暖房23度の電気代はいくら増える?今どきの目安と節約の考え方

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冬になると、エアコン暖房の設定温度を23度にするか20度に抑えるかで悩む方は多いと思います。実際、「暖房 23度 電気代」と検索する人の多くは、23度にするとどれくらい電気代が増えるのか、20度や22度と比べて損なのか得なのかを知りたいはずです。

本記事では、日本の一般家庭の電気料金を前提に、暖房23度の電気代の目安や、20度との違い、1kWhあたりの電気料金単価から見たシミュレーションを整理します。さらに、暖房23度でも電気代を抑えるコツ、電気料金プランの見直し、省エネエアコンや断熱対策との組み合わせも解説します。

地域や電力会社、住まいの断熱性能によって実際の電気代は変わりますが、この記事を読めば「自分の家で暖房23度にすると、どのくらいの電気代増加を覚悟すればよいか」「どこから節約するべきか」がかなり具体的にイメージできるはずです。

この記事のポイント
  • 日本の一般家庭で暖房がエネルギーや電気代に占めるおおよその割合が分かる
  • 暖房23度と20度の電気代の違いを公的データからシミュレーションできる
  • 1kWhあたりの単価を使って自宅の暖房23度の電気代目安を自分で計算できる
  • 暖房23度でも快適さを保ちながら電気代を抑える具体的な工夫が分かる
目次

暖房23度の電気代の基本と目安

  • 日本の家庭の電気代と暖房の割合
  • 暖房23度と20度で電気代はどれだけ違うか
  • 1kWh単価から見る暖房23度の目安料金
  • エアコン以外の暖房23度のコスト比較
  • 戸建て・マンション別の暖房23度の注意点

日本の家庭の電気代と暖房の割合

日本の家庭の電気代と暖房の割合

まず前提として、日本の家庭で暖房がどのくらいエネルギーや電気代を占めているかを把握しておきます。家庭の年間エネルギー消費量のうち暖房が約2割、寒冷地では3〜4割に達するという統計があり、冬の電気使用量に限って見ると、電気を使う用途の中で暖房が3割前後を占める例も紹介されています。

一方、家計調査などをもとにしたデータでは、2人世帯の1か月あたりの平均電気代はおおよそ1万〜1万1千円台、3〜4人世帯で1万2千円前後とされることが多く、別の統計や比較サイトの推計でも「2〜4人世帯で1万〜1万3千円前後」がおおよその水準として示されています。世帯人数が増えるほど電気代が増える傾向があるのも共通した結果です。

この平均電気代のうち、冬場は暖房が2〜3割前後を占めると考えると、冬の電気代が1万3千円程度の家庭では、単純計算で暖房分が3千〜4千円程度というイメージになります。実際には、ガス暖房や灯油ストーブを併用しているか、オール電化か、在宅時間が長いかなどによって大きく変動しますが、「冬の電気代の中で暖房はかなり大きなウエイトを占める」という感覚を持っておくと、設定温度の違いがどれくらい影響しそうかイメージしやすくなります。

この記事では、日本の一般家庭向けの低圧電力契約(戸建て・マンションで一般的な契約)を前提に、こうした代表的な統計値を「モデルケース」として使いながら、暖房23度の電気代を考えていきます。

暖房23度と20度で電気代はどれだけ違うか

暖房23度と20度で電気代はどれだけ違うか

次に、暖房の設定温度を23度にする場合と20度にする場合で、電気代がどのくらい変わるかを見ていきます。

省エネ関連の公的な試算では、外気温6度のときに2.2kWのエアコンを使い、暖房設定温度を21度から20度に1度下げた場合、1日9時間使用×約5.5か月の暖房シーズンで、50kWh強の省エネと1,600円台の節約になる、という例が紹介されています。この前提から逆算すると、1kWhあたりの電気料金は30円強となり、1度下げることで元の設定温度(21度)の消費電力がおおよそ1割程度減るイメージになります。

省エネキャンペーンやウォームビズなどの解説でも、「暖房の設定温度を1度下げると消費電力を約10%削減できる」といった目安がよく使われています。実際の削減率は機種や環境によって変わりますが、「1度=約1割」というのは、公的情報や大手事業者が繰り返し用いている代表的な指標です。

