エコキュートの給湯温度を何度に設定するかで、電気代は意外と大きく変わります。
「50度が良いと聞くけれど、本当に電気代は安くなるの?」「40度や60度との違いは?」と気になっている方も多いはずです。
この記事では、日本の一般家庭で家庭用エコキュートを使っているご家庭を前提に、給湯温度50度と電気代の関係を、最新の電気料金の目安やエコキュートの省エネ性能、季節別の設定温度の考え方などから整理して解説します。
さらに、給湯温度50度をベースにした季節ごとの温度調整、電気料金プランとの組み合わせ方、シャワーやお風呂の使い方のコツ、太陽光発電や蓄電池との連携アイデアまで、実践的な節約術も紹介します。
- 給湯温度と電気代の関係を仕組みから整理
- 給湯温度50度が節約につながりやすいと言われる理由
- 季節別の最適温度と、電気代のイメージ
- 電気料金プラン・太陽光・蓄電池との組み合わせで節約効果を高める方法
- 安全面・衛生面も踏まえた「50度を基準にした運用のコツ」
エコキュート給湯温度50度と電気代の関係
- 給湯温度と電気代の基本仕組み
- 50度設定が電気代節約につながる理由
- 40度以下や高温設定との比較ポイント
- 日本の一般家庭の電気代と給湯の割合
給湯温度と電気代の基本仕組み

本記事で扱うのは、日本国内の一般家庭向けエコキュート(家庭用・給湯専用)です。
電気料金の具体的な単価は電力会社やプランによって異なりますが、家電カタログ等で使われる「電気料金の目安単価」として、公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が示している値は31円/kWh(税込)です。
一方、実際の請求額は以下の合計で決まります。
- 基本料金(契約アンペアやkVAに応じた固定費)
- 電力量料金(使った電力量に応じて段階的に変わる単価)
- 燃料費調整額
- 再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)
- 消費税 など
東京電力の代表的なプラン(従量電灯BやスタンダードS)では、2024年以降の料金単価が
1kWhあたり約29.80〜40.49円(税込)と段階的に設定されており、実際にはここに燃料費調整額や再エネ賦課金が上乗せされます。
エコキュートの電気代は、主に次の要素で決まります。
- お湯を沸かす温度(給湯温度/沸き上げ温度)
- 1日に使うお湯の量(シャワー・お風呂・キッチンなどの合計)
- お湯を沸かす時間帯(夜間の安い電力か、昼間の高い電力か)
- 機種や省エネモードの有無、学習機能の設定状況
エコキュートは、ヒートポンプで空気の熱を利用してお湯をつくるため、従来の電気温水器に比べて給湯に使う電力量を約3分の1に抑えられると、電力会社やメーカーが案内しています。
ここで注意したいのが「給湯温度」という言葉の意味です。メーカーや販売店の説明では、
- 「蛇口やシャワーに運ばれるときのお湯の温度(リモコン設定温度)」を指す場合
- 「貯湯タンク内で沸き上げて保温しておくお湯の温度」を指す場合
の両方があり、表現が混在しています。
そのため、
- リモコンに表示されている「給湯温度」が蛇口側の温度なのか
- タンクの貯湯温度なのか
は、ご自宅のエコキュートの取扱説明書で必ず確認しておくと安心です。この記事では、主に「リモコンで設定するお湯の温度」という広い意味で「給湯温度」という言葉を使います。
50度設定が電気代節約につながる理由

「温度を低くしたほうが電気を使わなそうだから、40度くらいのほうが電気代は安いのでは?」と感じる方は多いと思います。
ところが複数の施工店・専門サイトでは、「エコキュートの給湯温度は50〜60度が基本」「特に夏場は50度がおすすめ」とされており、40度前後の低温設定はかえって電気代が高くなるケースがあると指摘されています。
主な理由は次の通りです。
1つ目は、お湯を使う時間・量が増えやすいことです。
給湯温度を40度前後にすると、シャワーがぬるく感じやすく、体が温まるまでの時間が長くなりがちです。冬場は特にその傾向が強く、シャワー時間が延びたり、高温差し湯や追い焚きを繰り返したりしやすくなります。結果として、沸き上げに使う電力量だけでなく、お湯の使用量そのものも増えてしまう可能性があります。
