冬になると、「電気ストーブをどのくらい使っても大丈夫なのか」「電気代がどれくらい上がるのか」が気になりますよね。とくに一人暮らしや賃貸マンションでは、「電気ストーブ 電気代 1ヶ月」がどの程度になるのかを把握しておかないと、請求書を見て驚いてしまうこともあります。
この記事では、日本の一般家庭向け電気料金を前提に、電気ストーブの種類ごとの電気代の仕組みと1ヶ月あたりの目安金額、エアコンなど他の暖房器具との比較、さらに電気ストーブの電気代1ヶ月を抑える具体的な節約方法までを、順を追って解説します。読み終えるころには、ご自宅の使い方に合わせて「どのくらいなら使ってよいか」「どうすればムダな電気代を減らせるか」が、自分で判断できるようになるはずです。
- 目安単価31円/kWhを使えば電気ストーブの1ヶ月の電気代を自分で計算できる
- 種類と消費電力・使用時間によって電気ストーブの電気代は大きく変わる
- 部屋全体はエアコン、局所は電気ストーブという使い分けと出力・タイマー設定で節約できる
- 窓の断熱や床の保温、電力会社や料金プランの見直しで暖房全体の電気代をさらに下げられる
電気ストーブの電気代1ヶ月の目安
- 日本の電気料金と前提条件
- 電気ストーブの種類と特徴
- 種類別1ヶ月の電気代目安
- 一人暮らし平均との比較
- 電気代が高くなりやすい使い方
日本の電気料金と前提条件

この記事では、日本の一般家庭向け電気料金を前提に話を進めます。電気料金は地域や電力会社、料金プランによって異なりますが、家電カタログなどで広く使われている「電気料金の目安単価」は、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会(いわゆる「家電公取協」)が示している31円/kWh(税込)です。2022年7月に改定された値で、多くのメーカーや電力会社のシミュレーションで今も使われています。
1kWhとは「1kWの電力を1時間使ったときの電力量」のことです。家電ごとの電気代は次の式で計算できます。
電気代(円) = 消費電力(kW) × 使用時間(h) × 電力料金単価(円/kWh)
例えば、消費電力1000W(1kW)の電気ストーブを1時間使うと、
1kW × 1時間 × 31円 = 約31円
というイメージです。毎日3時間使えば1日約93円、30日間なら
31円 × 3時間 × 30日 = 約2,790円
となります。ここでの「毎日3時間」はあくまで一例なので、実際には自分の使用時間に置き換えて計算し直すことが大切です。
実際の電気料金は、一般的に次のような要素で構成されています。
- 基本料金(または最低料金)
- 電力量料金(使った分に応じて段階制になっている場合が多い)
- 燃料費調整額(燃料価格の変動を反映)
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金(いわゆる再エネ賦課金)
大手電力会社の、代表的な従量料金プランの電力量料金単価を比べると、0〜120kWhまでは30円前後、使用量が増えると36〜40円台/kWhといった水準にあるケースが多くなっています。
そのため、家電公取協の目安単価31円/kWhは「標準的な単価をざっくり把握するための平均的なイメージ」として使われています。
この記事では、この「31円/kWh」をベースに電気ストーブの電気代1ヶ月を試算します。ただし、実際の請求額はご家庭の料金単価や使用量で上下します。正確な金額を知りたい場合は、検針票や電力会社のマイページ・アプリで、自宅の1kWhあたり単価と使用量を必ず確認してください。
電気ストーブの種類と特徴

