北海道でオール電化住宅に住んでいると、冬になるたびに電気代の請求書を見るのが怖い、という声は少なくありません。資源エネルギー庁が紹介している寒冷地のオール電化住宅の事例でも、冬の月間使用量が3,000〜5,000kWhに達し、ひと月の電気代が10万円を超えたケースが報告されています。こうしたケースでは、暖房と給湯だけで使用量の9割近くを占めています。
本記事では、北海道の一般家庭(戸建て・マンション問わず)でオール電化を利用している、または検討している方向けに、
- 北海道特有の電気使用量の特徴
- オール電化住宅の設備と電気代の関係
- 北海道電力のオール電化向け料金プランの仕組み
- 暖房・給湯の見直し、断熱改修、太陽光発電・蓄電池と補助金活用まで含めた電気代対策
を、2025年時点の情報に基づいて解説します。
対象は北海道電力エリアの一般家庭用電気契約です。他地域とは単価や制度が異なる場合があり、記事中の数値は北海道エリアの家庭用を基本としています。全国平均や本州との比較はあくまで目安としてとらえてください。料金単価や補助金制度は今後も改定される可能性があるため、最終的には必ず最新の公式情報を確認してください。
北海道のオール電化住宅の電気代の実態
- 北海道の冬と電気使用量の特徴
- オール電化住宅の設備と電気代
- 北海道オール電化の電気代相場
- 北海道電力のオール電化向け料金プラン
北海道の冬と電気使用量の特徴

まず押さえておきたいのは、「北海道では、気候条件からどうしても電気使用量が多くなりやすい」という前提です。
環境省が公表している家庭部門のエネルギー消費統計では、日本の一般家庭の年間電気使用量は全国平均で約3,950kWh、年間電気代は約13.2万円が一つの目安とされています(2019年度データ)。この数値はガスや灯油を併用している一般的な家庭も含めた平均値です。
一方、北海道は真冬の平均気温が氷点下になる地域が多く、札幌などでは11月頃から翌年3月まで、約5カ月間にわたって暖房が欠かせません。地域の電気料金調査記事では、北海道電力管内では冬季の電力消費量が夏に比べて約1.5倍に増えるというデータも紹介されています。冬の2月の電気料金が札幌の標準的な4人世帯で2万5千円前後、本州の同規模世帯の約1.8倍になるという試算もあります。
さらに、オール電化住宅では「暖房」「給湯」「調理」をすべて電気でまかなうため、同じ住宅条件であればガス・灯油併用の家庭よりも電気の使用量そのものは増えやすくなります。ただし、ガスや灯油の料金がかからないため、「光熱費トータル」で見ると、運用次第では大きな差にならないケースもあります。
また、電気料金については、燃料費の高騰などを背景に単価水準が高止まりしており、ここ数年は政府の「電気・ガス料金負担軽減支援事業」による一時的な値引きも行われてきました。2023〜2025年にかけて段階的な支援と延長が実施され、2025年は1〜3月使用分の冬季支援と、7〜9月使用分の夏季支援が行われましたが、2025年9月使用分を最後に、国の一律の電気・ガス料金支援は終了しています。支援終了後は、その分だけ請求単価が実質的に上がった形になるため、「これまでと同じ使い方」を続けると、冬の電気代がさらに増えるリスクがあります。
このように、北海道のオール電化住宅は「気候による使用量の多さ」と「電気料金の高止まり・支援終了」が重なりやすい状況にあります。だからこそ、電気代の仕組みや料金プラン、設備選びを理解しておくことが、家計を守るうえで非常に重要です。
オール電化住宅の設備と電気代

オール電化住宅といっても、導入している設備によって電気代は大きく変わります。資源エネルギー庁が紹介する寒冷地のオール電化住宅の事例では、冬の月間使用量が3,000〜5,000kWhに達し、電気代が10万円を超えたケースもあります。こうした高額請求の背景を見ると、使用電力量の内訳がおおよそ次のようになっていました。
- 約7割:蓄熱暖房機(夜間に蓄熱して日中に放熱する暖房設備)
- 約2割:電気温水器(ヒーター式の給湯機)