この「1度で約10%」という関係を、20度を基準にした場合のイメージとして並べると、次のようになります。

  • 20度:基準(100%)
  • 21度:おおよそ110%
  • 22度:おおよそ120%
  • 23度:おおよそ130%

つまり、同じ条件・同じエアコンであれば、20度に比べて23度に設定すると、暖房に使う電力量がざっくり3割増える可能性がある、ということです。

たとえば、20度設定で暖房シーズン(約5.5か月)に600kWh使っている家庭を考えると、1kWhあたり31円と仮定した場合の電気代は約18,600円です。この家庭が同じ条件で23度設定にしたとき、消費電力量が約1.3倍の780kWhに増えるとすると、電気代は約24,200円となり、シーズン全体で5,000〜6,000円程度の増加というイメージになります。月あたりに均すと、1,000円前後の差です。

もちろん、実際には住宅の断熱性能や間取り、外気温、在宅時間、エアコンの能力・年式などによって消費電力量は大きく変わります。「1度で10%・3度で30%」はあくまで公的試算や解説に基づく概算の目安であり、自宅の実際の電気代は検針票やWeb明細、電力会社アプリのkWh表示を確認する必要があります。

1kWh単価から見る暖房23度の目安料金

1kWh単価から見る暖房23度の目安料金

次に、1kWhあたりの電気料金単価から、暖房23度の電気代を自分でざっくり計算する方法を整理します。

家庭の電気料金は大きく分けて、

  • 基本料金(または最低料金)や契約アンペアに関わる料金
  • 電力量料金(使ったkWhに応じて段階的に課金される部分)
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金(いわゆる再エネ賦課金)
  • 燃料費調整額(燃料価格に応じて毎月変動)

といった要素で構成されています。

再エネ賦課金の単価は全国一律で年度ごとに設定され、近年は1kWhあたり3円台後半で推移しています。電力量料金そのものも電力会社や地域によって異なりますが、一般的な家庭向け料金プランでは、120kWh程度までの単価が30円前後(税込)という例が多くなっています。

家電の省エネラベルなどで使われる「電気料金目安単価」としては、全国家庭電気製品公正取引協議会が示す31円/kWh(2022年7月改定)がよく用いられます。この記事でも、この目安単価31円/kWhをベースに計算します。

たとえば、23度設定の暖房に1日あたり4kWh使っているとすると、

  • 1日の暖房電気代

4kWh × 31円 ≒ 124円

  • 30日間の暖房電気代

124円 × 30日 ≒ 3,720円

という計算になります。

同じ条件で、20度設定にして消費電力量が約3割減ると仮定すると、

  • 20度設定時の電力量の目安

4kWh ÷ 1.3 ≒ 3.1kWh

  • 20度設定の1日の暖房電気代

3.1kWh × 31円 ≒ 96円

  • 30日間の暖房電気代

約2,900円

となり、23度と20度の差は月あたり約800円前後というイメージになります。

ここで使った「4kWh/日」は一例にすぎません。実際の電力量は、エアコンの能力(畳数)、断熱性能、使用時間などによって大きく変わります。重要なのは、以下の2ステップです。

1. 検針票やWeb明細、アプリで「使用量(kWh)」と「電気料金(税込)」を確認し、

電気料金 ÷ 使用量 で自宅の1kWhあたり実質単価をざっくり把握する。

2. エアコンの暖房使用量(kWh)を、電力会社アプリの時間帯別グラフや家電の「期間消費電力量」を参考に見積もり、そのkWhに単価を掛ける。

これが分かると、「設定温度を1〜2度変えたら電気代がいくら変わりそうか」を自分の家の条件で計算できるようになります。

エアコン以外の暖房23度のコスト比較

エアコン以外の暖房23度のコスト比較

同じ「部屋を23度くらいに暖める」という目的でも、使う暖房器具によって電気代は大きく変わります。

一般的に、ヒートポンプ式のエアコンは消費電力に対する暖房能力が高く、同じ電気暖房の中では効率が良いとされています。一方、セラミックファンヒーターや電気ストーブは、消費電力が1,000W前後になる製品が多く、短時間で暖かさを得られる代わりに、長時間の連続使用では電気代がかさみやすい傾向があります。