2つ目は、水道水との混合による効率の違いです。
給湯温度を50〜60度程度に設定しておくと、実際に使うときは水道水を多めに混ぜて40度前後のちょうど良い温度にします。このとき、水道水がしっかり混ざることでシャワーの水圧が高まり、短時間で体を温めやすくなるため、結果的に「お湯の総使用量」を減らせる場合があります。
3つ目は、配管内の温度低下と衛生面です。
給湯温度が低すぎると、タンクから浴室やキッチンまで運ばれる間にお湯の温度がさらに下がり、蛇口側では設定よりもぬるいお湯になりがちです。その結果、温まるまで長く出しっぱなしにしてしまい、電気代だけでなく水道代の面でも無駄が増えてしまいます。
また、配管やタンク内の衛生管理の観点からも、一定以上の温度でお湯を貯めておくことが望ましいとする解説が多く、低すぎる温度設定は雑菌の増加リスクにつながる可能性があると指摘されています。
このような理由から、給湯温度を50度前後にしておくと、
- シャワー・お風呂の時間を短くしやすい
- 追い焚きや高温差し湯を繰り返さずに済みやすい
- お湯の「量」を減らしやすい
という意味で、トータルの電気代を抑えられるケースが多いと考えられます。ただし、実際の効果は家族構成・生活スタイル・エコキュートの機種によって変わるため、「必ず安くなる」と言い切れるわけではなく、あくまで「節約につながりやすい温度帯」と理解しておくのが現実的です。
40度以下や高温設定との比較ポイント
では、40度前後や60度以上の設定と比べて、50度前後はどのような位置づけになるのでしょうか。
複数の専門店・施工会社の解説を整理すると、おおよそ次のイメージになります。
- 40度前後
- メリット:沸き上げ時の消費電力量は少なめ
- デメリット:シャワーがぬるくなりやすく、使用時間・使用量が増えやすい。湯切れや追い焚き・沸き増しが増えると結果的に割高になりやすい。
サーモスタット混合水栓によっては、40度以下の設定で温度制御が不安定になり、性能低下や故障リスクが指摘されているケースもあります。
- 50度前後
- メリット:水を混ぜて使う前提なので、シャワー圧・快適性のバランスが良い。多くの家庭で電気代と使い勝手のバランスを取りやすい温度帯とされる。
- デメリット:設定を変えないまま夏場に長時間シャワーを浴びるなど、お湯を使い過ぎると節約効果が薄れる。
- 60度以上
- メリット:冬場の浴槽へのお湯はりや、油汚れの多い食器洗いなど、高温が必要な場面で便利。
- デメリット:沸き上げ時の消費電力量が増え、タンク内の保温ロスも大きくなる。高温のまま大量に使うと電気代が増えやすく、やけどリスクも高まる。
さらに、給湯温度を低くしすぎると、サーモスタット混合水栓が細かな温度調整を頻繁に行うことになり、内部部品への負荷が増えるという指摘もあります。
逆に、必要以上に高温にしておくと、タンク保温のための電力が増えたり、小さなお子さんや高齢者がいる家庭ではやけどの危険性も高くなります。
そのため、多くの業者が「普段の基準は50〜60度」「夏は50度、冬は60度程度」といった季節別の使い分けを推奨しているのです。
日本の一般家庭の電気代と給湯の割合

電気代全体の中で、給湯にかかるエネルギーはどれくらいの割合を占めているのでしょうか。
経済産業省や民間企業の資料によると、家庭部門のエネルギー消費のうち「給湯」が約3割前後を占めると報告されています。
つまり、エアコンや照明と同じか、それ以上に「給湯の省エネ」が重要ということです。
電気代そのものを見ると、総務省の家計調査をもとにした解説では、1カ月あたりの平均電気代は1人世帯で約7,000円、2人以上の世帯では1万〜2万円程度が目安とされています。
この中で、エコキュートにかかる電気代は、エリアや使用量によって差はあるものの、各種シミュレーションやメーカー試算では「1カ月あたり1,500〜5,000円程度」が一つの目安とされています。
パナソニックの370Lクラスを例にとった地域別シミュレーションでは、東京電力エリアで月約3,100円、関西電力エリアで約1,700円といった試算も紹介されています。
このように、「給湯」に関連する電気代は家庭の光熱費の中で決して小さくありません。
だからこそ、「エコキュートの給湯温度をどう設定し、どう使うか」が、電気代のコントロールに直結する大きなポイントになるのです。