どちらも1990年代〜2000年代初めにオール電化普及とともに広く採用された機器で、電気ヒーターで直接熱をつくる「抵抗加熱式」です。このタイプは構造がシンプルな反面、投入した電気エネルギーがそのまま熱になるだけで、効率は高くありません。その結果、暖房と給湯だけで全使用量の9割近くを占め、やや極端なケースではありますが、ひと月10万円級の電気代につながっています。
一方、2000年代以降に普及した「ヒートポンプ機器」(エコキュート、暖房用エアコン、ヒートポンプ暖房システムなど)は、空気中の熱をくみ上げて利用する仕組みで、1の電気エネルギーから2〜3以上の熱エネルギーを得られるのが特徴です。資源エネルギー庁が紹介する試算では、東京電力エナジーパートナーのデータに基づき、
- 電気温水器からヒートポンプ給湯器(エコキュート)に替えると、給湯の電気料金を約75%削減できる
- 蓄熱式床暖房から暖房用エアコンに替えると、暖房の電気料金を約72%削減できる
といった結果が示されています。もちろん、具体的な削減率は住宅の断熱性能や使い方によって変わりますが、「旧式ヒーター式」と「最新のヒートポンプ式」では、同じ熱量をつくるための電力量に2倍以上の差が出ることがある、というイメージを持っておくとよいでしょう。
つまり、同じ「オール電化住宅」でも、
- 旧式の電気温水器+蓄熱暖房機中心の構成なのか
- エコキュート+寒冷地向けエアコン中心の構成なのか
によって、冬の使用電力量も電気代も大きく変わります。北海道でオール電化の電気代が高いと感じている場合は、まず自宅の給湯・暖房設備がどのタイプなのかを確認し、「古い機器が電気代を押し上げていないか」をチェックすることが重要です。
あわせて、30年以上前から使用している電気ボイラーや蓄熱暖房機などは、機器そのものの寿命・安全性の面からも更新を検討すべき時期に来ていることが多いため、「電気代削減+設備更新」をセットで考えるのがおすすめです。
北海道オール電化の電気代相場

では、北海道のオール電化住宅の電気代はどのくらいが「よくある水準」なのでしょうか。これは、住宅の断熱性能や延床面積、設備の種類、家族構成、在宅時間などによって大きく変わるため、一概には言えませんが、いくつかの目安はあります。
北海道の電気料金や暖房費を扱う地域メディアの調査や家計例では、北海道電力エリアの一般家庭(4人世帯)の冬季(12〜2月)の電気代は、オール電化に限らず月2万円〜2万5千円程度になるケースが紹介されています。同じ条件で本州の家庭では1万2千円〜1万5千円程度とされており、その差は月8千円〜1万円前後という分析です。札幌の一般家庭では、真冬の2月に電気料金が2万5千円を超えることも珍しくなく、本州の同程度の家庭の約1.5〜2倍になっているというデータもあります。
一方、環境省の全国平均の年間電気代(約13.2万円)を12で割ると、月あたりの平均はおおよそ1万1千円程度です。この平均値と比べると、北海道の冬の電気代が2倍前後になっていても不思議ではありません。
オール電化住宅に絞ると、
- 断熱性が低く、旧式の電気温水器や蓄熱暖房機を使っている
- 在宅時間が長く、24時間暖房に近い運用をしている
- 暖房の設定温度が高めで、複数の部屋を常時暖めている
といった条件が重なる場合、冬のピーク月で4〜5万円、場合によってはそれ以上になることもあります。逆に、断熱性能が高く、エコキュートや寒冷地向けエアコン中心のオール電化で、時間帯別料金を上手に活用している家庭では、冬のピーク月でも2万円台前半〜中盤に収まる事例もあります。
このように、北海道のオール電化住宅の電気代は「非常に幅が広い」のが現実です。自分の家庭がどのゾーンに位置しているかを把握するためには、少なくとも次の3点をセットでチェックしましょう。
- 月間使用量(kWh)
- 契約メニューと単価(基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金)
- 給湯・暖房設備の種類(旧式か省エネ型か)
これらを把握したうえで、全国平均や本州の相場、あるいは北海道内の平均例と比較してみると、自宅の電気代が「妥当な範囲」なのか、「改善余地が大きい」のかを客観的に判断しやすくなります。