一口に電気ストーブといっても、消費電力や暖まり方の仕組みが異なるタイプがいくつかあります。代表的なものは次の通りです。
- ハロゲンヒーター
- カーボンヒーター
- シーズヒーター
- パネルヒーター
- セラミックファンヒーター
- オイルヒーター
カーボンヒーターは炭素繊維を発熱させるタイプで、遠赤外線で素早く体を暖めやすいのが特徴です。消費電力はおおよそ450〜900W程度で、1時間あたりの電気代は約14〜28円が目安とされています(電気料金単価31円/kWh想定)。
立ち上がりが早く、足元やデスクまわりなどのスポット暖房に向きますが、本体が高温になるため、転倒や子どもの接触には注意が必要です。
ハロゲンヒーターやシーズヒーターは、ハロゲンランプや金属発熱体を使うタイプで、消費電力は400〜1200W程度の製品が主流です。1時間あたりの電気代は約12〜37円。狭い範囲をピンポイントで強く暖めるのが得意な一方、最大出力で長時間使うと電気代は高くなりがちです。
パネルヒーターは前面のパネルから遠赤外線や輻射熱を出して周囲を暖めるタイプで、足元を囲う小型モデルから、部屋全体を補助的に暖める大型タイプまでさまざまです。消費電力は小型で400W前後、大型では1000〜1200W程度のものが多く、1時間あたりの電気代は約12〜37円が目安です。
セラミックファンヒーターは、セラミックを温めてファンで温風を吹き出すタイプです。550〜1200W程度の製品が多く、1時間あたりの電気代は約17〜37円。スイッチを入れるとすぐ温風が出る速暖性が魅力ですが、広い部屋全体を暖めるにはパワー不足なこともあります。
オイルヒーターは内部のオイルを温め、その熱をフィンと呼ばれる放熱板からじんわり放出する構造です。6〜8畳程度向けの家庭用モデルでは、消費電力は500〜1200W程度、1時間あたりの電気代は約16〜37円が目安です。
本体表面温度が比較的低く、音も静かで空気を汚しにくい反面、暖まるまでに時間がかかり、出力を上げたまま長時間使うと電気代は高めになりやすいという特徴があります。
このように、「電気ストーブ」と呼ばれる機器でも、種類や出力によって消費電力の幅が大きく異なります。電気代1ヶ月を考えるときは、「どのタイプを」「どの出力で」「何時間使うか」をそれぞれ切り分けて考えることが重要です。
種類別1ヶ月の電気代目安

では、具体的に電気ストーブの種類ごとに、電気代1ヶ月がおおよそどのくらいになりやすいのかを見ていきましょう。
電力料金目安単価31円/kWhを前提にした電力会社のシミュレーションでは、オイルヒーター・セラミックファンヒーター・パネルヒーターなどの代表的な機種について、最大出力で連続使用した場合の電気代が比較されています。
最大出力・連続運転時の1時間あたりの目安は、おおよそ次のイメージです。
- オイルヒーター(1500W):約46.5円/h
- セラミックファンヒーター(約1170W):約36円/h
- パネルヒーター(1000W):約31円/h
- ハロゲンヒーター・シーズヒーター(800W):約24.8円/h
- カーボンヒーター(600Wクラス):約18.6円/h
同じ条件で24時間つけっぱなしにすると、オイルヒーターの場合、
46.5円 × 24時間 = 約1,116円/日
1,116円 × 30日 = 約33,480円/月
という試算になります。実際にここまでつけっぱなしにするケースは少ないものの、「出力の高い電気ストーブを長時間つけっぱなしにすると、月3万円を超えるレベルまで電気代が膨らみ得る」という感覚は持っておきたいところです。
より現実的な条件として、「1日3時間だけ使う」場合を考えてみましょう。ハロゲンヒーター(800〜1200W)を1日3時間、30日使うと、1ヶ月の電気代は次のように計算できます。
- 800Wの場合:0.8kW × 3時間 × 31円 × 30日 ≒ 約2,232円
- 1200Wの場合:1.2kW × 3時間 × 31円 × 30日 ≒ 約3,348円
おおよそ「月2,200〜3,300円程度」という目安です。実際の比較記事でも、同程度のシミュレーション結果が紹介されています。
これらの例から分かる重要なポイントは次の2つです。
1つ目は、「1時間あたりの電気代は数十円でも、毎日数時間使うと1ヶ月では数千円〜数万円になる」ということ。時間の積み上げが効いてくるので、「1日あたり何時間か」を把握することが非常に大切です。
2つ目は、「同じ使い方をするなら、消費電力の小さいタイプ(カーボンヒーターなど)の方が1ヶ月の電気代を抑えやすい」ということです。ただし、暖められる範囲やスピードも変わるため、単純に「W数が小さい=常にお得」とは言い切れません。部屋の広さや使う時間も含めて考える必要があります。
一人暮らし平均との比較

