暖房は何度が正解か 電気代を無理なく節約する設定術ガイド

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冬になると「暖房は何度にすれば電気代が安くなるのか」が気になりますよね。暖房の設定温度は、電気代に直接影響する大きなポイントです。本記事では、日本の一般家庭向けエアコン暖房を前提に、「暖房は何度にするのが良いのか」「何度からつけるべきか」を、最新の公的データや電力・家電専門サイトの情報をもとに解説します。

環境省が目安とする室温20℃の意味、設定温度を1℃変えたときの電気代の違い、世帯や体質ごとの暖房の目安、エアコン以外の暖房器具との上手な組み合わせ方まで、一通り押さえられる内容になっています。読み終えたころには、ご自宅の暖房設定を「なんとなく」から「理由を持って」選べるようになるはずです。

この記事で扱う電気料金や節約額は、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める「1kWhあたり31円」という目安単価をベースにした概算です。実際の料金は電力会社やプラン・地域によって変わるため、「あくまで目安」であることを前提に読んでください。

この記事のポイント
  • 日本の一般家庭向けに、暖房何度と電気代の関係を整理
  • 室温20℃目安と「設定温度1℃で約10%節電」の根拠を解説
  • 具体的な電気代シミュレーションで金額イメージを把握
  • エアコン設定温度だけに頼らない電気代削減テクニックを紹介
目次

暖房は何度にすると電気代節約?

  • 日本の推奨室温20℃の意味
  • 暖房の設定温度と電気代の関係
  • 家族構成と体質別の暖房目安温度
  • 暖房を何度からつけるかの判断基準

日本の推奨室温20℃の意味

日本の推奨室温20℃の意味

まず押さえておきたいのは、「国が推奨する暖房時の室温は何度か」という点です。環境省は、冬の室温の目安として20℃を掲げています。これはエアコンの「設定温度」ではなく、「室温が20℃程度になるように暖房を使いましょう」という意味です。

同じページでは、冷房時28℃、暖房時20℃という目安を「快適性を損なわない範囲で省エネを目指すための目標」として示しており、これを根拠にウォームビズ(暖房に頼りすぎず衣服などで工夫する取り組み)も行われてきました。

一方で、冬の快適な室温としては18〜22℃を目安とする解説も多く、ライフスタイル情報サイトや空調関連の解説では「冬の室温は18〜22℃を基準に、16℃を下回らないようにする」といった目安が紹介されています。

つまり20℃は、「健康と省エネのバランスを取るための、やや低めの妥協点」と考えるのが妥当です。

ここで重要なのは、「室温」と「エアコンの設定温度」を混同しないことです。環境省の統計によると、暖房時にエアコンを最もよく使う世帯の多くが、設定温度を20〜23℃あたりにしており、約4分の1は20℃以下に設定しています。しかし、エアコンの設置位置やセンサーの位置、間取りによっては、設定20℃でも部屋の隅や足元は18℃以下になることがよくあります。

そのため、リモコン表示だけで判断せず、室内に温度計を置いて「実際の室温」を確認することが大切です。置き場所は、部屋の中央付近で床から1〜1.5mほどの高さが目安です(低すぎると床近くの冷気に影響され、高すぎると天井付近の暖気に引っ張られます)。

また、日本は南北に長く、北海道と沖縄では外気温も住宅の断熱性能も大きく違います。断熱性能の高い新築住宅・マンションであれば、日中の日射だけで20℃を超えることもありますが、築年数の古い戸建てでは、同じ設定温度でも寒く感じやすくなります。

本記事では「日本の一般的な家庭用エアコン暖房」を前提に話を進めますが、実際には地域差や住宅の性能によって必要な暖房の強さは変わる点を意識しながら、自分の家の状況に合わせて読み替えてください。

暖房の設定温度と電気代の関係

次に、暖房の設定温度を変えると電気代がどのくらい変わるのかを確認しましょう。環境省の解説では、エアコンの設定温度を1℃緩和(冷房なら高く、暖房なら低く)すると、暖房時で約10%、冷房時で約13%消費電力量が減るとされています。

