「電気温水器の電気代が高すぎる」「給湯だけでこんなに請求が来るのはおかしいのでは」と感じて、慌てて明細を見直した方も多いと思います。給湯器専門業者の最新の試算では、家庭用の電気温水器にかかる電気代は平均で月約7,900円前後とされており、「給湯だけでこの金額」は決して珍しくありません。
ただし、この金額はあくまでモデルケースです。世帯人数やエリア、電気料金プラン、機種のグレードによって、実際の負担感は大きく変わります。まずは「自宅の電気温水器の電気代が高すぎるのか、それとも“電気温水器としては標準的”なのか」を冷静に見極めることが重要です。
本記事では、日本の一般家庭、特にオール電化で電気温水器を使っている世帯を前提に、電気温水器の電気代が高くなりやすい理由と仕組み、エリア・世帯人数別の目安、故障・老朽化や設定ミスが原因のケースまで整理して解説します。
そのうえで、今日からできる節約術、電気料金プランの見直しのポイント、高効率給湯器(エコキュートなど)に交換した場合にどれくらい電気代を抑えられるのか、さらに国の「給湯省エネ事業」などの補助金の考え方まで、できるだけ具体的にまとめました。
- 電気温水器は構造・気候・エリアによって電気代が高くなりやすい設備である
- 設定温度や沸き上げ量、自動保温などの見直しで今すぐできる節約余地がある
- 電気料金プランを時間帯別やオール電化向けと比較し、自宅の使用パターンに最適化する必要がある
- エコキュートなど高効率給湯器と国の補助金を組み合わせれば、中長期的に大きな電気代削減が期待できる
電気温水器の電気代が高すぎると感じる理由
- 電気温水器の電気代の平均と目安
- ヒーター方式と熱ロスによる非効率性
- 季節・世帯人数・エリアによる差
- 電気料金プラン改定で高くなったケース
- 故障・老朽化・設定ミスが原因のケース
電気温水器の電気代の平均と目安

まずは「うちの電気温水器の電気代は、そもそも高すぎるのか?」を判断するために、平均的な目安を押さえておきましょう。
給湯器専門業者がパナソニックのシミュレーションをもとに整理したデータによると、電気温水器(貯湯式)を使用した場合の家庭の電気温水器関連の電気代は、平均で月約7,900円とされています。
世帯人数別の目安としては、同じ資料で次のようなモデルが示されています。
- 1人暮らし世帯 … 約5,700円/月
- 2人暮らし世帯 … 約9,600円/月
- 3人暮らし世帯 … 約11,100円/月
- 4人以上になると増加ペースは緩やかになり、4人で約11,700円、5人で約12,900円程度
また、電力エリア別のモデルでは、同じ電気温水器でも地域によって年間の目安が大きく異なります。パナソニックのランニングコスト試算をもとにした業者の整理では、例えば次のような水準が紹介されています。
- 北海道電力エリア … 年間約19万〜20万円(約1万6,000円/月)
- 東京電力エリア … 年間約15万7,000円(約1万3,000円/月)
- 関西電力エリア … 年間約8万7,000円(約7,000円台/月)
- 九州電力エリア … 年間約8万5,000円(約7,000円前後/月)
このように、「平均7,000〜8,000円」という数字はあくまで全国平均のイメージであり、寒冷地・高単価エリアでは月1万円台半ばになるケースも珍しくありません。
したがって、次のように考えると判断しやすくなります。
- 自宅の給湯用電気代が、同じ世帯人数・エリアのモデルよりかなり高い
→ 使い方・設定・機器状態・料金プランなどに問題が潜んでいる可能性が高い
- モデルと同程度〜やや高い程度
→ 「電気温水器という設備自体がランニングコストの重い機種」であることを受け入れたうえで、中長期的に設備更新も含めた対策を検討する段階