次に、電気ストーブの電気代1ヶ月が、家庭全体の電気代の中でどの程度の位置づけになるのかを確認してみましょう。
総務省「家計調査」をもとにした最新のまとめによると、2024年の一人暮らし世帯の電気代平均は月約6,756円です。
複数の統計を見ても、一人暮らしの平均電気代はおおむね6,500〜7,000円前後で推移していることが分かります。
また、二人以上世帯も含めた全国平均の月間電気代は、2024年10月〜2025年9月の直近1年間では、約13,170円というデータが公表されています。
二人以上世帯に限った2024年の平均では、月約1万2,000円前後とする整理もあります。
ここで先ほどの電気ストーブのシミュレーションと重ねてみると、イメージしやすくなります。
- ハロゲンヒーターを1日3時間・30日使って月2,000〜3,000円程度の場合、一人暮らしの平均電気代(約6,700円)の3〜5割程度を「電気ストーブだけ」で占める可能性がある
- オイルヒーターを最大出力で長時間(1日10時間以上)使い続けるような極端なケースでは、電気ストーブ関連だけで1ヶ月2万円以上になり、平均的な一人暮らし世帯の電気代を単独で大きく上回ることもあり得る
もちろん、実際の家庭では電気ストーブ以外にも、照明・冷蔵庫・給湯設備・調理家電・パソコンなど様々な電気製品を使っています。そのため、「電気ストーブをどの程度使うか」で、電気代全体のバランスが大きく変わります。
とくに冬場は、暖房機器の使用時間が長くなりやすく、電気使用量の増加分のかなりの割合が「電気ストーブやエアコンなどの暖房」によるものになりがちです。裏を返せば、暖房の使い方を少し工夫するだけで、電気代1ヶ月の増加分をかなり抑えられる余地が大きい、ということでもあります。
電気代が高くなりやすい使い方

最後に、電気ストーブの電気代1ヶ月が想定より高くなってしまう典型的なパターンを整理しておきます。
1つ目は、「高出力でつけっぱなし」にしてしまうケースです。例えば、1000W以上の電気ストーブを常に「強」運転にして、部屋を留守にしている間や寝ている間もつけっぱなしにすると、1時間あたり30〜40円前後のコストが延々と積み上がっていきます。仮に1時間あたり35円として、1日8時間使えば
35円 × 8時間 × 30日 = 約8,400円
1日12時間なら約1万2,600円といった具合です。これは、前述の目安単価31円/kWhと消費電力から計算上導かれる値であり、決して珍しい水準ではありません。
2つ目は、「暖房の目的と合っていない使い方」です。電気ストーブは基本的に「スポット暖房」に向いた機器であり、足元・デスクまわり・脱衣所など、狭い範囲を集中的に暖める用途が得意です。部屋全体をエアコンの代わりに暖めようとして、高出力の電気ストーブを長時間使うと、暖房効率が悪く、電気代がかさみやすくなります。実際、電力会社の比較でも、「部屋全体の暖房はエアコンの方が効率が良いことが多い」と説明されています。
3つ目は、「断熱や保温の対策が不十分」な状態で電気ストーブを多用するケースです。窓からの冷気やすきま風が多い部屋では、せっかく暖めてもすぐ熱が逃げてしまい、「なんとなく寒いから」とつけている時間がどんどん伸びます。その結果、消費電力量が増え、電気代1ヶ月が想定以上に膨らみます。暖房全般について、断熱対策の有無で年間の電気代が数千〜1万円以上変わるという試算もあるほどです。
これらを避けるためには、「どの部屋を」「どのくらいの時間」「どの範囲だけ」暖めたいのかを意識しながら、暖房器具の種類や出力・使い方を選ぶことが重要です。
電気ストーブの電気代1ヶ月を抑える
- 暖房器具の上手な使い分け
- 設定や置き方でできる節約
- 電力会社と料金プランの見直し
- 断熱・保温で負担を減らす
- 電気ストーブ選びのチェックポイント
- 1ヶ月の電気代管理のコツ
- 総括:電気ストーブの電気代1ヶ月を賢くコントロールするために
暖房器具の上手な使い分け