これはあくまで平均的な条件での目安ですが、「1℃の差で暖房電気代がおおむね1割変わる」という感覚を持っておくと、設定温度を見直すモチベーションにつながります。

具体的なデータとして、家庭向け省エネ情報サイトでは、外気温6℃の条件で、2.2kWクラス(主に6畳向け)のエアコンの暖房設定温度を21℃から20℃に下げた場合、暖房期間5.5か月で消費電力量が約53kWh減ると紹介されています。

電気料金の目安単価31円/kWhで計算すると、1シーズンあたり約1,600円前後の節約効果です。

関東エリアのライフスタイルブログでも、東京電力パワーグリッドの試算として、同じ条件で「設定温度を21℃から20℃に下げると、暖房期間5.5か月で約1,650円節約できる」と紹介されています。

細かい前提条件はサイトによって異なりますが、「1℃下げると1シーズンで1,000〜2,000円程度の差になるケースがある」と考えておくとイメージしやすいでしょう。

「設定温度を下げるとエアコンの効率が悪くなり逆に電気代が増えるのでは」と心配する声もありますが、機器の効率だけで見れば、外気との温度差が小さいほどエアコンの負荷は下がります。問題になりやすいのは「こまめにオン・オフする」使い方です。暖房を入れるたびにコンプレッサーが立ち上がるため、その瞬間に大きな電力を使います。

家電メーカーの解説でも、「ある程度の時間つけっぱなし」にして設定温度で安定運転させた方が、頻繁にオン・オフを繰り返すより省エネになるケースが多いと説明されています。

ただし、外出時間が長いときまでつけっぱなしにするとさすがにムダなので、「30分〜2時間程度の外出ならつけっぱなし、それ以上ならオフして帰宅前にタイマーでオン」といった使い分けが現実的です。

家族構成と体質別の暖房目安温度

家族構成と体質別の暖房目安温度

「暖房は何度がいいか」は、家族構成や体質によっても変わります。一般的なライフスタイル解説では、冬の室温は18〜22℃が基準とされ、健康な成人がある程度厚着をし、室内で軽く動いていることを想定した目安が示されています。

一方で、高齢者や乳幼児は体温調節機能が弱く、同じ室温でも寒さを強く感じたり、低体温になりやすかったりします。室温が18℃前後でも、体調によっては寒すぎる場合があり、冬の室温を20〜22℃程度に保つことが推奨されるケースもあります。

家族構成別にざっくりとした目安を整理すると、次のようなイメージになります。

  • 一人暮らしの成人
  • 目安室温:18〜20℃
  • 服装やひざ掛けで調整しつつ、寒さを感じないギリギリを探る
  • 小さな子どもがいる家庭
  • 目安室温:20〜22℃
  • 体調不良時や赤ちゃんのいる家庭では、やや高めを意識
  • 高齢者がいる家庭
  • 日中の目安室温:20〜22℃
  • 寝室は18〜20℃を下回らないよう配慮
  • ペット(犬・猫など)がいる場合
  • 冬の目安室温:18〜22℃(種類によって差あり)

一人暮らしのワンルームでは、部屋全体をエアコンで22〜23℃まで上げるより、20℃前後を目安にしつつ、こたつや電気毛布などの局所暖房を組み合わせるほうが電気代を抑えやすい、という比較結果もあります。暖房器具別の1時間あたりの電気代をまとめた公表データでは、エアコン暖房が約15.5〜46.5円なのに対し、こたつは約2.5〜18.6円、電気毛布は約0.9〜1.9円とされており、体の近くをピンポイントで暖める機器ほど安く済みやすいことがわかります(いずれも1kWhあたり31円を前提に試算)。