まずは検針票や電力会社のWeb明細を確認し、「給湯目的の消費電力量(kWh)」の推移を見て、自宅がどのあたりに位置しているのかを把握しておきましょう。
ヒーター方式と熱ロスによる非効率性

電気温水器の電気代が高くなりやすい最大の理由は、給湯の仕組みそのものの効率の悪さです。
貯湯式の電気温水器の多くは、タンク内の水を電気ヒーターで直接加熱してお湯をつくり、貯めておく方式を採用しています。これは「やかんで湯を沸かし続けて保温している」ようなイメージに近く、電気エネルギーをほぼそのまま熱に変えるため、省エネ性という意味では効率が高いとは言えません。
一方、エコキュートに代表されるヒートポンプ給湯器は、空気中の熱をくみ上げてお湯をつくる仕組みで、同じ量のお湯を作るのに必要な電力を大幅に減らせます。資源エネルギー庁が紹介する試算では、従来の電気温水器に対してエコキュートを導入すると、給湯分の電気料金を約75%削減できるとされています。
さらに、貯湯式である以上、タンクからの放熱ロスは避けられません。特に冬場は、
- 給水温度が低く、同じ温度まで温めるのにより多くの電力が必要
- 外気温が低いほどタンク周りからの熱損失も増える
といった理由で、「沸かすとき」と「貯めているあいだ」の両方でエネルギーを消費し続ける構造になっています。
フルオートタイプでは、浴槽の湯温を一定に保つための自動保温機能や自動たし湯機能が搭載されていることが多く、「人が入っていない時間帯にも、こまめに追いだきがかかる」ことで電気代を押し上げるケースも指摘されています。
「夜間の安い時間帯にまとめてお湯を沸かすからお得」というイメージだけで電気温水器を選んでいると、こうした見えにくい熱ロスや自動運転によって、気づかないうちに電気代が膨らんでいる場合があります。
季節・世帯人数・エリアによる差

電気温水器の電気代は、年間を通じて一定ではありません。特に冬場は、夏に比べて電気代が跳ね上がりやすい季節です。
資源エネルギー庁が紹介する解説でも、夏場に20℃程度の水道水を40℃にするのに比べ、冬場に10℃未満の水から40℃にするには多くの熱エネルギーが必要で、その分給湯の光熱費が高くなると説明されています。
また、世帯人数が増えるほど、お風呂やシャワー、台所・洗面でのお湯の使用量が増えます。前述のミズテックの試算では、1人暮らしで約5,700円、2人で約9,600円、3人で約11,100円と、人数が増えるほど電気代も増えますが、3人以上になると増加ペースはやや鈍化するとされています。
電力エリアによる違いも無視できません。同じパナソニックのモデルケースでも、
- 北海道電力エリア … 月約1万6,000円(年間約19万〜20万円)
- 九州電力エリア … 月約7,000円前後(年間約8万5,000円前後)
と、電力単価や気候条件の違いにより、倍以上の差が出るケースがあります。
つまり、「電気温水器の電気代が高すぎるかどうか」を判断する際は、
- いつの請求額(冬か、春・秋か)
- 何人暮らしか
- どのエリア・どの電力会社の料金体系か
といった条件をそろえたうえで、モデルケースと比較する必要があります。SNSなどで見かけた他人の請求額と単純比較するのではなく、「自分と近い条件の目安」と見比べることが大切です。
電気料金プラン改定で高くなったケース

ここ数年は、燃料価格の高騰や市場連動型料金の影響などもあり、各電力会社が料金改定や料金メニューの見直しを繰り返しています。
かつては、夜間電力が非常に安く設定されたオール電化向けプラン(深夜電力プラン)が各社に用意されており、「夜間にまとめて沸かす電気温水器」との相性が非常に良い状況でした。しかし、一部のプランはすでに新規受付を終了していたり、割引率が小さくなっていたりするケースが増えています。
その結果、次のようなケースが目立つようになりました。