北海道電力のオール電化向け料金プラン

北海道電力(ほくでん)には、オール電化住宅とも相性が良い時間帯別料金プランがいくつか用意されています。代表的なのが「エネとくスマートプラン」と、従来からある「時間帯別電灯(ドリーム8)」などのメニューです。
エネとくスマートプランは、時間帯別の単価が設定された家庭向けプランで、北海道電力の資料では、「オール電化住宅にも適したメニュー」として案内されています。2025年10月1日実施単価では、従量料金部分についておおよそ次のような水準が示されています(いずれも税込、燃料費調整額・再エネ賦課金は別途加算)。
- 基本料金:1kWあたり約486円/月
- 日中時間(おおむね8〜22時頃)の電力量料金:1kWhあたり約38円台前半
- 夜間・日祝時間(それ以外の時間帯)の電力量料金:1kWhあたり約29円台前半
日中に比べて夜間・日祝時間の単価がかなり安く設定されているため、
- エコキュートで夜間にまとめてお湯を沸き上げる
- 洗濯乾燥機・食器洗い乾燥機などをできるだけ夜間に運転する
といった「時間帯シフト」ができる家庭ほど有利になりやすいプランです。
時間帯別電灯(ドリーム8)は、従来からある時間帯別料金メニューで、現在は新規受付を終了しているものの、既契約の家庭では継続利用されています。2025年10月1日実施単価では、主な条件はおおむね次のとおりです。
- 基本料金:6kVAまで約1,971円/月、10kVAまで約3,212円/月
- 昼間時間の電力量単価:使用量に応じて約38〜51円/kWh
- 夜間時間の電力量単価:約26円/kWh
昼間の単価が使用量に応じて段階的に高くなる一方で、夜間の単価は昼間の約半分程度とかなり割安です。そのため、
- 夜間に蓄熱暖房機や電気温水器を集中的に運転する構成
- 昼間は放熱やタンクの熱で過ごす時間が長いライフスタイル
とは相性が良い一方で、
- 在宅時間が長く、日中も電気を多く使う
- 夜間に動かす機器が旧式で効率が悪い
といった場合には、かえって電気代が高くなることもあります。
また、北海道内では新電力各社も、オール電化対応の料金プランや、北海道電力より安くなる可能性のあるメニューを提供しています。ただし、オール電化住宅で契約できるかどうか、夜間単価の水準、燃料費調整の考え方、最低利用期間などは会社によって異なります。
料金プランを比較する際は、次の点を必ず確認しましょう。
- オール電化住宅でも契約できるか(深夜電力利用機器がある場合は特に注意)
- 夜間や休日の単価がどの程度安いか
- 基本料金と電力量料金のバランス
- 燃料費調整額・再エネ賦課金の扱い(電気料金比較サイトの試算はここを省略していることもある)
そして、最終的には「現在の検針票の実績値」を元に、電力会社や比較サイトのシミュレーションで数字を比較することが重要です。
北海道のオール電化住宅で電気代を抑える具体策
- 暖房と給湯の使い方を見直す
- 時間帯別料金を活用した節約術
- 断熱・気密とリフォームのポイント
- 太陽光・蓄電池と補助金の活用
暖房と給湯の使い方を見直す

北海道のオール電化住宅で、電気代に最も大きく影響するのは「暖房」と「給湯」です。資源エネルギー庁が紹介する高額電気代の事例でも、暖房と給湯で全使用量の9割近くを占めていました。まずは、次の3点を確認しましょう。
1. 給湯機器はヒーター式の電気温水器か、ヒートポンプ式のエコキュートか
2. 暖房は蓄熱暖房機・パネルヒーター・電気ボイラー中心か、エアコンやヒートポンプ暖房中心か
3. 設定温度・運転時間・タイマー設定は適切か
旧式の電気温水器は、ヒーターでお湯を沸かすため効率が低く、エコキュートに比べて約3〜4倍の電気を使うとされています。蓄熱暖房機や電気ボイラーも、電気を直接熱に変えるため、ヒートポンプ暖房エアコンに比べると消費電力量が増えやすくなります。
そのため、次のような「エコ替え」は、初期費用はかかるものの、長期的には電気代の大幅削減につながりやすい対策です。