一方、4人家族がリビングで過ごす場合は、こたつだけに頼ると部屋全体が冷えたままになり、動き回る人や立って作業する人が寒く感じてしまいます。リビングではエアコンを主暖房として室温20〜22℃を維持し、ソファやテーブル周りではこたつ・ホットカーペット・ひざ掛けなどをサブで使うイメージにすると、快適さと電気代のバランスが取りやすくなります。

さらに、住宅の断熱性能も体感温度に大きな影響を与えます。断熱性・気密性の高い住宅では、同じ室温20℃でも「ぽかぽか」感じる一方、すき間風の多い家では足元から冷えを感じてしまいます。断熱リフォームまでは難しくても、窓に断熱シートを貼る、床まで届く厚手のカーテンに替える、といった対策だけでも体感温度は大きく変わります。

暖房を何度からつけるかの判断基準

暖房を何度からつけるかの判断基準

「何度になったら暖房をつけるべきか」は、意外と悩みやすいポイントです。室温の適正を解説する記事では、冬の快適な室温を18〜22℃とした上で、「室温が16〜18℃を下回る前に暖房を使い、寒さを我慢しすぎないこと」が重要だと説明されています。

高齢者や乳幼児がいる家庭では、室温が20℃を下回ると健康リスクが高まる可能性があるため、早めの暖房使用が推奨されています。

実用的な目安としては、次のような基準が考えられます。

  • 日中のリビング
  • 室温18〜19℃になったら暖房をオン
  • 20〜22℃程度を維持するように運転
  • 朝起きた直後・帰宅直後
  • 体が冷えているため、最初は22〜23℃設定で短時間しっかり暖め、その後20〜21℃に下げて維持
  • 寝室
  • 寝る前後に18〜20℃程度を目安にし、極端に冷え込む住宅ではタイマーや弱運転で冷えすぎを防ぐ

寝室の環境についての解説では、「冬の寝室は室温18〜20℃、湿度40〜60%程度」が快適な範囲とされることが多く、エアコンだけでなく加湿器や寝具との組み合わせで調整することが勧められています。

「暖房は我慢してなるべくつけない方が節約になる」と考えがちですが、極端な我慢は血圧の上昇やヒートショック、睡眠の質の低下など、健康リスクを高めます。

結果的に医療費や体調不良による損失という別のコストが発生してしまう可能性もあるため、「寒さを感じたら、室温と湿度を確認し、20℃前後を目安に暖房と服装・局所暖房を組み合わせて調整する」くらいのスタンスが、健康と節約の両立には現実的です。

暖房の何度設定で電気代対策

  • 1℃下げたときの電気代シミュレーション
  • エアコン暖房を省エネに使うコツ
  • 暖房器具別の電気代と上手な使い分け
  • 設定温度以外で電気代を下げる工夫

1℃下げたときの電気代シミュレーション

1℃下げたときの電気代シミュレーション

ここからは、具体的な数字を使って「暖房を1℃下げると電気代がどのくらい変わるのか」をイメージしてみましょう。

省エネ関連のガイドでは、6畳用エアコン(冷房能力2.2kW)の「期間消費電力量」(冷暖房を含む年間の標準的な消費電力量)が約586kWhと示されています。

一方、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める最新の「1kWhあたりの電気料金の目安」は31円です。

これを使うと、期間消費電力量586kWhのエアコンを1年間使ったときの目安電気代は、

  • 586kWh × 31円 ≒ 18,166円

となります。実際の単価は電力会社・地域・料金プランによって異なりますが、ここではあくまで「目安」として考えます。

このうち、暖房シーズン(例えば半年)をざっくり半分程度と仮定すると、暖房に相当する電気代は約9,000円前後というイメージになります。ここで、暖房の設定温度を1℃下げて消費電力量が約10%減るとすると、暖房分の電気代は約900円ほど安くなる計算です。

家庭によっては、暖房だけで年間1万円以上かかっているケースも少なくありません。その場合、1℃の温度差で年間数百〜数千円規模の節約につながる可能性があります。

前半で触れたように、外気温6℃、2.2kWクラスのエアコンを想定し、「設定温度を21℃から20℃に下げると、暖房期間5.5か月で約1,650円節約できる」という試算も紹介されています。