- 深夜電力が安い旧プランから、時間帯によらず単価が高めの新プランに切り替わった
- 電力会社を乗り換えた際に、オール電化向けではない一般的なプランを選んでしまった
- 夜間割引の時間帯と生活サイクルが合わず、単価の高い時間に沸き増しが多くなっている
とくに、従来の深夜電力プランから標準的な従量料金プランに移行した場合、「使い方は変えていないのに、電気温水器の電気代だけ急に高くなった」と感じやすくなります。
ここ数年で電気代が急激に高くなったと感じる場合は、
1. 過去数年分の検針票を見直し、「契約メニュー名」がいつ変わったかを確認
2. 料金単価(1kWhあたり)がどの程度上がっているかをチェック
3. 深夜料金の時間帯や単価が、現在の生活パターンに適しているかを確認
といった手順で、「設備の問題」なのか「料金プランの問題」なのかを切り分けることが重要です。
故障・老朽化・設定ミスが原因のケース

電気温水器は構造上、もともと電気代がかさみやすい機器ですが、それとは別に「故障・老朽化・設定ミス」によって想定以上に電気代が高くなっているケースも少なくありません。
修理・交換業者の解説では、次のようなポイントが電気代増加の要因として挙げられています。
- タンク内にスケール(湯あか)が大量に付着し、熱効率が落ちている
- タンク周囲の断熱材が劣化し、常に大きな放熱ロスが発生している
- センサーや制御基板の不具合で、設定温度以上に過剰に沸き上げてしまう
- フルオート機種で「自動保温」「自動たし湯」が常にオンになっており、在宅していない時間帯も浴槽のお湯を保温し続けている
資源エネルギー庁が紹介する、月10万円を超えるようなオール電化住宅の事例では、消費電力量の内訳として「蓄熱暖房機が約7割」「電気温水器が約2割」を占めていたケースも報告されています。古い電気温水器や蓄熱機器をそのまま使い続けることが、全体の電気代を押し上げる大きな要因になりうると指摘されています。
具体的に、次のような症状がある場合は注意が必要です。
- タンク周辺が常に熱く、触ると明らかに温度が高い
- 夜間以外にも頻繁に沸き上げ音がしている
- 電源を切っているつもりなのに、湯切れせず沸き上げが続いている
- ブレーカーがよく落ちる、漏電ブレーカーが作動する
このような場合は、節約術を試す前に、安全面も含めて専門業者の点検を依頼した方が安心です。
電気温水器の電気代が高すぎる時の対策
- すぐできる電気温水器の電気代節約術
- 電気料金プランの見直しと注意点
- エコキュートなど高効率給湯器への交換
- 補助金・給湯省エネ事業の活用の考え方
- 賃貸・持ち家別の現実的な選択肢
すぐできる電気温水器の電気代節約術

「とにかく今月の請求から少しでも減らしたい」という場合は、設備を変える前に「使い方」と「設定」を見直すのが現実的です。給湯器専門サイトや公的機関の情報でも、次のような対策が紹介されています。
1. お湯の設定温度を下げる
- シャワー温度を1〜2℃下げるだけでも、必要な熱量は確実に減ります。
- 冬場はつい高めに設定しがちですが、「少しぬるいかな」と感じるラインから試してみると、意外と慣れてしまうことも多いです。
2. 沸き上げ量(タンク容量)の見直し
- 毎日タンクを満タン近くまで沸かしているのに、お湯が余っているなら設定を1段階下げます。
- 多くの電気温水器には「標準」「少なめ」「多め」といったモードがあり、家族構成や在宅時間に合わせて調整することで、余ったお湯を保温し続ける無駄を減らせます。
3. 自動保温・自動たし湯を必要なときだけ使う
- 入浴時間がバラバラなご家庭で便利な機能ですが、「誰も入らない時間帯にも保温し続ける」ことが電気代の増加要因になります。
- ふた・保温シートを活用し、入浴前の短時間だけ追いだきする運用に切り替えると、待機的な消費電力を抑えやすくなります。