エコキュート給湯温度50度で電気代節約の実践術
- 季節別の給湯温度設定と目安電気代
- 50度設定で得する使い方とNG行動
- 電気料金プランとエコキュート運転最適化
- 50度で足りないときの対処と安全面
季節別の給湯温度設定と目安電気代

多くの専門サイトでは、エコキュートの給湯温度について「季節に応じて50〜60度で調整する」運用が勧められています。
代表的な目安を整理すると、次のようになります。
| 季節 | 給湯温度の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 春・秋 | 50〜55度 | 外気温が中間で、配管での放熱ロスも比較的小さい。まず50度を基準に、冷え込みが強い日だけ55度を検討 |
| 夏 | 50度前後 | 水道水の温度が高く、配管での温度低下も小さいため、50度で足りるケースが多い |
| 冬 | 60度前後 | 外気も水道水も冷たく、配管での温度低下が大きいので、少し高めの設定が安心 |
冬場は、タンクから浴室までの間でお湯の温度が下がりやすく、設定温度と蛇口から出る温度の差が大きくなります。そのため「冬だけ給湯温度を夏より5度ほど高くする」という使い方を推奨している解説もあります。
ただし、給湯温度を高くしすぎると、タンク内の保温に使う電力量が増えたり、高温のお湯をそのまま使いすぎて電気代がかさむおそれもあります。
そこで電気代のイメージをつかむために、簡単なシミュレーションを考えてみます。
例:東京電力エリア・4人家族・370Lクラスのエコキュートの場合
- メーカーや専門サイトの試算では、エコキュート分の月額電気代は約3,000〜3,500円前後が一つの目安とされています。
もし給湯温度の設定や使い方を工夫して「給湯に使うお湯の量」を10%削減できれば、単純計算でエコキュート分の電気代も月300円前後下がるイメージです。
実際には季節や燃料費調整額の影響も受けるため前後しますが、
- シャワー時間を短くする
- 追い焚きや高温差し湯を減らす
- 無駄な沸き増しを減らす
といった小さな工夫を積み重ねれば、月数百円〜1,000円程度の節約も十分射程に入ります。
給湯温度50度は、こうした「使い方の工夫」とセットにすることで、電気代節約の効果を発揮しやすい温度帯だと考えられます。
また、一部の業者の試算では、「給湯温度を2度下げると月50〜150円程度の節約」「浴槽の保温時間を1時間短くすると月50〜100円程度の節約」といった目安も示されています。
これはあくまで一例ですが、温度設定と入浴スタイルの見直しが、馬鹿にできない節約効果につながることがわかります。
50度設定で得する使い方とNG行動

給湯温度を50度にしても、使い方しだいでは節約効果が小さくなってしまいます。
ここでは、50度設定を活かす「得する使い方」と、避けたい「NG行動」を整理します。
プラスになる使い方のポイントは、次のようなものです。
1つ目は、シャワー・お風呂の時間をなるべくまとめることです。
家族がバラバラの時間に入浴すると、浴槽の保温回数や追い焚きが増え、タンクのお湯も無駄に冷めてしまいます。できる範囲で入浴時間を近い時間帯にまとめることで、保温時間を短くでき、電気代を抑えやすくなります。
エコキュートの節約解説では、浴槽の保温時間を1時間短くするだけで、1カ月あたり50〜100円程度の節電になるとの目安も示されています。
2つ目は、「50度設定+水での調整」を前提としたシャワーの使い方です。
給湯温度を50度にしておくと、混合水栓で40度前後に調整するときに水道水を多めに混ぜることになります。水道水の勢いが加わることで水圧が上がり、「短時間でさっと浴びられる」「洗い流しが早く終わる」といったメリットが期待できます。
3つ目は、エコキュートの省エネ機能・学習機能を活用することです。
最近の機種には、次のような機能が搭載されているものが多くあります。
- 省エネモード・おまかせモード
- ピークシフト/ピークカット機能
- 過去の使用量から最適な湯量・沸き上げ温度を自動調整する学習機能
これらは、沸き上げ温度を約65〜90度の範囲で自動調整しつつ、必要な分だけお湯をつくる仕組みです。
省エネモードをオンにしたうえで給湯温度を50度基準にしておくと、「快適さ」と「電気代のバランス」を自動で取りやすくなります。