これは、先ほどの概算と同じオーダーで、実際の検証結果とも整合的です。

もちろん、電気代はエアコンの性能(APF値など)や住宅の断熱性能、地域の気候、在宅時間、使い方によって大きく変わります。そのため、ここで紹介した数字はあくまで「典型的な一例」に過ぎません。ただ、「設定温度を1℃見直す価値があるか」という問いに対しては、暖房期間が長い家庭や、在宅時間が長い家庭ほど、やってみる価値は十分にあるといえます。

より正確に把握したい場合は、以下のような手順で「自宅版シミュレーション」をしてみるとよいでしょう。

1. 冬の電気料金明細から「使用量(kWh)」と「請求金額」を確認する

2. エアコンの使用時間が多い月(12〜2月など)を選ぶ

3. 1ヶ月だけ設定温度を1℃下げて運転し、同じ月の前年と使用量を比較する(天候差も考慮)

完全に条件を揃えることは難しいものの、「ざっくりどのくらい違いが出るのか」を自分の家のデータでつかめると、より納得感のある節約につながります。

エアコン暖房を省エネに使うコツ

エアコン暖房を省エネに使うコツ

同じ設定温度でも、使い方によって電気代は大きく変わります。省エネ関連サイトやメーカーの解説を整理すると、エアコン暖房を省エネに使うためのポイントは次のようになります。

1. 自動運転を基本にする

弱運転の方が節電になると思いがちですが、弱のままだと室温がなかなか上がらず、長時間フル稼働してしまうことがあります。自動運転で一気に室温を上げ、その後は少ない電力で温度を維持する方が効率的なケースが多いとされています。

2. 風向きを「下向き」にする

暖かい空気は天井付近にたまりやすいので、風向きを下向きにして足元に風を送ると、部屋全体をむらなく暖めやすくなります。サーキュレーターを天井方向に向けて回し、天井付近の暖気を部屋全体に循環させるのも有効です。

3. フィルターをこまめに掃除する

フィルターが目詰まりすると空気の吸い込みが悪くなり、設定温度を保つために余計な電力が必要になります。メーカーの取扱説明書では、2週間〜1か月に1度程度の掃除が推奨されることが多く、フィルター自動掃除機能付きの機種でも、ダストボックスの清掃は定期的に必要です。

4. 外気の出入りを減らす

窓やドアのすき間から冷気が入ると、設定温度を高くしても足元がいつまでも冷えたままになります。断熱カーテンや窓用断熱シート、すき間テープなどを併用することで、エアコンの負荷を下げることができ、設定温度を下げても快適さを保ちやすくなります。

5. 部屋ごとに「暖める/暖めない」を決める

使っていない部屋のドアを閉めたり、暖める部屋を限定したりすることで、不要な空間を暖めずに済みます。特にリビングと廊下・玄関がつながっている場合は、間仕切りカーテンやドアの開閉の工夫が電気代に効いてきます。

6. 古いエアコンは買い替えも検討

業界団体や省エネ情報サイトの比較では、最新の省エネエアコンは10年ほど前の機種に比べ、APF(通年エネルギー消費効率)が大きく向上しており、年間の電気代が数千円程度安くなる例も紹介されています。

使用頻度が高い家庭ほど、買い替えによるランニングコストの差が大きくなります。

これらの工夫を組み合わせることで、設定温度を無理に下げなくてもエアコンの使用電力量を抑えることができ、最終的には設定温度を1〜2℃下げても快適に過ごせる「下地作り」につながります。

暖房器具別の電気代と上手な使い分け

エアコンだけでなく、ほかの暖房器具の電気代を知っておくと、組み合わせ方を工夫しやすくなります。電力会社系サイトや電気料金比較サイトの試算をもとにした、暖房器具別の1時間あたりの電気代の目安(1kWhあたり31円を前提とした計算)は、例えば次のようにまとめられています。