- 給湯を電気温水器からエコキュートへ切り替える
- 暖房を蓄熱暖房機や電気ボイラーから、寒冷地用エアコンやヒートポンプ暖房システムへ切り替える
住宅設備メーカーや電力会社、リース会社の試算では、エコキュートや暖房用エアコンへの切り替えにより、年間の給湯費・暖房費を半分以下に抑えられた例も紹介されています。ローンやリースを利用し、月々の支払いを光熱費削減分の範囲に収める形で導入している家庭もあります。
設備をすぐに入れ替えられない場合でも、使い方の見直しでできることは多くあります。
- 給湯温度を必要以上に高くしない(42℃設定を40℃にするだけでも負担が軽くなる)
- 追い焚き回数を減らし、できるだけ「高断熱浴槽+短時間の保温」で対応する
- 暖房の設定温度を1℃下げ、衣類やひざ掛け、断熱カーテン・カーペットで体感温度を上げる
- 家族が長く過ごすリビングなどを重点的に暖め、普段使わない部屋は設定温度を下げる
こうした基本的な工夫でも、積み重ねると年間の使用量を数%〜1割程度減らせることがあります。
なお、高断熱・高気密住宅では、暖房をこまめにオン・オフするよりも、適切な温度で連続運転した方が効率的になる場合があります。一方、断熱性能が低い住宅では、在室時だけ暖房を使う方が有利なこともあります。高気密住宅やZEH対応住宅を扱う工務店の解説でも、「エアコンのつけっぱなし運転とこまめなオン・オフのどちらが得かは、断熱性能や外気温、外出時間によって異なる」とされています。
自宅の断熱性能や設備構成を踏まえた最適な運転方法は、設計者や設備業者に相談して確認しておくと安心です。
時間帯別料金を活用した節約術
エネとくスマートプランやドリーム8など、時間帯別料金プランを契約している場合、仕組みを理解しているかどうかで、年間の電気代は大きく変わります。
先ほど見たとおり、時間帯別プランでは、一般に「夜間」の単価が「昼間」より大幅に安く設定されています。ドリーム8の2025年10月時点の単価では、夜間時間の電力量単価が約26円/kWh前後であるのに対し、昼間時間は使用量に応じて約38〜51円/kWh程度です。エネとくスマートプランでも、夜間・日祝時間が日中より9円前後安くなっています。
この差を最大限生かすための基本方針は、次の3つです。
- 給湯・暖房など大きな電力を使う機器は、できるだけ夜間に集中させる
- 洗濯乾燥機や食器洗い乾燥機など、タイマーが使える家電は夜間〜早朝に運転する
- 昼間の使用量を抑え、夜間の使用割合を増やす
具体的な工夫の例としては、
- エコキュートの沸き上げ時間を夜間中心に設定し、昼間の自動沸き上げを最小限にする
- 洗濯機や食洗機の「予約運転」機能を使い、就寝前にセットして夜間に運転させる
- 蓄熱暖房機を使っている場合、夜間に多めに蓄熱し、日中は放熱運転で室温を維持する
などが挙げられます。
一方で、生活スタイルと料金プランが合っていないと、時間帯別料金のメリットを十分に生かせません。電気料金比較サイトや電力会社の解説では、次のような傾向が指摘されています。
- 共働きで日中ほとんど家にいない家庭:夜間に給湯・暖房・家事を集中しやすく、時間帯別料金が有利になりやすい
- 在宅時間が長く、日中も暖房や家電を多用する家庭:昼間の単価が高い時間帯別プランより、シンプルな従量電灯型や別のオール電化プランの方が有利な場合がある
自宅にとって時間帯別料金が適しているかどうかを判断するには、次のような手順がおすすめです。
1. 直近1年分の検針票(使用量と請求額)が分かる資料を用意する
2. 現在のプラン名・契約容量(またはkVA/kW)・時間帯区分を確認する
3. 電力会社や電気料金比較サイトのシミュレーションで、他のプラン(オール電化対応の新電力を含む)と比較する
4. 昼間と夜間の使用割合(kWhベース)をざっくり算出し、時間帯別料金を活かせているかをチェックする
「夜間が安いプランにすれば必ず得」というわけではありません。日々の使い方を変えるのが難しければ、あえてシンプルなプランに戻した方が分かりやすく、結果的に安くなるケースもあるため、「契約メニュー+ライフスタイル+設備構成」のセットで最適化を考えることが重要です。