4. 長期不在時は電源を切る
- 数日〜数週間家を空ける場合、電気温水器の電源をオフにしておけば、不要な沸き上げを防げます。
- ただし、寒冷地では凍結防止のための運転が必要な場合があるので、必ず取扱説明書やメーカーサイトの指示を確認してください。
5. 給湯の使い方を見直す
- シャワー時間を短くする、浴槽へのお湯はり回数を減らす
- 食器洗いなどで「ずっとお湯を出しっぱなしにしない」
- 節水シャワーヘッドや泡切れの良い洗剤を活用して、そもそもの湯量を減らす
こうした細かな対策だけで電気代が半額になる、ということはまずありませんが、「明らかにムダな部分」を削ることで、数%〜1〜2割程度の削減を狙うことは十分に可能です。
電気料金プランの見直しと注意点

電気温水器の電気代は、機器の性能だけでなく「どの電気料金プランを選んでいるか」に大きく左右されます。ミズテックや給湯器専門サイトでも、時間帯別料金プランやオール電化向けプランの活用が節約手段として紹介されています。
電気温水器は本来、
- 夜間の安い時間帯にまとめて沸き上げる
- 昼間は貯めたお湯を使う
という使い方が前提になっています。そのため、夜間単価が安く設定された時間帯別料金プランと相性が良い設備です。
ただし、最近は以下の点に注意が必要です。
- 旧来の深夜電力プランは新規受付終了・割引率縮小が進んでいる
- 夜間が安い代わりに、日中・夕方の単価が高く設定されているプランも多い
- 在宅ワークなどで昼間の使用が多い世帯では、トータルで割高になるケースもある
料金プランを見直す際には、次のステップで検討すると失敗が少なくなります。
1. 自宅の時間帯別使用量を把握する
- 検針票や電力会社のWeb明細で、「昼間・夜間・夕方」などの使用量を確認する
- スマートメーター連携のグラフがあれば、1日あたりの使用パターンをざっくり把握する
2. 給湯以外の家電も含めてシミュレーションする
- エアコン・IHクッキングヒーター・洗濯乾燥機など、日中も電気を多く使う家電の影響は大きいです。
- 「電気温水器のためのプラン変更」であっても、家全体の電気代で損得を判断する必要があります。
3. 新旧プランの単価と適用条件を必ず確認する
- 1kWhあたりの単価
- 夜間・昼間・夕方の時間区分とそれぞれの単価
- 割引やキャンペーンの適用期間(いつまで続くか)
電力会社の乗り換えを検討する場合は、比較サイトのランキングだけでなく、実際の料金表や約款を確認し、「オール電化向けプランが自宅の生活パターンと本当に合っているか」を慎重に見極めることが重要です。
エコキュートなど高効率給湯器への交換

使い方や料金プランを見直しても「やはり電気温水器の電気代が高すぎる」と感じる場合、根本的な対策として有力なのが、高効率給湯器への交換です。中でも代表的なのが、ヒートポンプ方式の「エコキュート」です。
エコキュートは、空気中の熱をくみ上げてお湯をつくるため、同じ量のお湯をつくるのに必要な電力量を大幅に減らせます。給湯器業者による比較では、エコキュートの給湯にかかる電気代は、電気温水器の約3分の1〜4分の1程度に抑えられると紹介されています。
パナソニックの試算を引用した業者の例では、東京電力エリアのモデルケースで、年間の給湯電気代はおおよそ次のように比較されています。
- 電気温水器 … 約15万7,200円/年
- エコキュート … 約3万7,200円/年
エリアによっては、エコキュートにすることで「1/4以上のコストダウン」が期待できるケースもあるとされています。
一方で、初期費用はエコキュートの方が高くなりがちです。業者の相場情報では、おおむね以下のような価格帯が示されています。
- 電気温水器
- 本体価格 … 約10万〜25万円
- 設置工事費 … 約7万〜10万円