暖房器具 1時間あたりの目安電気代 特徴のイメージ
暖房(エアコン) 約15.5〜46.5円 部屋全体を効率よく暖めるのが得意
こたつ 約2.5〜18.6円 足元・体の一部を集中的に暖める
ホットカーペット 約6.2〜22.9円 床からじんわり暖まり、エアコン補助に向く
電気ストーブ 約10.2〜37.2円 すぐ暖かいが、広い部屋の長時間使用は割高
オイルヒーター 約18.6〜46.5円 空気が乾きにくいが電気代は高め
電気毛布 約0.9〜1.9円 体に近い範囲だけをきわめて安く暖められる

数字そのものは製品や出力によって変わりますが、「部屋全体を暖めるエアコン」より、「体の一部だけを暖めるこたつや電気毛布」のほうが、1時間あたりの電気代は低くなりやすい傾向があります。

ただし、ここで注意したいのは「用途」と「時間」です。

  • 広いリビングを長時間暖めたい

→ エアコンがメイン向き。最初に多少電力を使って部屋を暖めてしまえば、その後は比較的少ない電力で温度維持が可能。

  • 一人でデスクワークをする・少しだけテレビを見る

→ こたつや電気毛布、足元用の小型パネルヒーターの方がコスパが良い。

  • 脱衣所やトイレなど短時間だけ暖めたい

→ すぐに暖かくなる電気ストーブやセラミックヒーターが便利だが、長時間連続使用は電気代がかさみやすい。

実践的な組み合わせ方の一例としては、次のようなパターンが考えられます。

  • リビング
  • エアコンで室温20〜22℃を維持
  • ソファやテーブルではこたつ・ホットカーペットを弱設定で併用し、体感温度を底上げ
  • これにより、エアコンの設定温度を1℃程度下げても快適さを保ちやすくなる
  • 一人暮らしのワンルーム
  • 室温を18〜20℃程度に保ちつつ、仕事中はひざ掛け+電気毛布(または着る毛布)を併用
  • 就寝時はエアコンを短時間運転し、寝るときは電気毛布中心に切り替える
  • 寒冷地・断熱性能の低い住宅
  • 部屋全体はエアコン+補助的に石油ファンヒーターなどを併用(ただし換気と安全対策は必須)
  • 足元にはホットカーペットを敷き、こたつで過ごす時間を増やしてエアコン設定温度を下げる

こうした「用途と時間」を意識した使い分けができると、単純に「一番電気代が安い暖房器具はどれか」を探すよりも、結果的に大きな節約につながりやすくなります。

設定温度以外で電気代を下げる工夫

設定温度以外で電気代を下げる工夫

最後に、暖房の設定温度を大きく変えなくても電気代を下げられる工夫を整理しておきます。

1. 湿度を意識する

冬は空気が乾燥しやすく、湿度が40%を切ると同じ室温でも寒く感じやすくなります。室温18〜20℃・湿度40〜60%を目安に、加湿器や室内干しを活用することで、設定温度を上げずに体感温度を高めることができます。

2. 服装と防寒アイテムを見直す

厚手の靴下やスリッパ、ひざ掛け、あったかインナーなどは、コストをあまりかけずに体感温度を上げられる定番の方法です。床からの冷えを防ぐラグマットやホットカーペットを併用することで、設定温度を1℃下げても快適さを保ちやすくなります。

3. 断熱・気密対策を強化する

断熱性・気密性の高い住宅ほど、室温が下がりにくく、暖房の負荷も小さくなります。窓に断熱シートを貼る、二重窓や内窓を検討する、床まで届く厚手のカーテンに替える、といった対策は、比較的手軽な割に効果が大きいとされています。

