金のせいで冷凍庫だけの電気代が急に高くなった」というわけではありませんが、家庭全体の電気代が上がる要因の一つにはなっています。
そのため、冷凍庫の節電だけでなく、家庭全体として電力会社や料金プランの見直しを行うことも、電気代対策としては非常に有効です。
冷凍庫の電気代を減らす具体策
- 今ある冷凍庫でできる節約テクニック
- 買い替えで冷凍庫の電気代を下げるポイント
- セカンド冷凍庫の電気代と損得の考え方
- 太陽光発電・蓄電池と冷凍庫の相性
今ある冷凍庫でできる節約テクニック

「すぐ買い替えるのは難しい」という方でも、使い方の工夫で冷凍庫の電気代をある程度抑えることができます。
多くの省エネ情報や電力会社のサイトが共通して挙げているポイントは、次のようなものです。
1. 扉の開閉回数と開けている時間を減らす
2. 冷凍庫内の詰め方を工夫して隙間を減らす
3. 熱いものはしっかり冷ましてから入れる
4. 設置場所と周囲のスペースを見直す
5. 霜取りやフィルター掃除を定期的に行う
冷凍庫は、扉を開けるたびに冷気が逃げてしまい、その分コンプレッサーががんばって冷やし直します。開ける回数を減らしたり、一度にまとめて出し入れしたりするだけでもムダな運転を防げます。
また、意外と大きいのが「詰め方」です。冷凍庫は、中身がある程度詰まっていたほうが冷気が逃げにくく、効率よく冷やせると言われます。凍った食品そのものが「保冷材」のような役割を果たしてくれるイメージです。逆にスカスカだと空気ばかり冷やすことになり、電気代のムダにつながります。
ただし、ぎゅうぎゅうに押し込んでしまうと冷気の通り道がなくなり、かえって効率が落ちることもあります。
- 引き出しやバスケットを活用して、同じ種類の食品をまとめる
- よく使うものは手前や上段に置く
といった工夫をすると、開けている時間も短くなり、一石二鳥です。
設置環境も重要です。
冷凍庫の周囲に十分な放熱スペースがないと、背面や側面が熱を逃がしにくくなり、コンプレッサーの負担が増えてしまいます。壁から数センチ以上離す、直射日光やガスコンロの近くを避けるだけでも、消費電力量の抑制に役立ちます。
最後に、直冷式の冷凍庫では、庫内に霜が厚く付着すると冷却効率が落ち、電気代アップの原因になります。取扱説明書に従って定期的に霜取りをすることも、地味ですが確実な節電方法です。
買い替えで冷凍庫の電気代を下げるポイント

10年近く前の冷凍庫を使っている場合、「買い替えたほうが電気代まで含めれば得になる」ケースも少なくありません。
省エネ性能カタログ2024年版などのデータをもとにした比較では、2015年前後の冷凍庫と2024年モデルを比べると、月々の電気代が最大で100円以上安くなっているという試算もあります。
買い替えを検討する際にチェックしたいポイントは次の通りです。
1. 年間消費電力量(kWh/年)
2. 省エネ基準達成率(100%超なら省エネ性能が高い)
3. 容量(世帯人数や使い方に合っているか)
4. 冷却方式(直冷式かファン式か)
年間消費電力量は、電気代の差に直結します。たとえば、
- A機種:171kWh/年 → 年間電気代 約5,300円(目安)
- B機種:250kWh/年 → 年間電気代 約7,500円(目安)
といった具合に、1kWhあたり30円で計算すると、年間で約2,000円の差になります。5〜10年使うことを考えると、本体価格が多少高くても省エネモデルを選んだほうがトータルで得になることも多いです。
また、省エネ基準達成率は、その製品がどのくらい省エネ目標を達成しているかを示す指標で、100%を超えるほど省エネ性能が高いとされています。
容量については、
- 1〜2人世帯なら100L前後
- 3〜4人世帯なら150〜200L前後
- まとめ買い・作り置きが多い家庭やセカンド冷凍庫としてなら、用途に応じて追加
といったイメージで、「少し余裕がある程度」を選ぶのが現実的です。大きすぎると中身がスカスカになり、かえって効率が悪くなる可能性もあります。
セカンド冷凍庫の電気代と損得の考え方