- エコキュート
- 本体価格 … 約20万〜50万円
- 工事費(基礎・配管・電気工事等) … 約10万〜20万円
- 追加工事(配線延長・分電盤交換など)が数万円かかる場合もある
トータルで見ると、エコキュートの導入費用は電気温水器の1.5〜2倍程度になるケースが多い一方で、電気代は大きく下がるため、「何年で元が取れそうか」を試算することが大切です。
目安として、現在の電気温水器の給湯電気代が年間15万〜20万円前後かかっているような場合、
- 年間で10万円以上電気代が下がる
- 補助金を活用できれば初期費用の一部が戻ってくる
といった条件がそろえば、数年〜10年前後で投資回収できる可能性もあります。
補助金・給湯省エネ事業の活用の考え方

高効率給湯器への交換を検討する際に、必ずチェックしておきたいのが国の補助制度です。
資源エネルギー庁は「給湯省エネ事業(高効率給湯機導入促進事業費補助金)」として、高効率給湯器の導入を支援する補助制度を令和4年度以降継続的に実施しており、2025年時点では「給湯省エネ2025事業」としてヒートポンプ給湯機(エコキュート)やハイブリッド給湯機、家庭用燃料電池(エネファーム)などが対象となっています。
エコキュートの場合、2025年度の制度では、
- 対象機種であれば1台あたり数万円の基本額
- インターネット接続や予測制御など、一定の性能要件を満たす機種には追加で数万円の加算
- 地域の自治体補助と併用できる場合もあり、合計で十数万円規模の支援を受けられるケースもある
といった枠組みになっています。実際に電気温水器からエコキュートに交換する場合、国の補助だけで最大17万円程度受け取れると案内している専門業者もあります(国の公式要綱をもとにした試算)。
さらに、2025年11月時点で公表されている次年度の「給湯省エネ2026事業(令和7年度補正予算案)」では、高効率給湯器の導入とあわせて、既存の蓄熱暖房機や電気温水器を撤去する場合の「撤去加算」が新たに設けられる予定です。資源エネルギー庁の資料では、電気温水器の撤去について、1台あたり2万円の加算(高効率給湯器で補助を受ける台数まで)が記載されており、2025年11月28日以降に着工した工事が対象とされています。
もっとも、補助額や対象機種・申請方法などは年度ごとに細かく変わるため、実際に申請を検討する際には、
- 最新の資源エネルギー庁の公式サイト
- 給湯省エネ事業の専用サイト
- 施工業者やメーカーが公表している補助金一覧
を必ず確認し、「いつまでに契約・工事を行う必要があるのか」「どの事業者経由で申請できるのか」を早めに押さえておくことが重要です。多くの補助事業は、予算上限に達し次第終了となる点にも注意が必要です。
賃貸・持ち家別の現実的な選択肢

最後に、「自分の住まいの条件に合わせた現実的な選択肢」を整理しておきましょう。
持ち家(戸建て・分譲マンション)の場合は、
- 今後どのくらいその家に住み続けるか(10年以上か、数年か)
- 現在の電気温水器の電気代が年間でどの程度か
- 補助金を含めた初期費用と、電気代の削減額のバランス
といった観点で、「エコキュートなど高効率給湯器への交換」を投資として考えるのが現実的です。すでに年間の給湯電気代が15万〜20万円前後に達しているような場合、エコキュートへの交換と補助金の活用により、数年〜10年程度で初期費用を回収できる可能性があります。
一方で賃貸住宅の場合、入居者の判断だけで電気温水器を交換できないのが一般的です。設備の所有者は大家さんや管理会社であり、
- 交換の可否
- 費用負担の分担
- 退去時の扱い
などを事前に取り決める必要があります。給湯器業者や電気工事会社も、「賃貸で入居者側が設備交換費用を負担する場合は、必ずオーナーの承諾を得ること」と案内しています。