イメージしやすいよう、目安単価31円/kWhを使って代表的な消費電力から1時間あたりの電気代を概算してみます。

暖房器具の例 消費電力の目安(例) 1時間あたりの電気代目安
エアコン暖房(6〜8畳程度) 約500W 約16円
セラミックファンヒーター 約1,000W 約31円
電気ストーブ 約800W 約25円
電気カーペット(2畳) 約400W 約12円
こたつ 約300W 約9円

消費電力はメーカー公表値や代表的な製品例をもとにした目安値であり、実際の運転時は温度制御やサーモスタットにより上下します。

部屋全体を23度にしたい場合、エアコンは効率が良い一方で、在宅時間が長い家庭ほど稼働時間が長くなり、トータルの電気代は大きくなります。逆に、家族がこたつの周りで過ごす時間が長い家庭では、

  • 部屋の設定温度は20〜21度
  • こたつや電気カーペットで足元を重点的に暖める

といった使い方にすると、部屋全体を23度に保つよりも消費電力量を抑えられるケースが多くなります。

一方、セラミックファンヒーターや電気ストーブは「つけた瞬間に暖かい」代わりに、1時間あたりの電気代がエアコンより高くなりがちなので、在宅直後の短時間だけ使う、タイマーや人感センサー付きの機種を選ぶなど、「つけっぱなしを防ぐ工夫」が重要です。

戸建て・マンション別の暖房23度の注意点

戸建て・マンション別の暖房23度の注意点

同じ23度設定でも、戸建てかマンションか、築年数が新しいか古いかによって必要な暖房エネルギーは大きく変わります。

一般的に、新しいマンションや高気密・高断熱仕様の戸建て住宅では、一度23度まで暖めてしまえばその温度を保ちやすく、エアコンの消費電力も少なくて済む傾向があります。逆に、築年数が古く窓からの熱損失が大きい住宅では、23度設定にしてもエアコンが頻繁に高出力で運転するため、電気代がかさみやすくなります。

暖房時の工夫としてよく挙げられるのが、次のような窓まわりの対策です。

  • 厚手で床まで届くカーテンの使用
  • 窓ガラスに断熱シートを貼る
  • 内窓(二重サッシ)を設置して窓の断熱性を高める
  • ドアや窓の開閉を減らし、すきま風を抑える

窓は室内の熱が逃げやすい代表的な部位であり、隙間風やガラスからの冷輻射によって体感温度も下がりやすくなります。逆に言えば、窓まわりをしっかり対策すると、室温を23度から21〜22度に下げても寒さを感じにくくなり、エアコンの消費電力を大きく抑えられます。

また、家庭のエネルギー統計では、暖房に使うエネルギー量は地域・住宅タイプで大きく異なり、寒冷地ほど暖房のエネルギー比率が高くなることが示されています。同じ地域・同じ電力会社でも、

  • アルミサッシ+単板ガラスか、樹脂サッシ+複層ガラスか
  • 1階か中高層階か
  • 北向きか南向きか

といった要素で必要な暖房エネルギーは大きく変わります。

戸建ては床面積が広く天井も高めなことが多いため、リビング全体を23度にしようとすると、同じ帖数のマンションより消費電力量が大きくなるケースが少なくありません。戸建ての場合は、

  • 暖房範囲を必要な空間だけに絞る(ドアを閉める、パーテーションで仕切る)
  • エアコンで部屋全体を20〜22度に保ち、こたつや電気カーペットで「人がいる場所」を重点的に暖める

といった使い方を組み合わせることで、23度相当の体感温度を維持しつつ、電気代を抑えやすくなります。

暖房23度でも電気代を抑える具体策

  • 暖房23度でも快適に過ごす工夫
  • 電気料金プランと暖房23度の相性
  • 省エネ性能の高いエアコン選び方
  • 窓・断熱対策で暖房23度を節約
  • 暖房23度と併用したい他暖房器具

暖房23度でも快適に過ごす工夫

暖房23度でも快適に過ごす工夫

「暖房23度にすると電気代が高くなるのは分かるが、20度では寒い」という声はとても多いです。そのような場合でも、体感温度を上げる工夫を取り入れることで、設定温度を22度や21度まで下げられる可能性があります。