断熱・気密とリフォームのポイント

どれだけ省エネ性能の高い機器を導入しても、住宅そのものの断熱・気密性能が低ければ、せっかくつくった熱が外に逃げてしまい、暖房費削減の効果は限定的になります。北海道の住宅は全国的に見ても断熱性能が高いと言われますが、築年数の古い住宅の中には、現在の基準から見ると十分とは言えないものも少なくありません。
北海道の工務店や専門サイトの解説では、次のような対策が冬の光熱費削減に直結するポイントとして挙げられています。
- 断熱と気密の強化で熱のロスを減らす
- 窓の断熱性能を高める(内窓設置・複層ガラス・樹脂サッシなど)
- 天井・屋根や床の断熱補強で上下方向の熱損失を抑える
札幌市の工務店がまとめた断熱リフォームの目安では、次のような費用対効果の例が紹介されています。
- 窓の断熱改修(内窓設置・交換):1部屋あたり約10万〜40万円、年間1〜2万円程度の光熱費削減
- 床下断熱(断熱材追加):約20万〜50万円、年間1〜2万円程度の削減
- 天井・屋根断熱:約30万〜80万円、年間2〜3万円程度の削減
初期費用は決して小さくありませんが、暖房依存度の高い北海道では「断熱リフォームは長期的に見て元が取りやすい投資」とする専門家も多く、断熱等級6程度の性能であれば、光熱費削減分で後々お得になるという試算も紹介されています。
断熱改修を検討する際のポイントとしては、次のようなステップがおすすめです。
1. 省エネ診断や断熱性能の簡易診断を受け、現在の断熱性能(断熱等級やUA値の目安)を把握する
2. 窓まわりなど「費用対効果が高い部分」から優先的に改修する
3. 可能であれば天井・床・外壁なども含めた包括的な断熱計画を検討する
4. 断熱性能に見合った暖房設備(全館空調・パネルヒーター・エアコンなど)を選定する
また、断熱リフォームや窓改修には、国や自治体の補助金が用意されている場合があります。環境省や国土交通省が実施する住宅の断熱リフォーム支援事業、住宅省エネキャンペーン(2024・2025など)、北海道や札幌市などの独自制度では、工事費の3分の1〜2分の1程度が助成されるケースもあります。
補助金は年度ごとに内容や募集期間が変わり、予算上限に達すると早期に受付終了になることも多いため、
- 北海道庁や各市町村の公式サイト
- 施工会社や窓リフォーム専門店が発信する最新情報
を確認しながら、着工前に必ず申請スケジュールと要件をチェックしておきましょう。
太陽光・蓄電池と補助金の活用

最後に、中長期的な電気代対策として、太陽光発電や蓄電池の導入も検討の価値があります。雪国の北海道では「冬は雪でパネルが埋もれてしまい発電しないのでは?」という不安もありますが、道内での施工実績を持つ事業者の分析では、次のようなポイントが指摘されています。
- 冬季は確かに発電量が少なくなるが、春〜秋は比較的安定して発電し、年間を通じてみると一定の発電量が見込める
- パネルの設置角度を大きめにしたり、片流れ屋根の上部に設置したりすることで、雪が滑り落ちやすくなる
- オール電化と組み合わせることで、日中の自家消費分を太陽光でまかない、夜間は時間帯別料金の安い電力を使う運用がしやすい
太陽光発電だけでは夜間の電力はまかなえないため、停電時の備えやさらなる電気代削減を重視する場合は、蓄電池とセットで検討するケースも増えています。ただし、蓄電池は設備費が高額になりやすく、導入メリットは各家庭の使用量や電気料金プランによって大きく変わります。
補助金については、2025年時点で、北海道庁が個々の家庭に直接太陽光パネルや蓄電池の購入費を補助する制度は限定的で、主に市町村ごとの制度が中心となっています。たとえば、札幌市の「再エネ・省エネ機器導入補助金」では、太陽光発電や蓄電池、エコキュートなどに対して補助が用意されており、年度ごとに対象機器や補助額が見直されています。
さらに、北海道庁は「住まいのゼロカーボン化推進事業」を通じて、北方型住宅ZEROの新築や、省エネ改修・太陽光パネル・蓄電池導入に取り組む市町村を支援しています。この仕組みにより、道内の市町村レベルで住宅の省エネ・再エネ導入を支援する補助制度が拡充されつつあります。