電気ストーブの電気代1ヶ月を抑えるうえで大切なのが、「電気ストーブだけに頼り切らないこと」です。エアコン・こたつ・ホットカーペット・電気毛布など、他の暖房器具との組み合わせや役割分担を考えると、快適さを保ちつつトータルの電気代を下げやすくなります。
エアコン暖房の1時間あたりの電気代は、製品や条件により幅がありますが、目安単価31円/kWhを用いた試算では、約3〜46円程度というレンジが紹介されています。
一方、電気ストーブ(パネルヒーターなど)の1時間あたりの電気代は、消費電力400〜1200Wクラスで約12〜37円程度、カーボンヒーターなら約14〜28円程度という目安が示されています。
ただし、ここで重要なのは「用途の違い」です。
- エアコン:部屋全体を暖めるのが得意
- 電気ストーブ:足元や特定の人の周りなど、局所的な範囲を暖めるのが得意
同じ「部屋全体を暖める」目的であれば、近年の省エネエアコンは効率よく熱を作り出せるため、長時間運転すると電気ストーブよりも電気代が有利になるケースが多いとされています。
一方で、朝の支度中に洗面所だけを短時間暖めたい、デスクワーク中の足元だけ暖かくしたいといったケースでは、エアコンで部屋全体を暖めるよりも、電気ストーブのスポット暖房を使った方が総電力量を少なくできる場合があります。
実務的には、次のような使い分けがおすすめです。
- リビングなど「長時間いる部屋の全体」を暖める
- エアコンを主役にし、電気ストーブは補助的に短時間だけ併用する
- 洗面所やトイレなど「短時間しかいない場所」
- 小型のセラミックファンヒーターやパネルヒーターを必要な時間だけ使う
- 机作業など「一部だけ冷える」場面
- 足元用の小型カーボンヒーターやパネルヒーターでスポット的に補う
あらかじめ「どのシーンではどの暖房を主役にするか」を決めておくと、電気ストーブを何となく使い続けてしまうことを防ぎ、電気代1ヶ月をコントロールしやすくなります。
設定や置き方でできる節約

同じ電気ストーブでも、「設定」と「置き方」を工夫するだけで、電気代1ヶ月をかなり抑えられます。
まず意識したいのは、「常に最大出力で使わない」ことです。多くの家庭向け電気ストーブには、「弱/中/強」や「出力切り替え」の機能があり、消費電力を段階的に調整できます。例えば、900Wと450Wを切り替えられるカーボンヒーターでは、目安単価31円/kWhで計算すると、1時間あたりの電気代は次の通りです。
- 900W:0.9kW × 31円 ≒ 27.9円/h
- 450W:0.45kW × 31円 ≒ 14.0円/h
「強」と「弱」でほぼ2倍違うことが分かります。最初の10〜15分だけ「強」で一気に暖め、あとは「中」や「弱」に落として維持するようにすると、体感温度を大きく落とさずに電気代だけを抑えやすくなります。
次に重要なのが「置き場所」です。多くの電気ストーブは前面方向に熱が出るタイプなので、
- 暖めたい人やスペースに対して正面から当てる
- できるだけ距離を近づける(安全距離は守る)
といった工夫をすると、出力を一段階落としても暖かく感じやすくなります。逆に、窓際の冷気が強い場所に背を向けて設置すると、熱が逃げやすく、つい出力や使用時間を増やしてしまいがちです。
さらに、タイマー機能やサーモスタット機能も活用しましょう。
- タイマー:就寝前や外出前に「1時間で自動オフ」などを設定しておけば、つけっぱなしを防止できる
- サーモスタット:設定温度に達すると自動的に出力を絞ったりオンオフを切り替えたりするので、こまめな操作が苦手な方でもムダな電力を抑えやすい
時間あたりの電気代が数十円の機器ほど、「うっかり1〜2時間余分につけたまま」が積み重なると、1ヶ月で数百〜数千円単位の差になります。機能は一度設定してしまえばあとは自動なので、最初に少しだけ時間をかけて設定しておくと、シーズンを通して大きな節約効果が期待できます。
電力会社と料金プランの見直し

電気ストーブの電気代1ヶ月を抑えるには、「どれだけ使うか」だけでなく、「どの単価で使うか」を見直すことも有効です。
電力自由化により、日本には多くの小売電気事業者があり、さまざまな料金メニューが提供されています。経済産業省(資源エネルギー庁)の資料でも、家庭向け電気料金は「基本料金+電力量料金+燃料費調整額+再エネ賦課金」といった構成になっていることが紹介されており、電力量料金についても時間帯別・季節別の単価設定など、多様なメニューがあることが示されています。
また、大手電力会社や新電力の代表的な家庭向けプランを比較すると、電力量料金単価は、最初の段階で約30円/kWh前後、121〜300kWhで36円前後、301kWh以上では40円台といった水準の例が見られます。
冬場に電気ストーブやエアコンを多用すると、使用量が増えてこの「第3段階」の高い単価ゾーンまで到達しやすくなります。そのため、次のような観点で料金プランや電力会社の見直しを検討する価値があります。
- もともと使用量が多く、第3段階に入りやすい家庭
- 使用量が増えても単価の上昇が小さいプランや、定額に近いプランを検討する
- 夜間に暖房を多用する家庭
- 夜間の単価が安い時間帯別料金プラン(いわゆる「時間帯別契約」)をチェックする
- ガス・インターネットなどとまとめて契約している家庭
- セット割引やポイント還元を含めた「実質負担額」で比較する
ただし、乗り換えやプラン変更には、契約期間・解約手数料・ポイント還元条件などの注意点がある場合もあります。具体的に検討する際は、必ず各社の公式サイトや約款で最新の条件を確認したうえで判断してください。
断熱・保温で負担を減らす