省エネキャンペーンとして知られる「ウォームビズ」では、冬の暖房時の室温を20度(目安)で快適に過ごすライフスタイルが提案されています。これは健康を損なわない範囲での省エネ目安であり、高齢者や乳幼児、持病のある方がいる家庭で無理に20度にこだわる必要はありませんが、「服装や工夫次第で設定温度を下げても快適に過ごせる」という方向性を示すものです。

体感温度を上げるための代表的な工夫としては、次のようなものがあります。

  • 首・手首・足首を重点的に保温する(マフラー、ネックウォーマー、レッグウォーマーなど)
  • 吸湿発熱素材のインナー+カーディガンやフリースなど、室内でも重ね着を意識する
  • スリッパやルームシューズで足元の冷えを防ぐ
  • 加湿器などで湿度を40〜60%程度に保つ(乾燥していると体感温度が下がる)
  • サーキュレーターや扇風機で天井付近の暖かい空気を足元へ循環させる

サーキュレーターを使うと、天井付近にたまった暖気をかき混ぜて部屋全体を早く暖められ、暖房の設定温度を下げても快適に過ごせる効果が期待できます。

前述のように、公的な試算では暖房の設定温度を1度下げると消費電力が約10%減る目安が示されています。服装や湿度・空気循環の工夫で23度から22度、さらに21度まで下げても「思ったほど寒くない」と感じられれば、暖房にかかる電気代を1〜2割以上削減できる可能性があります。

電気料金プランと暖房23度の相性

電気料金プランと暖房23度の相性

暖房23度の電気代を考えるとき、設定温度と同じくらい重要なのが「どの電力会社・どの料金プランを使っているか」です。

日本では、従来の規制料金(従量電灯など)に加えて、電力自由化後のさまざまな自由料金プラン(スタンダードプラン、時間帯別料金プランなど)が提供されています。大手電力会社のスタンダードプランを例にすると、使用量に応じて3段階の電力量料金が設定され、使用量が多いほど単価が高くなる仕組みです。

一方、新電力会社や大手電力の一部プランでは、

  • 夜間の単価が安い時間帯別プラン
  • 一定使用量までは単価が安く、それを超えると単価が上がるプラン
  • 電気とガスをまとめると割引になるセットプラン

といった多様な料金体系が用意されています。

冬場に在宅時間が長く、日中も暖房23度でエアコンをよく使う家庭では、

  • 日中の単価が極端に高くないプラン
  • 上位の使用量帯(第3段階など)の単価が比較的低いプラン

がトータルで有利になることがあります。逆に、共働きで日中は不在、夜だけエアコンを使う家庭では、夜間の単価が特に安いプランの方が合う場合もあります。

ここ数年は、国の電気料金支援策の終了や縮小、再エネ賦課金単価の改定などにより、実質的な1kWhあたりの単価が毎年変化しています。暖房23度での電気代を試算する際には、必ず現在契約している電力会社の最新の料金表や、直近の明細に記載された「1kWhあたりの実質単価(電気料金÷使用量)」を確認することが重要です。

電気料金比較サイトを使えば、郵便番号と使用量を入力して「現在のプランより安くなる候補」を一覧で確認することもできますが、それらはあくまで目安です。最終的な料金や条件は必ず各電力会社の公式サイトや約款で確認し、解約金やポイント還元なども含めて総合的に判断しましょう。

省エネ性能の高いエアコン選び方

省エネ性能の高いエアコン選び方

同じ23度設定でも、エアコンの省エネ性能によって電気代は大きく変わります。省エネ性能の高い機種に買い替えることで、「設定温度は変えずに暖房の電気代だけを下げる」ことも十分に期待できます。

エアコンの省エネ性能を比較する際に重要になるのが、

  • 統一省エネラベル
  • 省エネ基準達成率
  • APF(通年エネルギー消費効率)
  • 期間消費電力量(暖房・冷房)

といった指標です。統一省エネラベルでは、星の数と評価点、省エネ基準達成率、APF、年間の目安電気料金などが一体的に表示され、星が多く省エネ基準達成率が高いほど省エネ性能に優れ、年間の電気代も安くなることが示されています。