ここ数年で「セカンド冷凍庫」を導入する家庭が増えています。ふるさと納税の返礼品やネットスーパーのまとめ買い、作り置きおかずの冷凍など、冷凍保存する食品が増えているためです。
ただし、セカンド冷凍庫にも当然電気代がかかります。先ほどの小型冷凍庫の目安を参考にすると、
- 小型セカンド冷凍庫(〜100L):月400〜500円前後
- 中型セカンド冷凍庫(100〜150L):月500〜700円前後
といった負担増が想定されます。
セカンド冷凍庫を導入すべきかどうかは、次のような観点で考えると整理しやすくなります。
1. まとめ買いでどのくらい食費が下がるか
2. 食品ロス(廃棄)をどれだけ減らせるか
3. 調理時間の短縮・時短効果をどのくらい評価するか
4. 電気代(月400〜700円前後)とのバランス
例えば、セカンド冷凍庫を導入することで、毎月1,500円分の食品ロスが減り、さらにまとめ買いで1,000円節約できるとすれば、電気代400〜700円を差し引いてもトータルではプラスになります。
逆に、「なんとなく便利そうだから」「ふるさと納税の返礼品を一時的に入れたいだけ」という理由だと、使わない期間が長くなり、電気代だけがかかる状態になりかねません。
また、セカンド冷凍庫を選ぶ際は、特に年間消費電力量と省エネ基準達成率に注目してください。セカンド冷凍庫向けに売れ筋になっているスリムタイプや小型冷凍庫の中にも、省エネ性能にかなり差があることが比較記事から分かります。
太陽光発電・蓄電池と冷凍庫の相性

冷凍庫の電気代を長期的に抑える方法として、「太陽光発電+蓄電池」との組み合わせもよく取り上げられます。特に、昼間に太陽光で発電した電気を自家消費し、余った分を蓄電池にためて夜間に使う形にすると、冷蔵庫・冷凍庫のような24時間運転の家電と相性が良いとされています。
また、災害時・停電時の備えとしても、冷凍庫と蓄電池の相性は良いと言われます。
- 太陽光+蓄電池があれば、日中に発電した電力を使って冷凍庫を動かし続けられる
- 停電が長引いた場合でも、食品を守れる時間が延びる
といったメリットが期待できます。
ただし、太陽光発電や蓄電池の導入には数十万円〜百万円単位の初期費用がかかるため、「冷凍庫の電気代だけを下げたいから導入する」というよりは、
- 家全体の電気代
- 停電リスクへの備え
- 将来の電気料金の見通し
など、より広い視点で検討することが大切です。冷凍庫はその中の一要素として、「24時間稼働する負荷」として計算に入れておくとよいでしょう。
総括:冷凍庫の電気代を正しく理解してムダなく節約しよう
- 本記事は2025年12月時点の日本の一般家庭向け電気料金を前提としている
- 冷凍庫の電気代は家庭全体の電気代の数%から状況によっては1割程度を占める
- 冷凍庫の電気代は年間消費電力量と1kWhあたりの電力量料金単価の掛け算で求められる
- 日本の一般的な電力会社の第1段階料金は1kWhあたり30円前後で推移している
- 小型冷凍庫の月々の電気代はおおむね400〜500円前後が目安である
- 200L以上の大型冷凍庫では月800〜1,300円程度になるケースが多い
- 同じ容量でも年間消費電力量により年間数千円規模の電気代差が生じる
- 省エネ基準達成率が100%を超える機種ほど省エネ性能に優れている
- 扉の開閉回数や開けている時間を減らすことはシンプルだが効果的な節電である
- 冷凍庫内を適度に詰めて冷気の流れを確保する工夫は効率向上につながる
- 設置場所の見直しや霜取りなどのメンテナンスも電気代削減に寄与する
- 10年前後使った冷凍庫は最新省エネ機種への買い替えで電気代が下がる可能性が高い
- セカンド冷凍庫は月400〜700円前後の電気代増を前提に食費や時間の節約効果と比較すべきである
- 太陽光発電と蓄電池の導入は冷凍庫を含む家庭全体の電気代と停電対策に有効な選択肢になり得る
- 冷凍庫 電気代を正しく理解し自宅の使用状況に合わせて見直せば家計への負担を着実に軽減できる