電気ストーブの電気代1ヶ月を本気で抑えたいなら、「部屋そのものの断熱・保温対策」は外せません。これは、電気ストーブに限らずエアコンや床暖房など、あらゆる暖房の電気代に効いてくる「土台」の部分です。
代表的な対策としては、次のようなものがあります。
- 窓まわり
- 厚手カーテン・断熱カーテンを使う
- 窓に断熱シートやプチプチシートを貼る
- サッシのすきまにすきまテープを貼る
- 床まわり
- ラグ・カーペット・ジョイントマットなどを敷いて、足元の冷えを和らげる
- ドア・玄関
- すきま風が入るところにドラフト防止テープやカーテンを追加する
こうした対策を行うと、同じ暖房設定でも「部屋が暖まりやすく冷めにくい」状態になり、結果的に
- 暖房をつけている時間を短くできる
- 出力を一段階下げても寒さを感じにくい
といった効果が期待できます。これは、電気代の計算式でいうと「使用時間を減らす」「必要な消費電力を下げる」ことに直結します。
賃貸住宅などで大がかりな工事が難しい場合でも、窓と床の対策だけで体感温度が1〜2℃変わるケースは珍しくありません。電気ストーブを買い足す前に、数千円程度の断熱グッズに投資した方が、トータルのコストパフォーマンスが良くなることも多いです。
電気ストーブ選びのチェックポイント

新しく電気ストーブを購入・買い替えする場合、「本体価格の安さ」だけで選んでしまうと、あとから電気代1ヶ月の負担が想像以上に重くなることがあります。購入前に確認しておきたい主なポイントを整理します。
1つ目は「消費電力(W)」と「出力切り替えの有無」です。カタログや仕様表には、「600W」「900W」「1200W」といった表示があります。目安単価31円/kWhを当てはめると、1時間あたりの電気代は次のようにざっくり計算できます。
- 600W:0.6kW × 31円 ≒ 約18.6円/h
- 900W:0.9kW × 31円 ≒ 約27.9円/h
- 1200W:1.2kW × 31円 ≒ 約37.2円/h
つまり、「同じ時間使うなら、W数が2倍になると電気代もほぼ2倍」だと覚えておくと、店頭でランニングコストの違いをイメージしやすくなります。
2つ目は、「用途に合ったタイプを選ぶ」ことです。
- 足元だけ暖めたい
- 小型カーボンヒーター・小型パネルヒーターなど、狭い範囲を集中的に暖められるもの
- 部屋全体を暖めたい
- 電気ストーブ単体ではなく、省エネエアコンなどとの併用を基本に考える
- 就寝時や長時間使う部屋で使いたい
- 火傷や転倒リスクが比較的小さいタイプ(オイルヒーター・低温タイプのパネルヒーターなど)も候補に
電気ストーブだけで部屋全体を暖めようとすると電気代がかさみがちなため、「どこをどのくらい暖めたいのか」をはっきりさせてから機種を選ぶと失敗しにくくなります。
3つ目は、「暖房全体での省エネ性」も一緒に見ることです。エアコンや冷蔵庫などの家電には、統一省エネラベルが付いており、省エネ性能を星の数や数値で示し、年間の目安電気料金も表示されています。
電気ストーブそのものはラベルの対象外であることも多いですが、エアコンを買い替えるタイミングで、省エネ性能の高い(星の数が多い)機種を選んでおけば、「部屋全体の暖房は高効率なエアコン」「局所暖房は小型ストーブ」という組み合わせで、冬の電気代を下げる効果が期待できます。
最後に、安全機能も見逃せません。転倒時自動オフ・切り忘れ防止タイマー・チャイルドロックなどが付いた製品であれば、事故防止だけでなく、ムダなつけっぱなしを防ぐうえでも役立ちます。「少ない電力で、必要な場所だけを、必要な時間だけ暖められる」電気ストーブを選ぶことが、電気代1ヶ月を抑える最短ルートと言えます。
1ヶ月の電気代管理のコツ