APF(通年エネルギー消費効率)は、1年間に必要な冷暖房能力の総和を1年間の消費電力量で割った値で、この数値が大きいほど省エネ性能が高いエアコンとされます。省エネ性能カタログなどを見ると、同じ2.2kWクラスでもAPFや期間消費電力量が異なる機種が多数あり、年間の目安電気代が1万円以上違うケースもあります。

エアコン選びでチェックしたいポイントは次の通りです。

  • 部屋の広さ(畳数)に対して適切な能力(kW)か
  • 外気温が低い地域では、寒冷地仕様や低外気温時の暖房能力も確認する
  • 統一省エネラベルの星の数と省エネ基準達成率、APFの数値
  • カタログに記載された年間電気代の目安
  • 自動運転、人感センサー、スマホ連携など省エネに役立つ機能の有無

古い機種から新しい高効率機種に買い替えると、同じ23度設定でも期間消費電力量が2〜3割程度下がる例もあり、旧機種の20度設定と同等かそれ以下の電気代で23度を維持できるケースもあります。購入時は本体価格だけでなく、10年程度のランニングコストを合算して「トータルコスト」で比較してみると、省エネ機種のメリットが見えやすくなります。

窓・断熱対策で暖房23度を節約

窓・断熱対策で暖房23度を節約

暖房23度で電気代を抑えるうえで、最も効果が大きい対策の一つが「窓まわりと断熱」です。

省エネ情報では、暖房時の工夫として次のような対策が紹介されています。

  • 厚手のカーテンを使い、床まで届く長いものにする
  • 窓ガラスに断熱シートやプチプチシートを貼る
  • 内窓(二重サッシ)を設置して窓の断熱性を高める
  • 夜間は雨戸やシャッターを閉めて熱が逃げるのを防ぐ
  • サーキュレーターで暖気を部屋全体に循環させる

窓は室内の熱が逃げやすい代表的な部位であり、隙間風やガラスからの冷輻射によって体感温度も下がりやすくなります。逆に言えば、窓まわりをしっかり対策すると、室温を23度から21〜22度に下げても寒さを感じにくくなり、エアコンの消費電力を大きく抑えられます。

具体的な対策例と費用感の一例は次の通りです。

  • 既存のカーテンを、遮光・遮熱性能の高い厚手タイプへ買い替える(数千〜1万円台)
  • DIYタイプの窓用断熱シートを貼る(数千円程度)
  • 樹脂製の簡易内窓キットを自分で取り付ける(1窓あたり数千〜数万円)
  • リフォームとして本格的な二重サッシや高断熱窓に交換する(費用は大きいが補助金対象となる場合もある)

これらの対策は、暖房期だけでなく冷房期の省エネにも有効であるため、数年単位で見ると光熱費削減の効果は無視できません。家庭のエネルギー統計でも、暖房用エネルギーは家庭全体のエネルギー消費の2割前後を占めるとされており、寒冷地では3〜4割に達します。暖房に使うエネルギーそのものを減らせる断熱対策は、設定温度を下げる前提づくりとして非常に効果的です。

前述のように、暖房設定温度を1度下げると消費電力が約10%減る目安があります。窓や床の断熱・すきま風対策を行い、23度から21度まで無理なく下げられるようになれば、暖房消費電力を2割程度削減できる可能性があり、長期的には断熱投資の回収にもつながります。

暖房23度と併用したい他暖房器具

暖房23度と併用したい他暖房器具

最後に、「どうしても23度設定は譲れないが、電気代はできるだけ抑えたい」という場合に考えたいのが、他の暖房器具との賢い併用です。

エアコンは電気暖房の中では効率が良いとされていますが、部屋全体を23度に保つには時間も電力もそれなりに必要です。一方で、こたつや電気カーペットなどの「局所暖房」は、部屋全体の温度をそれほど上げなくても体感的な暖かさを得やすいのが特徴です。