一方、NGになりやすい使い方の例は次の通りです。
- 給湯温度を40度に下げたのに、寒くてシャワー時間が倍以上になってしまう
- 給湯温度を低くした結果、湯切れが増え、昼間の高い電気単価の時間帯に沸き増しを繰り返している
- 逆に60度以上に設定したまま、シャワー側でほとんど水を混ぜずに高温のお湯を大量に使っている
これらはいずれも、「沸き上げ電力」か「お湯の使用量」のどちらか、または両方が増えるパターンです。
給湯温度50度は、「水を混ぜて快適温度に調整し、短時間で効率よく使う」という前提でこそ、省エネ効果が期待できる温度だと意識しておきましょう。
また、キッチンの給湯温度はお風呂より少し低め(35〜38度程度)でも十分という解説もあり、用途ごとに温度を変えることも節約につながります。
電気料金プランとエコキュート運転最適化

給湯温度を50度にそろえたとしても、電気料金プランとの相性が悪いと、思ったほど電気代が下がらないことがあります。ここでは、「料金プラン」と「運転設定」の両面から見直すポイントを整理します。
日本の一般的な家庭用プランでは、電気代は次の合計で決まります。
- 基本料金(アンペア・kVAに応じた固定部分)
- 従量料金(使った電気に応じて段階的に変わる単価)
- 燃料費調整額(燃料価格に応じて毎月変動)
- 再エネ賦課金(全国一律の単価を使用量に掛けたもの)
とくに、1kWhあたりの実質的な負担に効いてくるのが「従量料金の単価」と「再エネ賦課金」です。
再エネ賦課金は年度ごとに単価が見直され、2024年度(2024年5月分〜2025年4月分)は3.49円/kWh、2025年度(2025年5月分〜2026年4月分)は3.98円/kWhとされています。
中部電力などの資料では、標準的な月260kWh使用の家庭モデルで、2025年度の再エネ賦課金の負担額は月約1,000円前後になると試算されています。
つまり「使う電気量を減らすこと」は、従量料金だけでなく再エネ賦課金の負担軽減にも直結します。
エコキュートをお得に使ううえで重要なのは、次のようなプラン・設定です。
- 夜間の電気料金が安い時間帯別プランやオール電化向けプランを選ぶ
- エコキュートの沸き上げ時間帯を、できるだけ夜間の安い時間に寄せる
- 昼間の高い単価の時間帯に「沸き増し」をなるべく発生させない
多くの解説では、夜間(例:23〜7時)の安い時間帯にタンクを十分に沸き上げ、日中はそのお湯を水で薄めて使い、湯切れや昼間の沸き増しを極力起こさないことが節約の基本とされています。
ここに給湯温度50度を組み合わせると、理想的なイメージは次のようになります。
- 夜間の安価な時間帯に、やや高めの温度(50〜60度)でお湯をタンクにためる
- 日中はそのお湯を水で混ぜて使い、沸き増しを極力発生させない
- 湯量が不足しないよう、学習機能や沸き上げ量の設定をこまめに調整する
また、太陽光発電や蓄電池を導入している家庭では、エコキュートと連携させることでさらに電気代を抑えられるケースがあります。
パナソニックの「ソーラーチャージ」など、太陽光の余剰電力で昼間にお湯をつくり、夜間の沸き上げ量を減らす機能を持つ機種も登場しており、余剰電力の自家消費率向上に役立ちます。
電気料金明細を見ながら、
- 契約プラン名
- 時間帯別単価(もしあれば)
- 再エネ賦課金・燃料費調整額の負担感
- 夜間の安い時間帯の範囲
を一度整理し、エコキュートの「沸き上げ時間帯」「学習モード」「節約モード」の設定を、給湯温度50度を前提に「夜間中心の運転」に寄せていくことが、電気代を抑える大きな鍵になります。
50度で足りないときの対処と安全面

実際の運用では、「50度設定だと冬場のシャワーが少し物足りない」「高齢の家族がいて、もう少し浴槽を熱めにしたい」と感じることもあります。
そんなときのポイントは、
- 常に給湯温度を高くしておくのではなく、「必要な場面だけ一時的に上げる」
- それ以外の時間帯や季節は、基本を50度に戻しておく
という「メリハリのある設定」です。
具体的には、次のような使い方が考えられます。
- 冬の特に寒い時期だけ、給湯温度を60度に上げる(春〜秋は50度に戻す)
- 食器洗いなど高温のお湯が必要なときだけ、一時的に給湯温度を上げ、終わったら50度に戻す