電気ストーブの電気代1ヶ月を「賢く管理」するための、実務的なコツも押さえておきましょう。
おすすめなのは、「ざっくり家計簿」をつける感覚で、暖房シーズンの初めに一度だけ、自分の使い方での月額目安を計算しておくことです。例えば、900Wの電気ストーブを平均2時間/日使うなら、1ヶ月の電気代は次のように求められます。
- 0.9kW × 31円 × 2時間 × 30日
= 0.9 × 31 × 60
= 0.9 × 1,860
= 約1,674円/月
このように「このくらいの使い方なら月1,700円前後」という自分なりの基準を持っておくと、請求書を見て慌てることが減ります。
最近は、多くの電力会社が公式アプリやウェブサイトで、前月比・前年同月比の電気使用量・電気代をグラフで確認できるサービスを提供しています。ここで、
- 電気ストーブの使い方を変えた月
- 暖房の種類を切り替えた月(エアコン中心にした、こたつを導入した など)
の電気代がどう変化したかを確認すると、「どの工夫がどれくらい効いたか」を数字で把握しやすくなります。
また、「今シーズンの目標電気代」をざっくり決めておき、途中で「今月は少し上振れしそうだ」と感じたら、
- 出力を一段階下げる
- 使用時間を1日あたり30分〜1時間減らす
- エアコンやこたつとの組み合わせ方を見直す
といった調整を、月の途中で入れていくと、シーズンを通した電気代をコントロールしやすくなります。
大事なのは、「なんとなく使う」のではなく、「ざっくりでも使い方と金額のイメージを結びつけておく」ことです。そうすることで、電気ストーブの暖かさを必要以上に我慢せず、家計への負担も抑えたバランスの良い使い方がしやすくなります。
総括:電気ストーブの電気代1ヶ月を賢くコントロールするために
- 日本の一般家庭向け電気料金では、家電公取協が示す目安単価31円/kWh(2022年7月改定)が、電気代を試算する基準として広く使われている
- 電気ストーブの電気代は、「消費電力(kW)×使用時間(h)×電力料金単価(円/kWh)」の掛け算で決まり、W数と時間の増減がそのまま金額に反映される
- 電気ストーブにはハロゲン・カーボン・パネル・セラミックファンヒーター・オイルヒーターなど複数の種類があり、1時間あたりの電気代の傾向もそれぞれ異なる
- 高出力の電気ストーブを長時間つけっぱなしにすると、オイルヒーターなどでは月3万円規模の電気代になる場合もあり、使用時間の管理が重要になる
- 一人暮らしの平均的な電気代(月約6,700円前後)と比べても、電気ストーブの使い方次第で、電気代全体に占める暖房の割合は大きく変わる
- 部屋全体の暖房には省エネエアコンを主役にし、電気ストーブは洗面所や足元などのスポット暖房として活用するのが、快適さと電気代のバランスが取りやすい
- 出力切り替えやサーモスタット機能を活用し、「最初だけ強・その後は弱〜中」にすることで、体感温度を保ちながら電気代を抑えられる
- タイマー機能を使って切り忘れや寝落ちによるつけっぱなしを防げば、ムダな電気代と安全面のリスクを同時に減らせる
- 電力会社や料金プランを見直せば、同じ使用量でも高い段階単価の影響を抑えたり、時間帯別料金やセット割・ポイント還元で実質単価を下げられる可能性がある
- 窓の断熱・床の保温など住まい側の対策は、暖房効率を底上げし、電気ストーブやエアコンに頼る時間や出力を減らすうえで非常に効果的である
- 電気ストーブ購入時は、消費電力と出力切り替えの有無、安全機能、用途との相性を確認し、「必要な場所だけを効率よく暖められる」タイプを選ぶことが重要
- 暖房全体を見直す際には、統一省エネラベルでエアコンなどの省エネ性能と年間目安電気料金を確認し、省エネ性能の高い機種を軸に組み合わせを考えるとよい
- シーズン前に自分の使い方での電気ストーブの電気代1ヶ月を簡単に試算しておくと、家計管理と節約の目標設定がしやすくなる
- 電力会社のアプリやウェブサービスで使用量の推移をチェックすれば、「どの工夫がどれだけ効いたか」を数字で確認でき、次のシーズンに活かしやすい
- 電気ストーブの電気代1ヶ月は、種類の選び方・使い分け・時間と出力の管理・住まいの断熱といった工夫しだいで大きく変わるため、数字を意識して上手に付き合うことが何より重要である
これらを踏まえて、「どの暖房をいつ・どこで・どのくらい使うか」を一段階具体的にイメージしておけば、冬の電気ストーブとも賢く付き合えるはずです。