前述の目安単価31円/kWhを使うと、

  • こたつ(300W)の1時間あたり電気代目安

0.3kWh × 31円 ≒ 9円

  • 電気カーペット(400W)の1時間あたり電気代目安

0.4kWh × 31円 ≒ 12円

となります。エアコン暖房(平均500W前後)と組み合わせて、

  • 在宅直後:エアコンを自動運転で稼働し、部屋全体を一気に暖める
  • 体が冷えきっているとき:こたつや電気カーペットで足元から先に暖める
  • 部屋が十分暖まったら:エアコンの設定温度を1〜2度下げ、こたつなどの局所暖房で快適さを補う

といった運用にすると、部屋全体を常に23度に維持するよりも、トータルの電気代を抑えながら快適さを維持しやすくなります。

一方、セラミックファンヒーターや電気ストーブは消費電力が1,000W前後になることが多く、1時間あたりの電気代は約30円前後とエアコンより高くなりがちです。「洗面所での着替え」や「起床直後の短時間」など、どうしてもすぐに暖かさが欲しい場面に限定し、タイマー機能や人感センサーを活用して「つけっぱなしにならない仕組み」を作ることが重要です。

また、安全面では、

  • 湿気の多い場所での電気ストーブ利用は避ける
  • こたつや電気カーペットはタコ足配線にせず、定格電流に余裕のあるコンセントを使う
  • 長期不在時は主電源を切る

といった基本も守りながら、エアコンと他暖房器具を上手に使い分けるのがおすすめです。

総括:暖房23度の電気代を理解して上手に付き合う

  • 日本の家庭では、年間エネルギー消費量のうち暖房が約2割、寒冷地では3〜4割を占め、冬の電気使用だけを見ると暖房が約3割程度を占めるとされています。
  • 家計調査に基づく統計では、2人以上世帯の平均電気代は月1万〜1万3千円前後であり、そのうち冬場の暖房分は数千円規模になるケースが多いと考えられます。
  • 公的な試算では、エアコン暖房の設定温度を1度下げると消費電力が約10%削減され、21度から20度に下げた場合、暖房シーズンで数十kWh・千円台半ばの節約になる例が示されています。
  • 20度を基準とすると、暖房23度は消費電力がおおよそ3割増しになるイメージであり、暖房シーズン全体では数千円、月あたりで見ると1,000円前後の差になる可能性があります(条件によって上下します)。
  • 1kWhあたりの実質単価は、再エネ賦課金や燃料費調整額を含めて30円前後になるケースが多く、公的な「電気料金目安単価」として31円/kWhが用いられています。
  • 1kWh単価を把握しておけば、自宅の検針票やアプリに表示される使用量(kWh)から、暖房23度の電気代を自分で概算できるようになります。
  • エアコンは電気暖房の中では効率が良い一方、部屋全体を23度に保つと使用時間が長くなり、トータルの電気代は大きくなりがちです。
  • こたつや電気カーペットなどの局所暖房を組み合わせると、部屋の設定温度を少し下げても体感温度を維持しやすくなり、電気代を抑える効果が期待できます。
  • マンションや高断熱住宅では、同じ23度設定でも戸建てや築古住宅より少ないエネルギーで室温を維持しやすく、暖房コストが抑えられる傾向があります。
  • 窓の断熱や厚手カーテン、内窓などの対策は、暖房23度でも電気代を抑えるための重要な投資であり、冷房期の省エネにもつながります。
  • 冬の室温は20度を目安とする省エネ指針がありますが、健康状態や家族構成に応じて無理をしないことが大切です。
  • 電気料金プランや再エネ賦課金単価、国の料金支援策は毎年のように見直されているため、暖房23度の電気代を考える際は、最新の料金表や明細を確認することが必須です。
  • 統一省エネラベルやAPFなどを活用して省エネ性能の高いエアコンを選ぶことは、暖房23度を維持しながら電気代だけを下げる有効な手段です。
  • サーキュレーターや加湿器、衣類の工夫によって、設定温度を1〜2度下げても快適さを保ちやすくなり、その分だけ暖房電力を大きく削減できる可能性があります。

「暖房23度 電気代」をきちんと理解し、自宅の条件(住宅の断熱性能、世帯人数、在宅時間、料金プランなど)に合わせて対策を組み合わせることが、無理のない省エネと快適な冬の両立につながります。

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