このようにすれば、必要な場面ではしっかり温かさを確保しつつ、年間トータルでは電気代を抑えやすくなります。
一方、安全面では「やけどリスク」に十分注意が必要です。
高温のお湯は短時間でも皮膚を傷める可能性があり、とくに小さな子どもや高齢者がいる家庭では、
- 給湯温度を必要以上に高温にしすぎない
- 浴室の混合水栓側で40度前後を上限にしておく
- 「高温差し湯」を使う際は、家族に声をかける習慣をつくる
といった配慮をしておくと安心です。
また、衛生面や電気代の両面で重要なのが「長期間家を空けるとき」の扱いです。
旅行などで数日間お湯を使わない場合は、エコキュートの休止モードやタイマー機能を活用して不要な沸き上げを止めつつ、帰宅後に一度高めの温度で沸き上げてから使用する、といった運用を推奨する解説もあります。
さらに、太陽光発電や蓄電池を導入している家庭では、停電時にも「電気+お湯」を確保しやすくなるメリットがあります。蓄電池があれば一定時間の電力供給ができ、エコキュートの貯湯タンクのお湯は生活用水としても活用できるため、防災面の安心感も高まります。
このように、給湯温度50度はあくまで「基準値」です。
ご家庭の状況に応じて、季節・用途・安全性を考えながら、50度を中心に上下させるイメージで運用していくと、快適さと電気代のバランスを取りやすくなります。
総括:エコキュート給湯温度50度と電気代を賢くコントロールするコツ
- 本記事は、日本の一般家庭向けエコキュートを前提に、給湯温度と電気代の関係を整理したものである
- 家電カタログなどで用いられる電気料金の目安として、全国家庭電気製品公正取引協議会が31円/kWh(税込)という単価を示しており、実際の電気料金も代表的なプランでは1kWhあたり30円台前半〜40円台が中心となっている
- 家庭部門のエネルギー消費のうち、およそ3割前後を給湯が占めるとされており、給湯の省エネは電気代削減の重要なポイントである
- エコキュートは、従来型の電気温水器など「電気だけでお湯を沸かす方式」と比べて、給湯に使う電力量を約3分の1に抑えられる高効率な給湯システムである
- 給湯温度を40度前後に下げすぎると、シャワー時間の増加や湯切れによる沸き増しなどが発生し、かえって電気代が高くなる場合がある。サーモスタット混合水栓の故障リスクも指摘されている
- 多くの専門解説では、給湯温度50〜60度が推奨され、とくに夏は50度、冬は60度前後を目安とする季節別運用が紹介されている
- 給湯温度50度では、水道水を多めに混ぜて使うことで水圧が上がり、短時間で体を温めやすく、お湯の総使用量を減らしやすいとされる
- エコキュートの電気代は地域差があり、各種試算では一般家庭で1カ月あたり概ね1,500〜5,000円程度が目安とされ、東京電力エリアでは月約3,000円前後という試算もある
- 給湯温度や保温時間、シャワー時間を見直すだけでも、月数十円〜数百円単位の節約が積み上がり、年間では無視できない差になる
- 給湯温度50度を基準に、家族の入浴時間をまとめ、湯切れや追い焚きを減らすことが、実践的で再現性の高い節約策となる
- 電気料金プランでは、夜間の安い時間帯に沸き上げる設定とし、昼間の高い時間帯の沸き増しを避けることが重要であり、再エネ賦課金や燃料費調整額も含めて「1kWhあたりの実質単価」を意識することが大切である
- 太陽光発電や蓄電池と組み合わせることで、余剰電力をエコキュートに回し、夜間の沸き上げ量を減らすなど、さらに高い節約効果や災害時の備えも期待できる
- 冬場や高温のお湯が必要な場面では一時的に60度前後へ引き上げ、必要なとき以外は50度に戻す「メリハリ運用」をすることで、快適性と電気代のバランスを取りやすくなる
- 小さな子どもや高齢者がいる家庭では、給湯温度の上限設定や混合水栓の使い方に配慮し、やけどリスクを避けることが欠かせない
- エコキュートの給湯温度50度を上手に使いこなし、料金プランや太陽光・蓄電池との組み合わせ、入浴スタイルの工夫を重ねることで、快適性を損なわずに電気代をコントロールし、長期的な家計の安定と環境負荷の低減につなげることができる
ご自身の暮らし方や地域、契約プランに合わせて、「まずは給湯温度50度を基準にしてみる」ことから始めてみてください。そこから少しずつ調整していくことで、無理のない範囲で電気代と快適さのちょうど良いバランスが見えてきます。