太陽光・蓄電池導入の可否やメリットを判断するには、次のような観点で整理しておきましょう。
- 屋根の向き・傾斜・面積・積雪状況(落雪の安全性も含む)
- 現在の電気使用量と料金プラン(オール電化か、時間帯別料金か)
- 太陽光のみ導入した場合と、太陽光+蓄電池を導入した場合の投資回収期間
- 国の住宅省エネ関連補助金と、市町村の再エネ・省エネ補助金の組み合わせ
おすすめの進め方は、
1. 太陽光・蓄電池のシミュレーションや補助金相談に対応している施工会社・販売店に複数社相談する
2. 北海道庁と居住市町村の公式サイトで、利用できる補助制度を洗い出す
3. オール電化料金プランとの組み合わせで「年間の光熱費トータル」がどう変わるかを比較する
というステップです。北海道では積雪や雪下ろしの安全性など、本州とは異なる検討ポイントも多いため、「北海道での実績が多い事業者」を選ぶことも重要です。
総括:オール電化北海道の電気代を無理なく抑えるために
- 北海道のオール電化住宅は、長い冬と暖房依存度の高さから、冬季の電気使用量が本州の1.5〜2倍になりやすい構造にあります。
- 月10万円級の高額電気代は、旧式の電気温水器や蓄熱暖房機など、効率の低い機器が原因となるケースが多く、暖房・給湯だけで全使用量の9割近くを占めることもあります。
- ヒートポンプ給湯器(エコキュート)や暖房用エアコンへの切り替えにより、給湯・暖房の電気料金を半分以下にできる可能性があり、長期的には設備更新の投資回収が見込めます。
- 北海道電力の時間帯別料金プランでは、夜間単価が昼間より大幅に安く設定されており、エネとくスマートプランやドリーム8では「夜間に大きな負荷を集中させる」ほど有利になりやすい仕組みです。
- 一方で、家族構成や在宅時間、暖房の使い方と料金プランが合っていないと、オール電化でも電気代が割高になるリスクがあるため、「プランの良し悪し」ではなく「自宅との相性」で判断することが大切です。
- 断熱・気密性能の低い住宅では、どれだけ高効率な機器を導入しても暖房費がかさみやすく、窓・天井・床などの断熱リフォームは長期的に見て費用対効果の高い投資となり得ます。
- 窓の断熱改修や天井・床断熱など、部分的な工事でも年間数万円規模の光熱費削減につながる事例があり、まずは費用対効果の高い部分から手を付けるのが現実的です。
- 国の住宅省エネ関連補助金や、北海道・札幌市など自治体の断熱・省エネ補助金を活用することで、工事費の3分の1〜2分の1程度が助成される場合もあり、初期費用のハードルを大きく下げられます。
- 雪国でも太陽光発電は年間を通して見れば有効であり、オール電化との相性も良好です。春〜秋の発電を自家消費に回し、夜間は割安な時間帯別料金を利用することで、トータルの電気代を抑えやすくなります。
- 北海道では、道が市町村を支援する「住まいのゼロカーボン化推進事業」などを通じて、太陽光・蓄電池や断熱改修への補助金が市町村レベルで整備されつつあり、「道単独の補助」よりも市町村の制度を確認することが重要です。
- 電気料金の国の支援策は、2025年7〜9月使用分の追加支援を最後に終了しており、支援があった時期と比べると、同じ使用量でも請求額が高くなりやすい状況です。
- まずは、自宅の設備構成・断熱性能・料金プラン・年間使用量を整理し、電力会社や比較サイトのシミュレーションを使って、「今よりどこまで減らせるのか」を数字で確認することが、無理なく電気代を抑える第一歩になります。
- オール電化北海道の電気代対策は、「機器の省エネ化」「料金プランの最適化」「住宅性能(断熱・気密)の向上」「太陽光発電・蓄電池など再エネの活用」を組み合わせた総合戦略として考えることが重要です。
一気にすべてを変える必要はありませんが、「まずは設備の棚卸し」「次に料金プランの見直し」「余力があれば断熱と再エネを検討」という順番で、少しずつ手を打っていくことで、北海道の厳しい冬でも無理なく電気代をコントロールできるようになります。