賃貸でできる現実的な対策としては、主に次のようなものが中心になります。
- 設定温度・沸き上げ量の見直し
- 自動保温・追いだき機能を必要なときだけ使う
- シャワー時間を短くし、お湯はり回数を減らす
- 電気料金プランだけでも見直しが可能であれば検討する
また、近い将来に引っ越しを予定している場合は、「次の住まいでどの給湯方式が採用されているか」を重視して物件を選ぶのも一つの方法です。
- すでにエコキュートが導入されているオール電化住宅
- 都市ガス・プロパンガスの高効率ガス給湯器(エコジョーズ等)が導入されている物件
などは、電気温水器に比べて光熱費の面で有利になる可能性があります。
いずれの場合も、「今の住まいでできる対策(使い方・設定・料金プラン)」と「住まいを変えるタイミングで見直す対策(設備更新・給湯方式の変更)」を切り分け、自分にとって無理のない範囲で電気温水器の電気代と向き合っていくことが大切です。
まとめ
- 電気温水器の平均的な電気代は、最新の試算で月約7,900円程度とされており、世帯人数や電力エリアによって1万円台半ばまで上がることもある
- 北海道や東北などの寒冷地ほど、給水温度の低さと外気温による熱ロスの影響で、同じ機種でも電気温水器の電気代は高くなりやすい
- 電気温水器は電気ヒーターで水を直接加熱する方式のため、ヒートポンプ給湯器(エコキュート)と比べてエネルギー効率が低く、構造的にランニングコストが重くなりやすい
- 貯湯タンクからの放熱や、浴槽の自動保温・自動たし湯などの待機的な電力消費が、気づかないうちに電気温水器の電気代を押し上げる要因になる
- 深夜電力割引プランの縮小や新規受付終了など料金メニューの改定により、かつてほど電気温水器のメリットが出にくくなっているケースがある
- タンク内のスケール付着や断熱材の劣化、センサーの不具合など、電気温水器の老朽化・故障は、同じお湯の量でも電気代を増やす原因になる
- フルオートタイプで足し湯・追いだき機能を頻繁に使う運用は、電気温水器の電気代が高すぎると感じる典型的なパターンの一つ
- 設定温度や沸き上げ量の見直し、長期不在時の電源オフ、シャワー時間の短縮など、基本的な使い方の工夫だけでも、数%〜1〜2割程度の節約効果は十分に期待できる
- 夜間料金が安い時間帯別料金プランは電気温水器と相性が良いものの、近年は日中単価が高いメニューも多く、世帯ごとの使用パターンを踏まえた慎重なプラン選びが必要
- 電気料金プランの見直しでは、電気温水器だけでなくエアコンやIHクッキングヒーターなど家全体の使用量を含めて試算することが重要
- エコキュートなど高効率給湯器は、電気温水器と比べて給湯の電気代をおおむね3分の1〜4分の1程度に抑えられるモデルケースが多く、特に給湯電気代が高い世帯ほど効果が大きい
- 高効率給湯器への交換にはまとまった初期費用が必要だが、国の給湯省エネ事業や自治体補助金を活用することで、数万円〜十数万円規模の補助を受けられる可能性がある
- 給湯省エネ事業では、一定以上の性能を満たすエコキュート等が対象となり、今後は電気温水器の撤去に対して1台あたり2万円の加算が行われる予定の事業も公表されている(2025年11月時点の情報)
- 持ち家では、今後の居住予定年数と電気温水器の年間電気代を基に、エコキュート等への交換による投資回収期間を試算して判断するのが現実的
- 賃貸では設備交換に制約が大きいため、まずは使い方と料金プランの見直しを軸にしつつ、将来の住み替え時に「給湯方式」を重視して物件を選ぶことが、長期的な光熱費削減につながる
電気温水器の電気代が「高すぎる」と感じたときこそ、感情的になって電気温水器を責めるのではなく、仕組み・料金・機器状態・住まいの条件を一つずつ整理して、自分に合った対策を冷静に選んでいくことが大切です。