4. 電気料金プランを見直す

電気料金比較サイトの試算では、世帯構成や使用量によっては、電力会社や料金プランを見直すことで年間3万円以上節約できるケースも紹介されています。

同じ使用量でも、「基本料金」「時間帯別単価」「燃料費調整額」「再エネ賦課金」の組み合わせ次第で、支払額は大きく変わります。明細書に記載された1kWhあたりの実質単価を確認し、自分の家庭に合ったプランかどうかをチェックしてみるとよいでしょう。

5. 省エネ性能の高いエアコン・暖房器具に更新する

省エネ性能を示す指標(エアコンならAPFなど)が高い機種ほど、同じ暖房能力でも消費電力が少なくて済みます。業界団体や省エネ情報サイトの比較では、古いエアコンから最新の省エネモデルに買い替えることで、年間数千円規模で電気代が下がる例も紹介されています。

使用頻度が高く、冬場の電気代が特に気になる家庭ほど、長期的には投資回収しやすくなります。

6. 創エネ・蓄エネの活用を視野に入れる

太陽光発電や家庭用蓄電池を導入すると、昼間の電力使用の一部を自家発電で賄えるようになり、購入する電力量自体を減らすことができます。初期費用がかかるため、補助金や売電単価、電気料金の見通しを踏まえて長期的な採算を検討する必要がありますが、「電気を安く買う」だけでなく「そもそも買う量を減らす」という発想も、これからの電気代対策として重要になりつつあります。

こうした「設定温度以外の工夫」を積み重ねることで、無理に我慢をしなくても、結果として暖房の設定温度を1〜2℃下げられるようになり、電気代と快適さのバランスが取りやすくなります。

総括:暖房は何度にするかで電気代が大きく変わる

  • 本記事は日本の一般家庭向けエアコン暖房と、1kWhあたり31円という目安単価を前提にしている(実際の料金は電力会社・プランで異なる)。
  • 環境省は冬の室温目安を20℃としており、これは設定温度ではなく「室温」の目標である。
  • エアコン暖房時に設定温度を1℃下げると、消費電力量はおおむね約10%減るとされている。
  • 1℃の違いでも、暖房シーズン全体では数百円から千数百円規模の電気代差になるケースが多い。
  • 冬の快適と感じる室温は18〜22℃程度であり、家族構成や体質に応じて調整が必要である。
  • 一人暮らしでは、エアコンで室温を20℃前後に保ちつつ、こたつや電気毛布などの局所暖房を併用すると、電気代と快適さの両立に効果的である。
  • 家族が集まるリビングでは、エアコンを主暖房とし室温20〜22℃を維持し、こたつやホットカーペットで体感温度を補うのが現実的である。
  • 室温が16〜18℃を大きく下回る前に暖房を入れ、20℃前後を保つことが健康面からも望ましい。特に高齢者や乳幼児がいる家庭では、室温20〜22℃を意識したい。
  • エアコンは自動運転と適切な風向き設定、定期的なフィルター清掃により、効率よく部屋全体を暖められる。
  • 窓の断熱やすき間風対策などのメンテナンスは、設定温度を変えずに電気代を下げる有効な手段である。
  • 暖房器具別の電気代を比較すると、部屋全体を暖める用途にはエアコン、局所暖房にはこたつや電気毛布が向く。
  • 電気料金単価は1kWhあたりの目安31円前後だが、電力会社やプランにより差があるため、料金プランの見直しだけで年間数万円規模の節約につながる可能性もある。
  • 省エネエアコンへの買い替えは、初期費用はかかるものの、長期的には年間数千円規模の節約効果をもたらす例が報告されている。
  • 湿度50%前後の維持や服装・寝具の工夫により、設定温度を上げずに体感温度を高めることができる。

暖房を何度にするかは、「我慢して下げる」ためではなく、「健康と快適さを確保したうえで、電気代を最小化するための調整」です。室温20℃をひとつの目安としながらも、家族の体調・住宅の断熱性能・地域の気候に合わせて、エアコン設定温度・暖房器具・服装・料金プランを総合的に組み合わせていくことが、これからの冬の電気代対策として重要になります。

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